在日朝鮮人をめぐる時事問題
Vol. 10


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  • 1996/03/24 配信

    電子掲示板開設

     時事問題ではなく,HAN World関係のお知らせです。今月19日の配信でお伝えしていた電子掲示板ですが,暫定運用を開始しました。HANBoardです。気軽にコメントや質問などを書き込んでください。


  • 1996/03/22 配信

    リコーリースの民族差別

     すでに周知の事実なのかと思っていましたが,事務機器リース会社「リコーリース」の民族差別が共同通信の速報で流れていました。もしかするとあまり知られていない事件なのかもしれませんので,ここで簡単に紹介しておきたいと思います。

     リコーリースによる民族差別の要点は,リース契約の際に“外国人は日本人の保証人が必要”という対応を取っているということです。ことは一昨年1994年9月,在日コリアン・マイノリティ研究センターの代表が,東京のリコーリース中央営業所でコピー機のリース契約を保証人とともに韓国名で申し込んだ際に発覚したのですが,いまだに外国人は保証人になれないという態度をとり続けている営業所があるということです。

     民族差別問題などに取り組んでいる在日コリアン人権協会(もと民族差別と闘う連絡協議会)は,この問題に関してビラやポスターを頒布したり,不買運動を呼びかけるなどの対応をとってきましたが,本日22日,親会社の「リコー」に抗議の要請書を提出する予定とのことです。

     リコーリースとしては,「差別とは考えていない」という立場のようですが,“外国人は保証人として信用できない”という判断を合理的なものだと考えることそのものが,差別なのだということがどうやら分からないようです。


    豊中でも原票の指紋削除請求を却下

     先月9日に,大阪市生野区在住の張征峰氏が外国人登録原票から指紋と顔写真を削除するよう請求していた件を却下されたと報じましたが,先日21日,大阪府豊中市でも朴昌煥氏ら2人が同様の請求を却下されました。

     豊中市は,「外国人登録原票についての削除には応じないよう国から指示があったため」と理由を説明しているとのこと。

     朴昌煥氏らは,張征峰氏とおなじく,不服申し立てをするということです。


  • 1996/03/21 配信

    大阪市,国籍条項撤廃へ…?

     19日の配信記事がまだ完結していないのですが,このところちょっと身辺がごたごたしているため,記事を先に進めておくことにします。

     大阪市は一般事務職など市職員採用試験の受験資格から「国籍条項」を撤廃する方針を決めたとのことです。4月中旬にも,採用試験要綱から(消防をのぞいて)国籍条項を削除し,5月中旬から受験申し込みの受け付けを始める予定。

     先日,横山ノック大阪府知事が,“外国人にも徐々に門戸を開放してきたものの,国籍条項を全廃する意図はない”という旨の答弁をしていたことにくらべると,大阪市の方針は半歩前進といえるでしょう。とはいえ,採用だけでなく昇進にも国籍での制限を設けない方針を明らかにしている高知県の英断にくらべると,大阪市の方針はかなり見劣りするということも事実です。つまり,今回の大阪市の方針では,採用にあたっての国籍条項は撤廃しても採用後の任用(配属や昇進)については制限を残す,ということだからです。

     配属や昇進に差別が残ることについて,朝日新聞は「当面は採用後の任用については制限を設けるが,将来は緩和を検討する」といった口約束を公表し,極太ゴシックで「大阪市,国籍条項撤廃!」などとうたっていますが,実状はまだ不透明というところではないでしょうか。

     この記事については,もう少し詳しい内容が分かりしだい,あらためて配信しなおしたいと思います。


  • 1996/03/19 配信

    全欧反人種主義週間

     昨日の配信記事の冒頭で,1週間ほど記事の更新が止まっていたことを言い訳しましたが,じつはこの一週間のあいだ,もっと大きなポカをやらかしていました。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが(お気づきの際は教えてくださいぃ!),www.han.orgのとびらのページが,なんとテスト中の電子会議室に書きかわっていたのでした。(^_^;)

