過去2ヶ月間の動向
「時事問題」は継続こそが重要と考えて,これまで日記のつもりで書きつづってきましたが,ここ数ヶ月,実生活が多忙を極めて更新作業ができませんでした。その間,ぜひとも登録しようと思った記事がいくつもあったのですが,その多くがアメリカへの移転準備のどさくさにまぎれて消えてしまいました。残念です。
ともあれ,手元に残った資料をもとに,ここ2ヶ月間のできごとを拾っていってみましょう。
在日朝鮮人三世の看護学生である李善玉さんが,8月12日,国連人権委員会・差別防止および少数者保護小委員会で,「朝鮮高校卒業者にも看護学校の受験資格を」と訴えました。
看護学校受験には大学受験資格が必要なわけですが,朝鮮高校は学校教育法の「学校」に当たらないため,卒業しても大学受験資格は得られません。しかし,「学校」の卒業者でなくとも,「相当の年齢で高卒と同等以上の学力がある,と大学が認めた者」については受験資格があるはずなのですが,“朝鮮学校の卒業者は認めない”というのが文部省の基本姿勢です。
近年,朝鮮学校の卒業者の受験を認める公立,私立の大学は増えてきているのですが,多くの看護学校は大学よりも自治権の小さい「専門学校」の体裁をとっていますので,文部省の基本姿勢に逆らうのは容易なことではないのでしょう。
ところで,在日朝鮮人の民族学校は2校の例外をのぞいて,いずれも学校教育法の「学校」として認定されていない各種学校です。したがって,各種助成金の対象にも含まれず,保護者は高額な学費負担を余儀なくされてきました。加えて,多くの児童・生徒は遠隔地の学校まで電車で通学しなければなりません。さらに,数年前までは,国鉄/JRの定期券に低い割引率しか適用されませんでした。そのうえ,大学進学を希望する際には,定時制高校に通うなどして大学受験資格を別に取得しなければならないわけですから,幾重にもわたる負担と制約を強いられていることがお分かりでしょう。
朝鮮学校卒業者の進学問題については,以下のURLを参照してください。
また,朝鮮学校の教育カリキュラムは,「相当の年齢で高卒と同等以上の学力がある」かどうかを知る一つの目安になるでしょう。カリキュラムは,朝鮮学校のサイトをご覧下さい。
京都朝鮮第二初中級学校
なお,報告者の李さんは,「朝鮮語が話せる看護婦は高齢の在日一世の精神的ケアに欠かせない」ということを強調したようですが,関連する記事として軽費老人ホーム「セットンの家」を参照ください。
こちらは論評抜きです。以下,「手紙」の全文です。
9月9日,東京地裁でひとつの判決が言い渡されました。日本軍に徴用され,戦後BC級戦犯として処罰された朝鮮人とその遺族が,日本政府に補償と謝罪などを求めた訴訟の判決です。
判決の内容は,「高度の政策的裁量によって決すべき立法政策に属する問題」として,原告の請求を棄却する,というものでした。いわゆる「統治行為論」ですが,法が政治に従属するという判断に,良心とプライドはいたまないのでしょうか? ただ,「法律には国籍条項が設けられており、条理上、当然に補償請求権が認められるとは言い難い」という最低限の司法判断はあったようですが。
ちなみに,その法律の国籍条項の問題ですが,大阪地裁が95年10月に,「援護法の国籍条項は違憲の疑い」として立法措置の必要性を強く指摘しています。
もと軍属の裁判については,在日の戦後補償を求める会を参照してください。
都道府県および政令指定都市では,はじめて職員の国籍条項を撤廃した川崎市。9月12日に本年度の市職員採用試験(大卒)の最終合格者が発表されましたが,最終合格者に外国人はいませんでした。うーん,何と言ったらよいのか……。^_^;
一次試験には競争率5倍(合格者355人)の関門を韓国人1人が突破したということですが,競争率2倍の二次試験(面接など)で不合格になったわけです。さて,つぎは高卒枠の結果ですね。ぜひ頑張ってほしいものです。
まず9月13日,自民党本部で開かれた「明るい日本」国会議員連盟の総会で,奥野誠氏があらためて戦時性奴隷(従軍慰安婦)などの強制連行の事実を否定しました。さらに,同連盟はこの日の総会で,教科書から従軍慰安婦に関する記述を削除することなどを求める「教科書問題に関する決議」をしたとのことです。
また,同じく13日,自民党の原田憲・元運輸相が,大阪市内のホテルで開かれた同党友好団体との「近畿ブロック政策懇談会」で,「小学校の教科書に従軍慰安婦問題が盛り込まれ,われわれの先輩たちがこんなに悪いことをしたのだ,という印象を与えている。こんな教育を受け,誇りを失った者が将来の日本を担えるだろうか」と発言したとのことです。
さらに,9月21日,綿貫民輔・元自民党幹事長が,佐賀市で開かれた衆院選佐賀二区に立候補予定の同党新人の決起集会で,「来年の中学校の教科書から、これまで触れられていなかった従軍慰安婦が登場する。実際は従軍看護婦はいたけれど,従軍慰安婦はいなかった」と発言したとのこと。
もはや付ける薬はないようですね。
在日本大韓民国青年会は9月19日,総理府を訪れ定住外国人の地方参政権を求める橋本首相あての要望書と約12,000人の署名簿を提出しました。この種の行動としては異例なほどマスコミに大きく取り上げられましたので,ご存じの方も多いでしょう。
