在日朝鮮人をめぐる時事問題
Vol. 15


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  • 1996/07/13 配信

    軽費老人ホーム「セットンの家」

     ちょっとお伝えするのが遅れましたが、先月末の6月28日、在日朝鮮人一世のための軽費老人ホーム「セットンの家」(大阪府堺市檜尾)の竣工式が行われました。運営母体は,在日大韓基督教全国教会女性連合会のメンバーらでつくる社会福祉法人「シャローム」。韓朝鮮語が堪能な人を含めた9人がスタッフとなり、韓朝鮮料理も用意するとのことです。したがって、日本の老人ホームでは対応しきれないところをカバーすることになります。予定では7月1日オープンということでしたので、もう正式運営が始まっているはずです。

     そもそものキッカケは、在日大韓基督教全国教会女性連合会が1955年の定期大会で、引退した伝道師のために「養老院建築」を決議したこと。しかし建設資金が集まらず、計画は中断しました。

     しかしその後、どんどん在日朝鮮人の高齢化が進んでいくわけでして,たとえば入院しても韓朝鮮語しか話せないため医師や看護婦とうまく意思疎通ができないとか、日本食風の病院食に不満とストレスがたまるといった、日本の施設では対応できないケースが表面化してきました。在日一世に同胞のホームヘルパーを求めるといった運動(高槻むくげの会)も行われましたが、行政から積極的な返事は引き出せなかったように記憶しています。

     こうした状況を受けて、同連合会では80年に「建築実行委員会」を設置し、あらためて在日一世のための老人ホーム建設に向けて活動をはじめます。そして昨年8月,寄付金や福祉医療事業団からの借入金に大阪府と市からの補助金計5億1300万円を加え、総工費11億円で着工にこぎ着けたということです。なお、募金は継続中です。→セットンの家(0722-72-8338);在日大韓基督教全国教会女性連合会(06-731-3939)

     同ホームの定員は50人。60歳以上の健康で日常生活に支障のない人が対象で、在日朝鮮人には限定していません。鉄筋4階、地下1階建てで、トイレ、シャワー、キッチン、エアコン付きの個室46室と2人部屋2室のほか、ホールやトレーニング室、屋外菜園などがあるということです。竣工式の時点で決まっていた入居者は10人でしたので、現在も継続募集中です。


  • 1996/07/10 配信

    リコーリース民族差別事象の現在

     3月22日に「リコーリースの民族差別」でお伝えしたとおり、リコーリースでは現在もなお、実質的に、外国人を排除する経営方針を曲げていません。それにたいして、抗議運動がどう展開しているかをあらためてお伝えします。

     まず先月27日、リコーリースの親会社であるリコー(本社・東京)の株主総会が開かれたのですが、在日コリアン人権協会の活動者たちが,チャンゴの演奏をバックに、「外国人差別を許すな」という趣旨のチラシを配るなどして株主らに外国人差別の事実を訴えたということです。

     伝え聞く内容から推察すると、要するに、リコーリースがこの事件を差別事象とは考えず、単なるひとつのクレームにすぎないと軽視した/していることが問題のようです。

     昨年5月に,リコーリースと同協会の間で話し合いが持たれたことがありました。実は、その話し合いに先立って、同協会は各地のリコー関連会社の営業所に独自の調査を行って、32カ所の営業所のうち14カ所で「日本人の保証人が必要」などと答えたという事実をつかんでいました。しかし、リコーリースは「差別とは思わない」という姿勢に終始し、それだけでなく「(外国人は日本人の保証人がないと契約しないという)内規は廃止したのに周知が不徹底だった」などと、口先だけで謝罪したことが問題をこじれさせているわけです。

     自分の、そして自社の差別性にすら気が付かず、保身のために卑怯なウソまでついて、それが結果として最悪の現状をもたらしているということを、そろそろリコーリースおよびリコー本社は悟る時期でしょう。


  • 1996/07/09 配信

    鹿児島県議会で外国人参政権意見書不採択

     今月3日、鹿児島県議会では、地方参政権を定住外国人にも拡大することを求める意見書の提出を賛成少数で不採択としました。同様の意見書は、すでに全国で千を越える地方自治体で採択されていますが、不採択となったのは鹿児島県議会がはじめてとのことです。まぁ、不採択の見通しが強い自治体の場合、決議にさえ持ち込めないんでしょうけど。


