在日コリアンについてのFAQ
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在日コリアンの恋人と付き合っています。なにか最低限知っておいたほうがいい知識はありますか。

まず,「何の気兼ねもなく付き合っている」というのは,在日コリアンとつきあうときに,半分は正しい姿勢だと言えますが,残りの半分が欠けています。

たとえば,圧倒的多数の在日コリアンの青年が,チェサという宗教的な儀式(日本の法事にあたります)を経験しています。つまり,育ってくる家庭の中で,何らかの民族的な経験をしているわけですね。他にも,料理の味付けが朝鮮風だったり,親族の誰かが朝鮮風の結婚式をしていたり,正月にはトックッという朝鮮風雑煮を食べたり。年長者には逆らわないといった儒教精神を厳しくしつけられたり。

日常の生活をしていると,別に日本人だ,朝鮮人だ,などということは関係ありませんし,意識することも滅多にありません。しかし,記憶や感情の深いところで,民族にたいする愛着や誇りのようなものがあるのです。見えにくくても,朝鮮人としての民族性を持っている,といったほうが分かりやすいでしょうか。

まずは,このことをちゃんと気づいてあげることが,けっこう大事なことだと思います。本人に,“在日コリアンであることを誇りに思っているか?”とたずねても,あるいは“そんなもの関係ない”と言われるかも知れません。長い被差別経験の中で,多くの在日コリアンが自分の民族性を他人に表明することを不安に思っているからです。いや,本当は強い愛着や誇りを持っているのに,自分自身,その民族性に気づいていないケースも多々あります。それでも,心のどこかに民族的な部分があるものです。それを,尊重してあげましょう。

次に,(とくに若い)在日コリアンが経験してきた被差別体験とはどういうものかということですが,あからさまな暴力や暴言を経験している人はさほど多くはありません。普段,日本名を名乗って,在日コリアンであることを隠している人が多いということもありますし,一世代(20年くらいかな)前にくらべると,日本人の差別意識も変化してきたということもあると思います。

それでもなお,かなり多くの在日青年が,ある種の被差別体験を持っています。差別というものは,いやがらせのような明確な行為という形をとってあらわれる場合にかぎらず,とりとめのない日常会話のなかや,なにげない態度やまなざしのなかに,漠然とはしていてもいやおうなく感得せざるをえないものとして存在することだって、あるわけです。

そういうなにげない差別に,在日コリアンはいつも直面しています。そして,日本人が差別感情を持っていると,在日コリアンは敏感にそれを感じ取ります。ときには,差別意識を持っているのが親しい友だちだったり,恋人だったりすることもあります。そういう経験をとおして,在日コリアンは在日コリアンとしての自尊心に傷を受けてしまうわけです。

さすがにいい歳になると,こうした傷を自分でいやす機会も増えてきますから,差別的な雰囲気にたいして免疫のようなものができてきます。それでもなお,傷は完全に消えるわけではないということを知ってあげてください。