     とびらのページはさっそく修正しましたが,電子会議室の正式オープンはもう少し先になります。完成すれば,メッセージと質問を受け付ける場にしていきたいと思っています。

     さて,いまヨーロッパでは,反人種主義週間(Europe Wide Action Week Against Racism)だということをご存じでしょうか。詳しい解説はこちらにありますので,ここではちょっと視点を変えてコメントしておきたいと思います。

     この反差別週間の標語は,「人種はひとつ」(ONE RACE - HUMAN RACE)なのですが,アジア的な民族差別しかご存じない方には,この標語の意味がイマイチ実感しづらいかもしれませんね。

     「人種主義」(racism)と民族差別とは,似ているようでもちょっとちがいます。人種主義というのは,誇張して分かりやすく言えば,“黒人は人間じゃない”といった考え方なのです。人間には遺伝子レベルで優劣があり,文明を発達させられない人種は一歩劣った人種なのだという考え方です。さすがにいくら朝鮮人がきらいな年輩の日本人でも,“チョーセンジンは人間じゃない”とは言いませんよね? いや,言うかな……?(^_^;)

     まぁ,たとえ言葉の上でそう言ったとしても,“チョーセン人は人間じゃないから家畜のように扱ってもよい”などと本気で信じる人はまずいないと思います。戦時の日本にも,強制連行というかたちで奴隷制度がありましたが,それは“チョーセンジンは人間じゃないから”という理由でなされたのではなく,朝鮮人は日本人の弟分だから,面倒を見てやらなければならないなどというイイワケが流布されて正当化されていたものです。

     ところが,暗黒の19世紀には,欧米で“黒人は人間じゃない”という考え方にのっとって家畜のように奴隷化した歴史があります。戦時中には,ナチスドイツが同じ理由で数百万人のユダヤ人を虐殺したり,アメリカやカナダで日系人が隔離されたりしたわけです。最近でも,黒人は脳が小さいだの,黒人のIQが低いのは遺伝子的な問題であるなどというアカデミック・レイシズムが復活してきています。

     こうした人種主義にたいして,欧米で戦後になって展開された激しい反対運動は,ネオナチの台頭を最大限に抑制するなど多大な成果をあげましたが,一方でいくつかの弊害をも残しました。

     ひとつは,「人種」という概念にたいする強いアレルギー反応です。たとえば,私がいまやっている研究は,ほんの20年ほど前までは「人種関係論」(race ralations)と呼ばれていたのですが,“人種なんていうものは存在しない,存在するのは人類だけだ。したがって人種関係などとという研究分野は成立しないし,存在してはならない”という強い反発から,いまでは「エスニシティ研究」や「人種・民族関係論」(race and ethnic relations)などと呼ばれるようになりました。

     しかしより大きな弊害は,同化主義の問題点を見えにくくしたことです。

    ==============

     申し訳ありません。ちょっと用事ができましたので,続きは夕方以降に書き足しておきます。でもここで終わったら私がまるで人種主義者みたいですね。(苦笑)

    【3月22日記】書き足そうと思いましたが,かなり説明が長くなりそうでしたので,そのうち項を改めて同化主義の問題に触れたいと思います。“反差別”という理念は多くの日本人にとって理解しやすいものであるのにたいして,“反同化主義”というのはなかなか難しい考え方のようです。でも,在日朝鮮人を理解するということは,すなわち,反同化主義という理念を共有するということにほかなりません。いつかかならず,この問題を分かりやすく論じるつもりです。


  • 1996/03/18 配信

    伊丹市の『在日外国人教育ハンドブック』

     ここ1週間ほど,ある調査の事前処理のため出張に出かけていて配信が止まっていました。「せっかく来たのに新しい記事がない」とお嘆きの方は,Netscape Navigatorをお使いになっているのなら,配信記事一覧をブックマークに登録してみるとよいでしょう。Netscape Navigatorのメニューから“Window/Bookmarks”を選びブックマークを起動し,“File/What's New”とすると,ブックマークに登録したサイトが更新されているかどうかが分かります。

     さて今日は,伊丹市教育委員会発行の『在日外国人教育ハンドブック――主として在日韓国・朝鮮人児童生徒を対象とした指導の手引き――』という冊子を紹介したいと思います。

