在日朝鮮人をめぐる時事問題
Vol. 6


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  • 1996/02/12 配信

    独島=竹島領土問題

     このところ,日韓両国の国連海洋法条約批准にからんで,いわゆる「竹島(韓国名=独島)問題」が急浮上してきているので,ここで歴史的経緯に言及しておきたいと思います。というのも,日本のマスコミで,この問題について公正な視点を持つものはまったく存在していないためです。(ただ,韓国のマスコミが公正かと言えば,必ずしもそうではないようなのですが…。)

     ということで,まずこの問題に関する年表を整理しておきましょう。なお,以後の記述において「竹島」とは,現在領土権が問題になっている島のことを指します。時代と国によって名称が変化しますので。

    159?年豊臣秀吉が朝鮮を侵略した際,竹島を現島根県に編入
    1618年伯耆国(鳥取県)の大谷,村川両家が江戸幕府から竹島を拝領する
    1692-93年朝鮮から竹島近海への出漁が盛んになったことにたいして,江戸幕府は対馬藩主の宗氏を通じて出漁禁止を申し入れたが,朝鮮は竹島の領土権を主張して交渉は決裂
    1877年明治政府の太政官が,竹島は朝鮮領土であり日本地籍に含まれないとの決定を内務省に送付
    18??年竹島を朝鮮領と記載している地図が日本で発行される
    1895年閔妃暗殺・陵辱事件(日本排斥政策をとった閔妃を日本が虐殺した事件)
    1896年義兵闘争勃発(李長末期の反日武装闘争)
    1904年日本軍の脅迫のなか,「第一次日韓協約」の覚書に調印させられたことにより,大韓帝国は財政と外交を奪われる
    1905年日本政府の閣議決定,つづく島根県の告示により,竹島は日本の領土として宣言されるとともに「竹島」が日本での正式名称となる
    1946年GHQ覚書により,竹島は日本の行政がおよぶ範囲外とされ,日本漁船の操業停止区域(マッカーサー・ライン)に入れられる
    1952年韓国が海洋主権を宣言した「李承晩ライン」に竹島が含まれる
    1954年日本の外務省は口上書を韓国に送付し,GHQの覚書は暫定的なものであり竹島の領有権が日本にあることを主張。たいする韓国は,日本の主張を否定する通告を出し,灯台などを建設するとともに官憲,住民を移すことで実効支配を決定づける
    1960年日韓で漁業協定成立
    今日に至る

     最近のできごとは年表に含めませんでした。

     さて,竹島問題で日韓どちらの言い分が正しいかなどはここでのテーマではありません。だいたい,僕は国際法を学んだことはありませんのでそんなことは分かりません。

     ただ年表を一瞥して分かることは,日本が竹島の領土権を主張する最大の根拠となっている1905年の閣議決定や島根県の告示は,日本が暴力的に朝鮮支配の基礎を築いた時代になされたものである,ということです。

     加えて,ここで指摘しておきたいのは,「李承晩ライン」から今日に至るまで,竹島問題と朝鮮の支配をからめた記事を掲載した日本のマスコミはまったく存在しない,ということです。

     日本のマスコミがこぞって「李承晩ライン」を非難していた時期,僕はまだ生まれていませんので詳細な雰囲気は分かりません。しかし,当時の雑誌や新聞記事を読むかぎり,日本のマスコミによる韓国バッシングはそうとう口汚いものだったようですね。目に付くのは「不法」「不当」「暴挙」「無謀」「強行」といった字句です。(でも「強行」は当たってるかな。)

     そして,竹島問題に関して韓国を「不法」「不当」とする視点は,今のマスコミにも健在です。たとえば,朝○新聞(朝鮮新聞ではない)では,ここ数日「韓国が不法に占拠している竹島」という決まり文句を何度となく目にしています。

     誤解を恐れずに言えば,僕は日本のマスコミが領土問題で日本擁護の記事を書くのは構わないし,場合によっては当然だとさえ思います。問題なのは,1)竹島という小さな岩の固まりが「領土問題」になった背景についてまったく論及しないこと,2)とりわけ,朝鮮支配という歴史について言及することを(おそらく故意に)避けていること,3)「李承晩ライン」への一方的な報道について一切の反省がないこと,などでしょう。

     そもそも「李承晩ライン」とは,当時の韓国の弱小漁業を日本漁船の乱獲から保護するために宣言されたものなのですが,あれだけ言いたい放題だった日本のマスコミが,いま,日本の漁業を守るという理由で,排他的経済水域の設定を後押しする記事を書いているというのはどういうことなのでしょうか?

