どうして在日コリアンはそんなに民族にこだわるのですか。まるで右翼のようです。
総体的にみると,民族にこだわる在日コリアンは今やむしろ少数派です。在日コリアンが民族的であるというのは,おそらく一部の目立つ民族運動家のイメージでしょう。しかし,目立つことと多いことは違います。大多数の在日コリアンは民族性を心のなかに秘めており,それを表に出すことはあまりありません。対外的に政治活動をおこなう日本の右翼とは,そこが違います。しかし,戦後民主主義教育をうけた日本人の基準からすると,それでもかなり民族性を重視している人が多いように思われるのかもしれません。
在日コリアンの一世が民族性を重要視する理由は,朝鮮人としての民族性を劣等なものだと否定され,剥奪された植民地体験を持っているからです。一世にとって,民族性を持つことは自尊心を持つことと同じ意味なのです。
植民地体験はなくとも,激しい蔑視感と差別のなかで,朝鮮人としての民族性を劣等なものだと否定されて育ったのは在日コリアン二世も同じです。朝鮮人であるがゆえに自尊心が受けた傷は,朝鮮人であることを誇りに思うことによってしか払拭できません。
朝鮮人差別がかなり弱まった時代に育った在日コリアンの三世以降は,「こだわる」ものとしての民族性というより,わずかながら,生活体験の中で自然に身に付いた民族性を持っているように思えます。