  • 1996/07/04 配信

    「再」燃した奥野発言問題

     しばらく静観してきましたが、この問題についてこのところ一つの転機を迎えているようですので、簡単に経緯を書き留めておきたいと思います。

     問題の発端となったのは、「侵略否定派議員らが巻き返しにやっき」でお伝えしたとおり、6月4日の「明るい日本」国会議員連盟発足後の記者会見で、奥野誠亮会長が「慰安婦は商行為に参加した人たちで,強制はなかった」と述べたことでした。この発言は、116名もの自民党議員が参加する同連盟の会長としての発言であったことなどのため、その直後から猛烈な反発が起こりました。

     奥野発言が問題視された別の理由として、タイミングの問題がありました。つまり、サッカーワールドカップ杯の日韓共催が正式決定した直後のことであったため、多くの人にとって、「共催に反発して故意にこの機を挑戦的に選んだ」と思われたわけです。しかしながら、日韓両政府としては,一部議員の発言に過度に反応することによって歴史上初ともいえる未来にむかっての具体的な共同作業をとん挫させたくないという意図が働いたのでしょう、総じて穏やかな対応に終始しました。そして、発言直後にみられた爆発的な反発の動きも、日韓両政府と一部マスコミの論調によってうまく押さえ込まれた格好になりました。

     6月23日、橋本首相が日韓首脳会談のために訪韓し、「未来志向」をあらためて謳いあげた共同記者会見でギクシャクした両国関係を表面上取り繕ったかにみえました。日韓両国のマスコミはこの首脳会談に冷ややかな反応を示しましたが、まぁ、これで一つのけじめがついたかには思われました。

     しかし、奥野発言は依然として続きます。

     まず、6月29日、奥野誠亮代議士は奈良市で開かれた集会で、「橋本竜太郎首相の訪韓もあり、発言を控え、取材も断ってきた」としたうえで、「慰安所は業者の経営だった」とあらためて“商行為”であることを強調しました。

     ここであらためて奥野発言のタイミングを考えてみましょう。はじめの発言では、サッカーW杯共催への反発という推察も成り立ちましたが、むしろ、文部省の教科書検定への反発と考えるほうが妥当でしょう。来年度の教科書検定結果がはじめてリークされたのは去る5月29日のことで,中学校社会科の全教科書に「従軍慰安婦」問題が取り上げられていることが判明しました。そして、6月4日の「明るい日本」国会議員連盟の発足総会では、そのことにたいする憂慮と反発が参加者から表明されたと聞きます。つぎに,文部省から教科書検定の結果が正式公開されたのは6月27日のことでした。つまり、第2回目の奥野発言の前日ということになります。

     さて、国益を優先して穏便な態度をとり続けてきた韓国の政界も、さすがに2度目の発言ともなると留保していた態度を悪化させはじめます。このことについて、7月1日付けの共同通信ニュースを引用しましょう。韓国外務省の主張をかなり正確に直訳してあります。というより,韓国の新聞をほぼそのまま訳したという感じさえします。

     韓国外務省当局者は一日、奥野誠亮元法相が従軍慰安婦問題に関し「慰安所は業者が経営したものだった」などと発言したことについて論評を発表し、「問題の本質をごまかしわい曲する時代錯誤的な妄言で深く慨嘆せざるを得ない。甚だ遺憾に思う」と非難した。

     同日午前に与党、新韓国党が声明で遺憾を表明したのに続くもので、韓国政府として発言を問題視する姿勢を示したものといえる。

     奥野元法相が六月四日に「(慰安婦は)募集されて参加した商行為」と発言した際に韓国政府は「政府レベルでいちいち対応するのは適切でない」との外務省当局者論評を出したが、今回は「発言を時代に合わない一人の老人のもうろくと考えようとしたが、度重なる妄言は被害者を含む韓国民の自尊心を踏みにじり続けるもので、黙って見過ごすのは困難」と強調した。

     また「最近は日本の歴史教科書でも慰安婦動員の強制性を認定しており、こうした妄言は大部分の良識ある日本国民からは指弾を免れない破廉恥な言動」と指摘。「一連の妄言がごく少数の無分別な日本政治家の言動にすぎないとはいえ、サッカーの二○○二年ワールドカップ(W杯)共催決定と済州島の韓日首脳会談を機に、より高い友好協力関係を構築しようという両国民の努力に水をかける行為」と非難した。

     ところが同じ7月1日、こうした反発をよそに、奥野発言はなおも続きます。奈良県橿原市の市制四十周年記念式典のあいさつで、「大東亜戦争に負けて51年が経つが、占領政策が効いて日本の行為は侵略や残虐行為と洗脳されてきた。これからは目を覚ます五十年となるべきだ」などと発言しました。侵略は「洗脳」などと発言はエスカレートしています。