     この冊子は最近になって完成したものだと聞いていますが,いちおう奥付では1995年3月31日の発行となっています。いや,この種の刊行物では,よくあることでしょう(^_^;)。

     まず目次構成は以下の通りです。

    目次

    1. 伊丹と朝鮮半島のかかわり
      1. 古代朝鮮と伊丹
      2. 朝鮮通信使と文化交流
      3. 伊丹空港建設と朝鮮人労働者
      4. 伊丹における朝鮮人学校の設立
      5. 伊丹と在日韓国・朝鮮人住民
    2. 韓国朝鮮の歴史と文化にふれる
      1. まず最初に
      2. 小学校における指導事例
        1. 低学年の指導例
        2. 中学年の指導例
        3. 高学年の指導例(その1)(その2)
      3. 中学校における指導事例
      4. 高等学校における指導事例
        1. 第1学年指導例
        2. 第2学年指導例
    3. 在日韓国・朝鮮人児童生徒への指導
      1. 民族名(本名)を名乗る意義
      2. 民族名(本名)を名乗るきっかけをつくろう
      3. 在日韓国・朝鮮人児童生徒の思いを知る
      4. 在日韓国・朝鮮人児童生徒が相互に交流できる場を
      5. 高校生活と進路
      6. 日本籍朝鮮人・朝鮮系日本人について
    4. 日本人と在日韓国・朝鮮人との親睦(外国人学校とスポーツ・文化交流を実施しよう)
      1. 小学校の交流
      2. 中学校の交流
    5. 資料
      1. ミニ辞典
        1. 民族教育(民族クラブ)
        2. 外国人登録証明書の常時携帯義務
        3. 就職問題
        4. 参政権(選挙権・被選挙権)
        5. 帰化制度
        6. 入居問題
        7. 結婚問題
        8. 外国籍住民に対する年金問題
        9. 戦後補償
      2. 韓国・朝鮮人姓氏一覧表
      3. 教材リスト

     僕が大学生のころ,神奈川県国際交流課から『アンニョン』という啓発パンフレットが刊行されました。その視点,わかりやすさ,親しみやすさ,いずれをとっても在日朝鮮人を初めて知るための教材として,比類ないできばえでした。7年以上をへた現在でも,もっとも優れた啓発パンフレットの一つだと言えるでしょう。

     一方,この伊丹市の優れたところは,すべての記述が伊丹市にねざした視点で書かれているということにあります。「在日朝鮮人という第三者」ではなく,「伊丹市に居住する隣人」として描写されているわけです。啓発パンフレットではなく教材ですので,親しみやすさには欠けるところもありますが,授業に用いる具体的な資料としては,非常に完成度の高いものとなっています。

     なお,この冊子(B5版)は,270円切手を貼った返信用封筒を同封のうえ,伊丹市教育委員会事務局学校教育課(〒664 伊丹市千僧1丁目1番地)に申し込めば入手することができます。在日朝鮮人の教育に何らかのかたちでかかわっている方には,今後の授業運営および教材作成の参考として,ぜひ一読していただきたいと思います。

     最後に,この手引きの作成者を掲載しておきます。

    在日外国人教育に係る指導の手引き作成委員会委員

    監修朴  一大阪市立大学経済学部教授
    橋本 義和伊丹市立北中学校校長
    松浦 守男伊丹市立南小学校校長
    土井 照夫伊丹市立東中学校教諭
    垣尾 正喜伊丹市立伊丹小学校教諭
    濱田栄美子伊丹市立南小学校教諭
    関口 春朗伊丹市立神津小学校教諭
    園里 隆寛伊丹市立有岡小学校教諭
    米元由紀子伊丹市立荻野小学校教諭
    三浦 早苗伊丹市立伊丹養護学校教諭
    吉田 悦子伊丹市立東中学校教諭
    今西 雄治伊丹市立北中学校教諭
    寺村 信男伊丹市立松崎中学校教諭
    阪上 史子伊丹市立伊丹高等学校教諭
    三崎 広子学校教育課課長
    石原 隆典学校教育課指導主事
    菅野 俊継人事教育室指導主事
    後藤 猛虎学校教育課指導主事


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