2.小学校の入学に当たって

(A)幼稚園・保育所の入園・入所とその状況

 準義務教育化している幼稚園・保育所ですが、和歌山市においても、多数の在日韓国・朝鮮人の子ども達が在籍しています。しかしこの子ども達に対する実態把握が行われていないのが残念です。(県教委の持つ在日外国人の子ども達の人数は、1997年度調査 公立幼稚園 6名 私立幼稚園 5名となっていますが、とてもこの数字が実態を表しているとは考えられません。)就学前とはいえ、本名などその悩みは小学校入学時と全く同じです。子ども・保護者との関わりは(B)以降を参考ににしていただきたいと思います。

 ここでは、入園・入所手続きのみ示しておきます。
 

 公立幼稚園の場合 
  • 9月頃、「市報和歌山」で入園
    案内を出す
 
  1. 保護者が、直接幼稚園に行き手続きを行う
  2. 12月頃、各園長が面接し、就学通知を行う(住民票などが必要)
 
 
 保育園の場合(公立・私立の両方) 
  • 「市報和歌山」で入所案内を出す
 
市役所2F児童家庭課で受付を行う。その際、収入を証明するもの(源泉徴収票など)が必要(入所については外国人も日本人も同じ扱いをする)また、住民票などは不要
 
 

(B)小学校の入学手続き

 小学校に入学し、初めての学校生活を迎えるに当たって、子どもも保護者も、大きな期待とともに様々な不安を覚えるものです。特に在日韓国・朝鮮人にとって、これまでの歴史の経緯から考えても、日本の教育を受けようとする保護者の思いはより複雑です。
 

在日韓国・朝鮮人の保護者の思い

「先生、私ら朝鮮人は、初めて、子どもを入学させるとき、子どもが 
ちゃんと学校に行くやろうかって悩むと同時に、朝鮮人は、朝鮮人の 
学校へ行った方が幸福になるんと違うやろかって考えるんやで。悩ん 
で悩んでやっぱり、日本の学校にやろうって決めて、胸どきどきさせ 
なが学校の門に入って、体育館に入ったとき、真正面に、大きな大き 
な日の丸みたとき、親として子どもに、とんでもない進路をあたえた 
んと違やろかって、思って涙がとまらへんかった。先生わかるか。」

 日本の学校に入学する在日韓国・朝鮮人の子ども達と保護者の願いや不安に答えるところから6年間の在日韓国・朝鮮人教育がスタートするといえるでしょう。

<外国籍の子どもの入学手続き>
  和歌山市でも、日韓首脳会議での話し合いを受けて近年在日外国人の就学予定者に対する「就学案内」が出されるようになりました。しかし、大阪などで行われているように、外国語で書かれた案内文を出していません。これでは、外国から来たばかりの日本語が分からない保護者には、なんのことだかわかりません。以下の記述は和歌山市のものを参考にして入学までの様子を記述しました。

  1. 前年9月に教育委員会は、市の外国人登録簿をもとに、学齢に達した子どもの保護者宛に「就学案内」を出す。
  2. 市立小学校に入学を希望する場合、上の書類「和歌山市立学校就学申請書」を教育委員会へ提出。
 これで、学齢簿に記載されます。書類上、これで入学 に向かっていきますが、ここで、知ってほしいことがあります。民族学校を 選ばず、日本の学校に入学させようとする保護者の思いや、本名か通名か(日本風の名前)の悩みなどがあることを。

(C)入学前後の指導

 前述のことから、保護者とできるだけ早く話をしておく必要があります。具体的には、校内に在日韓国・朝鮮人教育を進める部の設置が望ましいのですが、当面は、同和委員会が中心となって進めて行くべきでしょう。

 入学前に、校内同和委員会として保護者と会い、本名のこと、民族のこと、学校に望むことなどを話し合い、その内容を、担任に引き継ぐという取り組みをしたいものです。

 さらに、和歌山ではまだ実践している学校はないのですが、在日韓国・朝鮮人保護者の集まりをできるだけ早い時期に計画・実施することが望ましいと思います。不安でいっぱいの保護者達にとって、多くの仲間がいる。これ以上の安心感はありません。

 この会はどのようにして持てばいいのでしょう。保護者の中から自然と生まれてくるのが一番いいのですが(といっても、学校とは別のところで保護者同士の井戸端会議的なものはあるでしょうが)、保護者に対して「何か学校への不安や要望はありませんか?」と尋ね、「同じ様な悩みや不安を持っている方もおられます」と答えれば自然と保護者のつながりはできてくるのではないでしょうか。「もしよければ保護者の方同士で一度あって見ませんか?」と言うのも一案です。会えばいろんな話も出てきます。

 またこのような集まりができれば、それっきりでなく、月に一度かあるいは学期に一度程度の会合を持つこともいいでしょう。保護者の中には、「いつでも相談できる仲間がいる。悩みをはなせる仲間がいる」ことは非常に心強いものです。また教職員の側からは、保護者の思いや学校への要望などを聞く大切な機会となります。

(D)諸書類の記入

  1. 小学校入学時の指導要録等の記入は、きわめて重要です。この記入を誤ると、外国籍であることさえも、不明のままで、学年を引き継がれていくことになります。
  2. 委員会・学籍係で就学年齢に達したものを、住民票より抜き出し、各個人宛に「就学案内」を送る。また市政ニュースなどでも案内をする。在日韓国・朝鮮人の子ども達の場合は、住民票がなくその代わりをするのが、「外国人登録済証明書」ですが、市教委は、外国人登録原簿から学齢に達した在日韓国・朝鮮人の子ども達を抜き出し、「就学案内」を出す。
  3. 公立学校の入学を希望する場合、保護者が、直接委員会に行き「就学申請書」を提出する。そのとき、人の目に触れるような案内など本名を使うか、通名を使うかを希望できる。(ただし、公簿などは、本名・西暦を使う)
  4. 「就学検診」の案内を送る
  5. 各校で、「就学検診」を受ける。(ただし、検診を希望するもののみ)
  6. 入学者名簿に記入される。(きちんと本名がかかれているが、読みかたはない。) 
  7. 就学通知書を各自に送る。(希望によって通名になっていることもある)
  8. 校内同和委員会を中心に外国籍の子ども達の家へ家庭訪問を行う。本名・民族のことなどを話し合う。→担任に報告
  9. 学級編成・学年会職員会議の時に、外国籍の子ども達の存在についてきちんとはなしておく。
  10. 学級発表・学級名簿などの記入・呼称は、保護者と十分話し合う。
  11. 公簿への記入は、必ず、「入学予定者学齢簿」をみて書くこと。絶対に、家庭環境調査票から転記しないこと。これは、多くの場合在日韓国・朝鮮人保護者は、通名を書いてくることが多いからです。(「入学予定者学齢簿」は、管理職・学籍担当者などが持っている)
  12. 読み仮名は、「人名仮名表記辞典」をみて、より正しく記入すること。(保護者自身も不明なことがあることに注意)
  13. 生年月日は、西暦のみを記入したい。

  14. (昭和・平成なの元号が使われている場合でも消して西暦年を記入することができる。小さな配慮かもしれないが、われわれ教職員としての在日韓国・朝鮮人問題への態度・責任として西暦表記を実施したい。)

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