性奴隷実態調査の法案提出
昨日13日,新緑風会の本岡昭次,笹野貞子両参院議員が戦時性奴隷(従軍慰安婦)の実態調査などを実施するよう定めた「戦時性的強制被害者問題調査会設置法案」を参院に提出し,受理されました。提出には新緑風会のほか,平成会,二院クラブ,新社会党,参院フォーラムの議員24名が賛同しているとのこと。
法案の内容は,総理府に調査会を設置し,(1)慰安施設の実態,(2)被害女性の人数や出身地域,(3)被害実態,(4)軍関与の実態など9項目について,2年以内に調査して首相に報告し,一般にも公表するというもの。
政府が1993年に軍の関与を認めた際の調査は,なんともおざなりなものにすぎませんでした。おまけに,日本の軍がおこなった所行であるにもかかわらず,調査したのは当時の内部資料ではなく,なんと被害者への聞き取りだけでした。そういう態度が,セカンド・レイプとして被害者の心にあらためて傷をつけないかなどという判断はなかったようです。
しかし,今回の法案は頼もしいですね! 田英夫参院議員(参議院フォーラム)は,法案の提出にさきだって「従軍慰安婦問題は日本の恥だ。この問題を放置しておくことは国会として許されない」と語ったと伝えられていますが,その言葉の通り,なんとしてもきちんとした実体を調べ上げてほしいものです。同じ国会の議員が,「信念」にもとづいて「慰安婦は商売女だった」などと二度と言えないように。
クマラスワミ勧告受入要求の署名運動
1996年4月20日から「日本の戦争責任資料センター」にて,「日本政府は国連勧告を受け入れ、性奴隷(「慰安婦」)問題に解決を」と題された署名運動が始まっています。
署名用紙は下記の連絡先で請求,受付をしています。
趣旨文は以下の通りです。
世界の人権問題に強い関心を寄せてきた国連人権委員会は、一昨年「女性への暴力に関する特別報告者」としてクマラスワミさんを任命していましたが、彼女は2年にわたる調査の上、本年2月5日、日本軍「慰安婦」問題に関する報告書を公表しました。同報告書は、歴史と法律を詳しく検討した結果、「慰安婦」は「性奴隷」であり、日本軍が行ったことは国際人道法に違反する戦争犯罪(人道に対する罪)であるとして、次のように勧告しています。
少なく見積もる人で8万人、多く数えるならば20万人を超すといわれる性奴隷にされた女性たちの被害の計り知れない重さと深さを思うとき、これを犯罪とみなし、重大な犯罪に見合った処置を日本が要求されることは、当然のことといわねばなりません。
日本政府は、報告書が国家自身の責任を問うていることに留意すべきです。この戦争犯罪の責任を引き継いでいるのは日本政府であり、勧告されている内容を受け入れ、それを具体化する政策内容の検討に入るべきです。現行の「女性のためのアジア平和国民基金」は補償の代わりとなるものではありません。政府は、国家の責任にもとずいて個人賠償を行うべきです。また、真相を徹底して調査し、被害者への謝罪文の内容、教育カリキュラム、処罰問題などについても検討する機関を、早急に政府や国会に設置し、意見を広く求めるべきです。性奴隷の政策を立案・実施した責任者の処罰の問題は、現在設置に向けて国連で議論が進んでいる国際刑事裁判所に委ねるべきか、日本国が進んで国内法を制定して実情に見合った処置を行うか、その機関で十分検討する必要があります。
私たちは、この勧告を歓迎します。今も軍の性暴力によって被害を受けている沖縄の女性たち、そしてアジアの女性を性奴隷として買い続けている日本人の現状を考えるとき、むしろ日本人が人間として自己回復し、アジアをはじめ世界と平等で平和な関係を作り上げる糸口を示されたものと受け止め、以下の要求を政府に対して行います。
奥野発言の波紋