    (余談)
     新聞で「竹島の領有権」という表現をよく見かけるのですが,「領有権」というのはどういう言葉なのでしょうか? 「領土権」と同じ意味で使われていると考えていいのでしょうか? また詳しい方のコメントをお待ちしています。


  • 1996/02/09 配信

    従軍慰安婦は神話か?

     このところ不愉快な文書を多数目にしています。内容は,「従軍慰安婦はみんな自発的に応募してきた人たちであり報酬は正当に支払われていた。したがって賠償も謝罪も必要ない。」というものです。

     こうしたデマに真っ向から対立する報告書が,先日公表されました。従軍慰安婦問題を調査していた国連人権委員会のラディカ・クマラスワミさん(女性に対する暴力特別報告官)による報告書です。これは,従軍慰安婦を「性奴隷」と定義し,旧日本軍の行為を「人道に対する罪」であると規定するなど,非常にストレートな内容になっています。さらにそのことをふまえて,日本政府にたいして以下の6項目を「勧告」しています。

    1. 日本帝国陸軍が作った慰安所制度は国際法に違反する。政府はその法的責任を認めること
    2. 日本の性奴隷にされた被害者個々人に補償金を支払うこと
    3. 慰安所とそれに関連する活動について,すべての資料の公開すること
    4. 被害者の女性個々人にたいして,公開の書面による謝罪をすること
    5. 教育の場でこの問題の理解を深めること
    6. 慰安婦の募集と慰安所の設置にあたった犯罪者の追及と処罰を可能なかぎり行うこと
     従軍慰安婦の実態については,近年になって多くの報告書が刊行されているのでここでは詳しく述べません。ですが,私の知るかぎり,クマラスワミさんの報告書は,実態を真摯かつ常識的に認識した上での判断であるように思われます。

     6番目の勧告については,「50年以上も前の犯罪を,いまさら処罰するのか?」という疑問もあるかもしれません。しかし,人道に対する罪には時効は適用されないとするのが国際法上の潮流ですので,けっして突出した内容ではありません。もっとも,日本政府としては人道に対する罪を処罰する国内法が存在しないという理由で,この勧告を受け入れるつもりはないようです。

     差別を罰する法律がなかったり,人道に対する罪を処罰する法律がなかったり……,日本の法律はとにかく人権という概念と相容れませんね。私は,基本的人権が日本国憲法の骨格の一部だったように記憶しているのですがね。


    天皇制と在日朝鮮人の参政権剥奪

     現在,在日朝鮮人に参政権はありません。いや,参政権というと正確じゃありませんね。選挙権と被選挙権がないのです。以下,この投票に関する権利のことを参政権と表現します。

     さて,少しでも在日朝鮮人のことを知る人にとって,在日朝鮮人が日本での参政権を持たないということは周知の事実でしょう。一方で,戦前に日本国内に住んでいた朝鮮人が,被選挙権を含めた参政権を持っていたことを知る人は意外と少ないようです。当時は,朝鮮人であってもおなじ「日本人」つまり「帝国臣民」だったわけですからね。それが,植民地支配ということです。

     それがいったいいつ,なぜ,参政権を失ってしまったのかということについては,専門の書籍を参照していただきましょう。話せば長くなりますので。

     ただ,今日の配信に関連する経緯を簡単にまとめると,1)終戦直後の1945年10月に閣議決定された選挙制度の改正要綱では在日朝鮮人の参政権が認められることになっていた,2)その2ヶ月後に議会を通過した選挙法には「戸籍法の適用を受けない者の選挙権及び被選挙権は当分の間停止する」との条項が設けられ,在日朝鮮人は参政権を失った,3)この条項は現在の公職選挙法にも引き継がれている,といったところでしょう。

