在日朝鮮人をめぐる時事問題
Vol. 18


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  • 1996/11/27 配信

    橋本首相は地方公務員の外国人採用に慎重

     昨日の記事では,白川自治相の発言は現内閣の基本方針ではないかと書きましたが,妥当な読みではありませんでした。というのも,橋本龍太郎首相は,記者団のインタビューに答えて次のように発言しています(日本時間27日午後4時)。

     (外国人が地方自治体の)「すべての機密に携わることは、確かに問題は生じる。そして、職種を限定するということは、逆に昇進の機会を限定させる。これを納得した上でのことなら、一つの選択肢であることは間違いない。問題は職種を制限できるのか。いままであった外国人の地方公務員の採用の問題は、あらかじめ職種が限定されたものだ。それについての不満は外国籍の人にもある。そして、その不完全な議論のままでは、必ず昇任の問題を発生する。そういう点まで煮詰めた議論をしているんだろうか。僕は外国籍の方の知識は行政に生かせると思うが、それは専門的な分野に関してで、一般職になるとね。」

     さて,今後どうなりますか。

     ところで,昨日の記事では,26日の自民党総務会の発言として松永光氏の発言を取り上げましたが,他にも「教科書での慰安婦の記述も問題だ。誤った記述があれば、文相が改められないか」「執行部が村山(元首相)談話をベースにしているのはおかしい。国民は自民党らしさを求めている」(いずれも板垣正氏),「韓国や中国は歴史認識や靖国問題について戦略的に発言している」(奥野誠亮氏)など,右派の強行発言があったようです。


  • 1996/11/26 配信

    地方公務員の外国人採用について

     白川自治相は,8日のインタビューで地方公務員の外国人採用について積極姿勢を示しましたが,その後も12日,19日,22日と(いずれも閣議後),発言内容を微妙に変化させつつも関連の発言をくり返しています。自治相の発言を要約すると,以下のようになります。

    1. 外国人の採用は、最終的には住民から選ばれた地方自治体の首長が決めること。職員の任用は地方公共団体が責任を持って自主的、適切に行っていただく。
    2. 昨日、今日来日した外国人もいれば、日本に20年、30年住んでいる人もいる。永住権を持っている人もいる。『外国人』も問われている。
    3. 一般事務職の採用は基本的には、地方自治体が公務員の基本原則を踏まえた上で、責任をもって適切な判断をしてもらう。仕事の中身、組織などがさまざまなので一律に範囲を画定することは困難であり、当該団体で職務内容を検討のうえ具体的に判断されるべきもの。運用の面において工夫をし、適切な措置を講じれば解決の途は開かれる。
    4. 自治体は外国人に採用機会の拡大に努力してもらいたい。これが最終結論だ。             
     2の発言は12日のインタビューでなされたものですが,「当然の法理として、公権力の行使などに携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする」という1953年の内閣法制局見解を破棄し,「短期滞在外国人」と「定住外国人」の分別という新たな原則を導入する可能性について言及したものと理解できます。しかし,それ以後のインタビューではこのことについてまったく触れられていません。どうやらこれは,白川自治相の個人的見解であり,内閣の基本方針としては認められなかったものと思われます。

     それにかわって強調されはじめたのが3です。自治相は当初,「当然の法理」を認めるとも認めないとも明言はしていなかったのですが,22日にはこれを踏襲すると発言し,そのうえで4のように結論づけています。すなわち,採用基準の原則を転換することはあきらめたものの,少なくとも地方公務員の外国人採用を拡大する方向性だけは打ち出すという妥協案に落ち着いたということでしょう。そして,これはおそらく,現内閣の基本方針であると考えられます。

     この姿勢にたいして,やはり自民党内では反発の声があがっています。松永光元文相は26日の自民党総務会で、「自治相の判断は誤っている。この考えは危険だ」「公務に就くものは地方、国家を問わず、日本国籍を持つものに限るべきだ。日本国籍を持つために帰化の制度もある。愛国心を持って公務に就くことが大事だが、国籍を持たない人に日本を愛せと言うこと自体が問題だ」と述べたとのことです。