「慰安婦は商行為」という奥野発言は,やはり大きな波紋を呼んだようですね。丸一日間の爆発的な反応を観察してみて,もしかすると教科書問題に匹敵する抗議運動に発展するのではないかと予想されます。もっとも,教科書のほうはそれから15年たったいま,ようやく史実を直視しはじめているわけですが。
まず在日の民族組織としては,在日本朝鮮人総聯合会(総連)の呉亨鎮副議長が昨日5日に談話を発表し,「言語道断な許しがたい暴言。元法相はこれまでも日本の侵略行為と植民地支配を美化する発言を繰り返しており,反省もなく暴言をエスカレートさせている」と非難。
つづいて本日6日,在日本大韓民国民団(民団)中央本部は,「過去に日本が犯した戦争犯罪の一面を最も立場の弱い被害当事者に責任転嫁するもので,奥野元法相は暴言を撤回し,被害者に対し真摯に謝罪の意を表せ」などとする抗議のコメントを発表しました。
まぁ,前回のように口先だけで謝ってもらっても,もはや事態を収拾することは困難でしょう。それより,興味深い動きが奥野氏の地元,奈良県内でありました。団体は社民党の女性議員らでつくる「奈良県女性解放共闘」など,同県内女性5団体が,発言の撤回を求める抗議書を奈良市内の奥野氏の事務所に提出する,というものです。
抗議書は「発言は,被害者の生の証言や,旧日本軍の文献などで明らかになっている犯罪的史実に反する」としたうえ,従軍慰安婦問題解決のため,日本政府に被害者個人への国家補償と加害者の処罰を勧告した国連人権委員会のクマラスワミ報告など国際的な潮流にも逆らうと指摘。「奥野氏の発言は元慰安婦たちを日本の政治家が再三レイプするに等しい。奈良県民として国際社会に恥ずかしい」と厳しく非難しています。
一部の(といっても,自民党の大部分です)侵略否定派議員に,国益どころか「国徳」をそこなわれて黙っているようじゃ,やはり「明るい日本」は遠いでしょう。その意味で,こうした動きは期待がもてます。
一方で,こうしたピンポイントのチャンスを活かして,いまだくすぶっている皇国史観を完全に打ち崩せないようでは,在日朝鮮人諸団体の未来も暗いでしょう。談話が発せられたこと自体は当然ですが,次の一手が必要ですね。
侵略否認派議員らが巻き返しにやっき
昨日4日,確信犯的“問題発言”で辞任した奥野誠亮元法相ら自民党の国会議員が,歴史教育の見直しを目的とした「明るい日本」国会議員連盟を結成した。同党の衆参両院あわせて116名もの議員が名を連ねた挙党的グループといえる。
会長に就任した奥野氏は記者会見で,戦時性奴隷(従軍慰安婦)問題について「慰安婦は商行為に参加した人たちで,強制はなかった」などと述べ,高校や中学校の教科書の記述を批判。また,同氏は総会後の会見で「従軍記者や従軍看護婦はいたが,『従軍』慰安婦はいない。商行為に参加した人たちだ。戦地で交通の便を(国や軍が)図っただろうが,強制連行はなかった」とも発言。
また,28日の自民党総務会で「未成年の女性を強制的に慰安婦として働かせたと一面的に記述するなど,歴史の真実に基づいたものでなくても歴史的事実として取り上げているものがある」などと述べた事務局長の板垣正参院議員も,あらためて「性的虐待のイメージを植え込む教科書のあり方はおかしい」と語ったとのこと。同日,戦時性奴隷の「生き証人」である金相喜さんが,28日の発言に抗議して,直接面会し体験を語ったにもかかわらず,です。
なお,金相喜さんの抗議にたいして,同氏は「軍も関与したかもしれないが,すべて軍がやったのではなく,そういう役割の業者がいたのではないか」「八年間,一銭ももらってないのか」などと質問。金相喜さんが否定すると「そういう例があったかどうか全く信じられない」「偽りとは言わないがすべて真実か,大きな疑念がある」「裏付けが必要だ」などと聞く耳さえ持たなかったらしい。