なお,同会発行の地方参政権問題に関する冊子が The HAN World に掲載されていますので,ぜひごらんください。
梶山官房長官が朝鮮統一の弊害等に言及
すでにご存じの方が多いでしょう。梶山静六官房長官は8日昼、山梨県富士吉田市で開かれた日経連経営トップセミナーで講演し、有事立法の必要性を強調する文脈において、(1)朝鮮半島有事のさいには在日の民族組織を通して日本でゲリラ戦が展開される,(2)南北朝鮮が統一を期に疲弊すると、(不当な)賠償請求が噴出する、などの可能性に言及しました。
これにたいして、当然のことながら在日の民族組織である韓国民団と朝鮮総連はただちに抗議の談話を発表し、韓国では与野党、マスコミがこぞって猛反発しました。それぞれ簡単に紹介しましょう。
日本を守ってもらう米国の軍事力があるならば、米国への反対給付として何があるか。軍事力以外で米国の極東展開にあらゆる便宜を図る、そのことをやることが明確な答えだ。
そして、なお恐ろしいことは今考えないと朝鮮半島で何かあったとき一番大変。朝鮮半島でドンパチやって日本に影響ないなんてことはない。例えば大量の難民が来たとき。偽装難民もある。特に武器供与されたらどうする。彼らには国内に組織がある。南と北の。それが内紛状態になったとき、日本の自衛隊はどう戦うか。全く能力を欠く。市街戦は1回もやったことがない。紛争、戦争は可能性としては市街戦、あるいは局地的ゲリラから始まる。何よりも怖いのは、そういう国々が一緒になって、米軍がなかった日本を考えてごらん。東独と西独がいっしょになる時、西独はものすごく疲弊した。もしもお隣で一緒になったら、南は疲弊する。疲弊した補給をどこに持って行くか。かつて植民地支配した日本よ、賠償をくれてもいいではないか、もう1回私たちもやってみたいと言わないという保証はない。
米軍が何より大切であり、私たちはいま日米安保を何より重く見ている。沖縄の基地に私の政治生命をかけて、何とか来春の5月は乗り切りたい。これをしないと、日米安保は根底から崩れてしまう。
(戦後)50年たって失敗したのは、自衛隊を強固なものにしておかなかった、有事立法をしなかった。米軍の恩恵、存在をどういうふうに理解するか。特に冷戦崩壊後の米軍の存在をどう見るか、こういう問題の視点が欠けていたのではないか。
北海道朝鮮初中高級学校
四国朝鮮初中級学校
拝啓
このたび、政府と国民が協力して進めている「女性のためのアジア平和国民基金」を
通じ、元従軍慰安婦の方々へのわが国の国民的な償いが行われるに際し、私の気持ちを
表明させていただきます。
いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く
傷つけた問題でございました。私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従
軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒(いや)しがたい傷を負われた
すべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。
我々は、過去の重みからも未来への責任からも逃げるわけにはまいりません。わが国
としては、道義的な責任を痛感しつつ、おわびと反省の気持ちを踏まえ、過去の歴史を
直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に
関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
末筆ながら、皆様方のこれからの人生が安らかなものとなりますよう、心からお祈り
しております。
敬具
平成八(1996)年
日本国内閣総理大臣
橋本竜太郎
こうした反発をふまえて、梶山氏は講演翌日9日の午前、金太智駐日韓国大使に電話をかけて陳謝するなど、波風の沈静化に躍起になっているようです。以下に毎日新聞ニュース速報[8日付け]から梶山発言の要旨を掲載いたします。
「在日韓国人に冷水を浴びせ、一般の人たちに無用の誤解を与える」「和合を目指す立場から朝鮮総連に対し積極的に交流を呼び掛けており、争いをしたことはない。武力で日本政府と対立しようなどとも考えもしない」「在日同胞社会の現実を知らなさすぎる」
「朝鮮半島からの『偽装難民』と在日朝鮮人組織が武器を持って市街戦、ゲリラ戦を行うと想定し、これに自衛隊がどう戦うかという驚くべき暴言」
「有事に備えた法律の必要性を強調する過程で、韓国統一に関する非友好的な考えに言及したことに対し、驚きを禁じ得ない。日本の法律を順守し、日本社会に寄与している在日韓国人に対し、警戒心を呼び起こす内容の発言は非常に遺憾だ」
私は(防衛庁に)飛行機なんかプラモデルと同じだ、買わなくてもいいと言っている。何によって戦うのか。有事立法しかない。戦うとき、警察法を適用して治安や防衛出動ができるもんじゃない。だから今、有事立法はどうしても平和なときに考えてやっておかないといけない。超法規でやると海外まで出て行くかもしれない。今の時代、冷静な時代に日本の自衛はどうあるべきか。