     どうも現内閣は,自民党内の政治力学の微妙なところに成立しているように思われます。はたして自治相は現在の立場をどこまで押し通すことができるでしょうか。


  • 1996/11/08 配信

    新内閣の新姿勢

     倉田元自治相の発言を掲載したばかりですが,7日の新内閣発足にともなって,いくつかの大きな展開がありましたのでお伝えします。

     まず,新しい自治相となった白川勝彦氏ですが,地方公務員を採用する際の国籍条項問題について「外国人の採用は,最終的には住民から選ばれた(地方自治体の)首長が決めること。首長の判断を優先する指導が必要だ。内閣法制局とよく相談するよう(事務方に)指示した」と述べたとのことです。この通りだとすると,すでに門戸を開放している川崎市のほか,高知県,大阪市などについても,圧力を加える必要がないと支持したものと受け取れます。また,公権力の行使などにかかわる公務員は日本国籍が必要とする従来の政府見解を見直す方針を示唆したという意味にも取れます。

     議会の過半数に満たない不安定な状態とはいえ,自民党が単独政権を担ったいま,かなり意外な方向転換のように思われます。弁護士出身で「リベラル」を自認する白川氏としては妥当な発言なのかもしれませんが,そもそも外国人の採用問題が争点となっているこの時期に,白川氏が自治相に就任したこと自体がやや意外なことではあります。

     さらに,新しく文相となった小杉隆氏は,来春から中学校の教科書などに登場する従軍慰安婦の記述について,「率直に事実は事実として載せる教科書検定調査審議会の判断を支持する」と述べたとのことです。

     「明るい日本」国会議員連盟(「侵略否認派議員らが巻き返しにやっき」を参照)は,自民党内の幅広い支持を取り付けていると思われましたが,必ずしも党内主流の意見ではなかったということでしょうか?


  • 1996/11/05 配信

    自治相が国籍条項一部緩和……?

     倉田寛之自治相は11月1日,閣議後の記者会見で「外国人の地方公務員への任用について」と題する談話を発表しました。その中で,これまで本来的業務を行う限り必ずしも日本国籍を持つことを必要としない職種として,国際職や情報職,保健婦,助産婦,看護婦など専門的・技術的な職種があるとしていましたが,今回,これに加えて,臨床検査技師などの医療技術職や栄養士,保母などについても該当するとの考えを示しました。

     こういうレトリック上のごまかしで,少しでも不満や批判を軽減しようというつもりでしょうか。たとえば,保母については従来からも不透明ながら,外国人の採用が可能とみなされてきた職種の一つです。それをはっきりと追認したにすぎません。それで,あたかも新規に採用基準を緩和したかのような言辞をろうするのは,卑怯です。


  • 1996/11/04 配信

    年金差別撤廃の要望書

     共同通信によると,「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会」は10月25日,かつての国籍条項などで国民年金に加入できなかった在日外国人の障害者や高齢者にも年金支給を求める要望書を厚生省に提出したとのことです。(なお,共同通信では代表者名が「リ・ヘングェン」になっていましたが,福岡の「リ・ヘングァン」さんの間違いではありませんかね。)

     この問題(年金差別)については,すでに「日弁連の要望書2点」で詳しく紹介してありますので,まずそちらを参照していただきましょう。簡単にいうと,1982年に外国人が国民年金に加入できるようになったとき,日本国民には適用された「経過措置」が外国人には適用されなかったため,年金に入りたくても入れない,年金を受け取りたくても受け取れない外国人がたくさん残ったのです。

     同会は,今年の年金法改正で,帰国した中国残留日本人孤児には中国で生活していた期間を保険料免除期間などとする特例措置を設けたことを紹介しています。この事実は知りませんでしたが,こうなってくると「経過措置」はあくまでも“日本人”のためのものであり,よその民族については知ったことではない,という差別性がよけいにあらわになってきます。


  • 1996/10/28 配信

    韓国文献目録情報検索

     韓国国立図書館(http://203.237.248.5/)の書誌情報が検索可能になっていることはご存じでしょうか。情報はCD−ROMなどで市販されてもいますが,WWWではなんと無料で利用できるのです。

     韓国文献目録情報検索(http://203.237.248.5/cgi-bin/login)をのぞいてみると,1)一般図書,2)学位論文,3)古書の3つのデータベースから一つをラジオボタンで選択するようになっています。ちょうど,HANの論文検索ページのような感じですね。

     実際に検索をするためには,ハングルが読み書きできる環境になければなりません。今日は,そこで学位論文と一般図書から,「在日」をキーワードに検索を行ってみました。ハングルで「チェイル」としただけですから,再一致の「再一」にヒットしたりというミスもありました。しかし,思ったよりもミス・ヒット率は少なかったですね。しかし,少ないといえばヒット数そのものが少ないと言わざるをえないでしょう。以下,ミスを省いたうえで一般図書の一部と学位論文の結果を紹介します。


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