ようするに,「明るい日本」国会議員連盟とは,日本の第一党(自民党)の事実上の公式見解を,インフォーマルな体裁で表明するためのグループであると言ってかまわないでしょう。そして,奥野,板垣といった一部議員が代弁するというかたちをとってはいますが,侵略と暴力的植民地支配を否定するというのがすなわち自民党の支配的見解ということでしょう。
僕の実感からすると日本人の多数派の意見とは必ずしも一致していないようでもありますが,いずれにしても,日本人が選んだ日本の第一党の挙党的見解が以上のようなものだ,ということです。さて,そんな日本の姿が世界からどう判断されるか,ですね。残念ながら「明るい日本」の実現は果てしなく遠いようです。
社会科教科書の戦後補償2題
1995年度の文部省の検定に合格し,来春から使われる7社の中学校社会科教科書すべてに,戦時性奴隷(従軍慰安婦)などへの戦後補償の問題が取り上げられているとのことです。また,日本が戦時中にアジア諸国に与えた被害についての記述も,全般的にこれまでより手厚くなっているようです。非常に好ましい傾向ですね。
一方,自民党の板垣正参院議員(日本遺族会顧問)が,28日の自民党総務会で「未成年の女性を強制的に慰安婦として働かせたと一面的に記述するなど,歴史の真実に基づいたものでなくても歴史的事実として取り上げているものがある」などと述べたということです。
韓国の出版流通業者が書誌データベース設立へ
韓国の出版流通会社,「根と羽」「大韓出版文化協会」「韓国書店組合連合会」は,資本金20億ウォン規模の出版情報通信会社を6月末に設立することに合意しました。書店での利用だけでなく,一般の利用も念頭におかれているとのこと。まだ不透明な部分も残っているようですが,ぜひ実現に向けて引き続き努力していただきたいですね。
国籍条項裁判,東京地裁で原告敗訴
1988年から東京都ではじめての外国人保健婦として勤務している鄭香均さんが,日本国籍がないことを理由に管理職試験の受験を拒否されたことを違法として,都を相手に受験資格の確認などを求めた訴訟(遠藤賢治裁判長)の判決が,16日に東京地裁で申し渡されました。
判決の要旨は以下の通りです。
川崎市が「国籍条項」原則撤廃を正式決定
今月1日に「国籍条項撤廃の長い一日」でお伝えした川崎市職員の外国人採用問題ですが,昨日13日,人事委員会で正式に決定されました。これで,6月30日実施(予定)の大卒対象の試験から「国籍条項」が原則的に撤廃されます。
“原則的に”撤廃というのは,「税の滞納処分」「建築許可」など182の業務を「公権力の行使」に当たるとして,採用後はそれらの業務を扱うポストに配属させないうえ,「公の意思形成」にかかわるとして,決裁権がある課長職以上の昇任を制限するという問題が残っているためです。消防職とこれらの制限を受ける職員は,全職員約16000人の約2割になるということ。
まぁ,機運として全廃の方向に向かっていることだけは確かなようですから,少しずつ,議論を重ねていけばいいことです。まずは,このタイミングで「国籍条項」撤廃を決めた川崎市の英断をたたえたいと思います。
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なお,署名運動用のホームページもできあがっており,WWW上のフォームから署名に参加できるようにもなっています。(http://www.jca.or.jp/JWRC/index-j.html)
日本の戦争責任資料センター内「応じよ国連勧告」事務局
Tel&Fax 03-3366-8263
内閣総理大臣 橋本龍太郎 殿
この結論は、国連人権小委員会での4年間におよぶ研究と勧告や、昨年9月に開かれた北京世界女性会議の決議などを踏まえ、さらに現在の段階の最も高度な調査や研究に基礎を置いたものと考えられ、私たちは厳粛な気持ちでこの勧告を受け止めたいと思います。