(A)進学先の選択
在日韓国・朝鮮人生徒の進路の相談にあたっては、日本人生徒の進路相談に必要な基礎的認識に加えて、在日韓国・朝鮮人生徒にのみ必要ないくつかの視点が必要です。以下のような点に留意して進学先の相談を行っている担任もいますので参考にして下さい。
高校進学においては、現在では、選考時の民族差別はほとんどなくなっています。しかし、一部の私立高校や、専門学校の中には、面接時に本名通学に否定的ともとれる発言をしたり、日本人優先とも考えられる選考をしたケースもあります。
差別的な選考をしないこと、本名通学を否定しないことを事前に要請している中学校もあります。
民族差別を心配するあまり、調査票に通名しか記入しない担任も未だに存在しますが、本名を記入しなければ進学先で韓国・朝鮮人としての指導が不可能になり、重大な悲劇を招くことにもなりかねません。
民族学校を進路選択の一つに据え紹介することも大切なことです。民族学校についての客観的資料をそろえ、保護者の相談にのれる体制をとったり、卒業生から民族学校の特徴を聞き、資料の一部に加えている学校もあります。教員が民族学校を見学し、その教育内容について認識を深めているケースもあります。
近畿圏内の民族学校のデータを以下の表に示します。
| ・各種学校として各府県が認可しているもの
特徴 母国語、母国史の学習、民族的自覚の確立に力をそそぐ。
▲神戸朝鮮高級学校 神戸市垂水区上高丸1−5
・私立高校として学校教育法第1条の認可を持つもの 特徴 授業は日本語が原則、母国語の学習は外国語の一部として実施
▲白頭学園建国高等学校 大阪市住吉区遠里2−97
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韓国・朝鮮人生徒(以下生徒と表記)の就職差別・就業差別はまだまだ厳しいものがあります。「ただ希望の学校へ入学できれば」といった視点だけでは、進学後あるいは次のステップで挫折が待ち受けている可能性があります。中学生の段階から、ある程度は将来の進路を展望しておく必要があるでしょう。(P43〜P47参照)就職差別・就業差別に負けないためにも、生徒の民族的自覚を高める必要があります。
(B)民族的自覚を高める進路相談・進路学活
厳しい民族的差別が残る中で進路の問題を考えるとき、生徒の心は大きく揺れ動きます。差別の状況を知らない生徒や、差別状況をあまりにも悲観的にとらえすぎる傾向のある保護者にも、客観的状況を知らせる必要があります。この時期は、本人の民族的自覚を高めることの重要さを理解してもらうしめくくりの時期としてとらえることができます。自分の一生を決めるかもしれない進路選択の時期、生徒達は日本人生徒の数倍も真剣になることがよくあります。進学や就職のために外国人登録証が必要になって、初めてショックを感じるような状況ではこの時期の指導は困難です。入学以後一貫して民族的自覚を高める手だすけをしてきた決算の時期としてとらえたいものです。
また、本名宣言をしていない生徒に対しては、本名宣言に導く最後のチャンスとして進路学活をとらえている担任もいます。生徒が差別・排外の現状を認識し、うち勝っていく力を付ける場としても、積極的に民族の問題を話し込んでいきたいものです。民族学級や民族クラブ担当者とも、この時期は特に連絡を密にとっていくことが望ましいでしょう。
(C)財団法人朝鮮奨学会高校奨学金とそのほかの奨学金
すべての進学希望者に対して、高校奨学金や授業料免除についての説明が行われるでしょうが、韓国・朝鮮人生徒に対しては、それにくわえて、財団法人朝鮮奨学会高校奨学金(以下朝鮮奨学金と表記)と、そのほかの奨学金の国籍条項(外国人付加の条項)についての説明が必要でしょう。<民族学級や民族クラブがまだない中学校では、学年で生徒を呼んで、奨学金の話や韓国・朝鮮人としての日本の学校で学ぶ意識や高校生になるにあたっての心構えなど(P50参照)を十分に説明している学校も多数あります。>
| 朝鮮奨学金の申請について
対象者 韓国籍または、朝鮮籍の日本の高校で学ぶ高校生全員。(定時制、通
奨学金の額 高校生は月10,000円 (1997年度)が支給され、返却の必
資金源 大韓帝国(1896年〜1910年)時代の大使館跡地(新宿と代々
奨学会 日本政府から財団法人の認可を受けて文部省の指導を受けて発足。理
奨学生の選抜 本人の民族的な自覚が重要視され、面接試験がある。収入証明は不必
▲経済的困窮家庭のもの
▲民族的自覚の高揚を期待するもの
▲学業成績不振のもの
奨学会の活動 奨学会は、新入奨学生歓迎会、サマーキャンプ、 (ウリ) 高校
保護者への説得 残念ながら和歌山の多くの中学校で、高校進学希望者の生徒全員に朝
中学側の手続き 高校の中には、いまだに、朝鮮奨学生募集業務を、掲示やプリントの
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上記の朝鮮奨学金は、日本の各種奨学金との併給は可能ですが、韓国教育財団奨学金、朝鮮高校生奨学金などの民族団体奨学金との併用は不可能です。
日本育英会奨学金の国籍条項は1975年に撤廃されました。日本ユーカラ奨学金についても1989年に撤廃されました。西宮市奨学金には国籍条項はありません(民族学校高校生にも1988年から支給されています)。
経済的困窮生徒には、朝鮮奨学金と各種奨学金、そして授業料など免除の3種類または4種類の申請を進めている中学校が他府県にはあります。