     これにたいして、韓国の与党第一党である新韓国党は、とうとう堪忍袋の緒が切れたというところでしょうか、何と翌2日、連日の声明を発表します。声明は、「一人の政治家の個人的見解とだけみることはできない。日本の与党の国会議員が多数参加している国会議員連盟の責任者であるため、その発言は極右回帰の日本の感情を代表している」「戦後処理の原点に立ち戻る覚悟で徹底して対応しなければならない」としたうえで、日本政府に(1)太平洋戦争と日本の戦後処理,(2)こうした「妄言」への対処,(3)こうした歴史解釈が日本の与党内で強く残っている中で未来志向的な韓日関係やアジア各国との関係がどう可能か,などへの立場を明確に示すよう要求しています。また、韓国政府にもどういう対応をするか、立場を明らかにするよう求めています。

     堪忍袋の緒が切れたのは韓国の政界だけではありませんでした。同じく7月2日、自民党の役員連絡会で、「奥野氏の、元従軍慰安婦が商行為だったという発言は3回目だ。異常な時代の異常な行為だった。発言は慎むべきだ」(野中広務幹事長代理)、「国策としてではないが、軍が実態的にやっていたことだ」(亀井静香組織広報本部長)などの批判が出たとのことです。

     外国人の公務員就任について自治相として強硬な姿勢を崩さない野中氏,自民党タカ派リーダーの1人である亀井氏,とくに亀井氏の批判はあまりにも意外ですね。国土庁長官のときの奥野氏による「問題」発言では、「国家基本問題同志会」の座長を務めていた亀井氏は,かなり奥野氏をかばうような態度だったと思いましたが。

     以上がこれまでの経緯です。私からのコメントは、もう少し事態の進展を待ってから,まとめてやりたいと思います。


  • 1996/06/28 配信

    『韓国をさわろう』

     韓国観光公社では、『韓国をさわろう』と題した韓国紹介のCD-ROMを無料で配布しています。一枚のCD-ROMに、画像/音声ファイル群と,Windows用およびMacintosh用の閲覧プログラムが入っています。

     同公社の連絡先は、東京支社 TEL:03-3580-3941/大阪支社 TEL:06-266-0847/福岡支社 TEL:092-471-7174/札幌支社 TEL:011-210-8081 です。電話をすれば2〜3日営業日以内で届くようです。

     CD-ROMのなかに説明ファイルのたぐいは入っていませんが、Windowsの場合には「Knto.exe」あるいは「Korea.exe」を実行するだけです。ファイルの内容を比較してみましたが、どちらのプログラムもほぼ同じものと言っていいでしょう。ハードディスクにインストールするためのプログラム(Setup.exe)もありますが、フルインストールするには200MB近い空きが必要です。

     オープニングのナレーションはいかにも官製という感じですが、膨大な量の画像ファイルや観光情報は一見に値します。たしか2万枚のプレスだったと記憶していますが、入手しやすいうちに電話してみましょう。


  • 1996/06/27 配信

    性奴隷実態調査の議員立法廃案

     今月14日に「性奴隷実態調査の法案提出」と題してお伝えした議員立法ですが,今国会では時間切れで廃案となりました。次の臨時国会でふたたび同法案を提出する予定と伝えられています。

     たしかに,法案提出は会期末ぎりぎりだったわけですが,過去,短期間で成立した法案がないわけではありません。自民,社民両党の態度は,同法案にたいして基本的に冷淡であったと言えるでしょう。


  • 1996/06/18 配信

    有志議員らが首相に奥野発言に「けじめ」を要請

     さきほど,大野由利子衆院議員ら女性議員が,奥野発言について「歴史的事実を故意にわい曲し、国会議員として不適切極まりない。首相は明確な意思を内外に示すべきだ」とする申し入れを,首相官邸で渡辺嘉蔵官房副長官に伝えたとのことです。この申し入れには,新進党と平成会の有志議員122名が参加しているとのことです。

     まだ正確なところは分かりませんが,新進党有志というのは,もと自民党出身議員以外ということでしょうか? いずれにしても122名という有志議員数は,「明るい日本」国会議員連盟(116名)と競り勝っていることが印象的です。116名を越えるように有志を募ったであろうと推察されますが,それだけの勢力がちゃんと日本の国会にあるというわけです。日本の議会も捨てたものではありません。

     さて,元日本遺族会会長の橋本首相としては,どう対処するつもりでしょうか。


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