     さて,最近になって,参政権が剥奪されるまでの不明瞭な経緯(上記の1→2)を明らかにしうる資料が発見されています。京都大学の水野直樹さんが国会図書館などで見つけたもので,衆議院議員で「議会制度調査特別委員会」の中心メンバーだった清瀬一郎氏(1884〜1967)が議員らに配付した文書,およびその影響力の波及を示す法制局官僚のメモなどです。

     清瀬一郎氏が配付した文書は,「内地在住の台湾人及び朝鮮人の選挙権,被選挙権に就いて」と題され,「選挙権を認むるものとすればその数二百万人に及ばん。……最少十人ぐらいの当選者を獲ることは容易なり」「もし思想問題と結合すれば,次の選挙に於いて天皇制の廃絶を叫ぶ者は国籍を朝鮮に有し内地に住所を有する候補者ならん」などと記されています。

     つまり,天皇制の廃絶を訴えかねないという危機意識が,在日朝鮮人から参政権を剥奪するうえで重要な要因になったと考えられるわけです。

     ここで問題なのは,敗戦の混乱に乗じて恣意的に決定された外国人処遇が,現在まで反省なく受け継がれているということです。

     これらの資料は,今月5日,福井県の在日朝鮮人4人の原告が,日本国や福井市などの選挙管理委員会を相手に,選挙人名簿未登録の違法確認と損害賠償を求めている裁判(名古屋高裁金沢支部)に証拠として提出されました。

     被告の国としては,参政権剥奪の恣意的で不明瞭な歴史的経緯について,合理的な反論を述べる必要が出てきたわけです。この裁判,3月19日に結審の予定です。


    原票の指紋削除請求を却下

     昨年12月15日にお伝えしていた,大阪市生野区在住の張征峰さんが「大阪市個人情報保護条例」にもとづいて,外国人登録原票に記載されている指紋と顔写真を削除するよう請求していた件ですが,大阪市は8日にこれを却下としました。

     大阪市は理由として「国からの機関委任事務で,国からも削除の許可が出なかった」としています。張さんは同条例にもとづいて,60日以内に異議申し立てをすることにしています。


  • 1996/02/03 配信

    高知県職員の国籍条項撤廃へ2

     先月6日にお伝えしていた,高知県職員の採用試験について「国籍条項」が撤廃されそうだという件ですが,朝日新聞に若干の続報が掲載されていました[朝日新聞2月3日付け]。

     基本的に,本日の朝日新聞での報道はHANでの既報と変わるところはありませんが,一部制限が残るとされていた「警察行政にかかわるもの」の内容が記載されていました。報道によると,狩猟に関する事務職員,麻薬取締員,漁業監督官の3職種が,撤廃の対象から除外されるとのことです。

     漁業監督官というのはまぁ分かりますね。高知県沖に韓国や朝鮮の船がそう頻繁にやってくるとは思えませんが,日本海岸であれば朝鮮半島の両国船が職務の対象になりうることは予想にかたくありません。相手国の国籍を持つ者が「監督官」として妥当性を欠くというのは納得できます。

     麻薬取締官というのは地方公務員だったのですね。一つ勉強になりました。まぁこれも分からないではありません。現在では麻薬を日本国内で栽培しているケースというのは非常に少なく,圧倒的多数は国外から密輸されていると思われますので,これも外国のパスポートを持つ身として取締にあたるには難しい部分があると言えるでしょう。

     ただ,狩猟に関する事務職員というのがよく理解できません。そもそもどういう職務に就いているのか分かりません。日本の狩猟に関する法律といえば,いわゆる鳥獣保護法しかないのではないかと思うのですが? もしかして,密猟者をとりしまるために銃器をしようする……なんてことはなさそうですね。外国人が密猟者扱いされているとしたらそれは心外です。どなたか詳しい方のコメントをお待ちしております。


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