みのおセッパラム '97

去年度の長田マダンをレポートした、大塚です。
去年も行ったのですが、本年度(5周年だそう)も、みのおセッパラム(2/4〜9、16)に行って参りました!
といっても、今年はメインの日曜(2/9)でなく、土曜(2/8)に行ってきたのですが...。
そのため民族祭一番のお楽しみのプンムルや屋台は楽しめませんでしたが、一週間に渡って長期展示される室内展示や、土曜日の特別行事(国楽演奏、映画)を楽しんできました。
カメラを写るんですしか持っていってなかったため、画像はとても悪くて申し訳ないのですが...。

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セッパラム会場、箕面市立メイプルホール。

会場内の風景。常設展示「チョゴリを描こう!」には、箕面市内の日本人在日問わない小中学生の描いたチョゴリの絵が一面に飾られていた他、日本中から集められた一般公募のチョゴリの絵が飾られていました。
このコーナーに限らず、KMJ(コリアン・マイノリティー・ジャパン)の出店や花文字のプロに名前を描いてもらえるコーナー、似顔絵コーナー、etc.、etc.、楽しめる展示がたくさんありました。

国楽演奏

●日本で有名な朝鮮音楽というとどうしても農楽等の打楽器系統になるのですが、当然ながら朝鮮にも弦や管といった楽器を使った伝統音楽があります。
あまり知られていないそれらをぜひ日本の人達に知って欲しいと、韓国の音楽学校に5年間留学したことのある志村哲男さんが、国楽を披露して下さいました。
セッパラム事務局の人に、「もう1人金君連れてくるわ」と気軽に言われたので事務局の人としては在日の知り合いを連れてこられるのかと思っていたそうですが、何と蓋を開けてみれば釜山市立国楽交響楽団の主席奏者・金寿一さん。
留学時代に共に国楽を学ばれたそうで、その縁で今回連れて来られたそうです。
日韓のトップレベルの朝鮮国楽奏者(志村さん曰く「日本人でコムンゴ弾ける人間など私1人くらいでしょうから、私が日本ではコムンゴの第1人者となるわけです。」....^_^;;)の演奏を楽しめて、本当にラッキーでした。

プログラム。いっぱい書き込みがあって申し訳ないですけれど、それがこのページでの解説につながっていると思って我慢してください。
プログラムを解説しますと、古代中世の音楽を経て今に残る「国楽」といった形のものが成立したのは、李朝中期頃との事。
大きく分けると両班階級の音楽で、中国的で感情表現を露にしない「雅楽(正楽)」と、大衆の「俗楽」とに分けることが出来ます。
祭礼楽とはその名の通り祭礼の時に演奏される音楽で、文廟祭礼楽は孔子を祭る祭礼の時の音楽で、19世紀中国宋代に伝わり、今も成均館大学では行われている祭礼楽だそうです。
宗廟祭礼楽は李朝代々の王を祭る祭礼の音楽。
宴礼楽は外交使節を迎えるなど宴の折の音楽で、唐楽とは中国、郷楽とは朝鮮の音楽で、呈才とは舞のこと。
大衆の俗楽はまた分けると2種に分かれますが、その分け方に2通り考えられます。
1つの分け方は宗教楽と民俗楽に分ける方法で、宗教楽はまた法楽(仏教)と巫楽(シャーマニズム)に分けられます。
もう1つの分け方は、巫楽と民俗楽を分けて法楽と対置する分け方で、何故かと言えば民俗楽は全て巫楽から発展して出来てきたものだからです。
たとえば、全羅地方の音楽として知られる南道楽、その中に含まれるかの有名な「パンソリ」も、当初は巫楽にのせられて語られた教訓話、語り物がルーツだと言われています。

金寿一さんによるテグム独奏です。曲名は「清声曲」といい、本来は合奏曲で、長短(リズム)に併せて演奏されるのですが、独奏では長短をなくして感覚的(?)に演奏するのが特徴だそうです。
しっとりとした曲で、音色は高い尺八(私以前やってたのよ、今はもう吹けないけど)のような感じ、首を振って音色の揺れや高さを操るところも尺八とそっくりなのですが、この曲は「正楽」なので、感情表現的なビブラートやポルタメント(「弄声」と呼ばれます)はあまり表に出されません。

テグムの楽器説明。大きな楽器なのに何故高い音が出るのか? それは、指差している部分に「清穴」と呼ばれる穴が開けてあって、そこに竹の薄皮を張り付けてあるので高い音が鳴るのです。

続いて、志村さんコムンゴ・金さんタンソによる並奏。タンソは短い笛、コムンゴは琴。曲はプログラムでの分類では「風流」に属する「霊山会相」という9部構成の曲のうちの「念仏還入」「打令」の2部。昔仏教徒が「霊山会相仏菩薩」と唱えながら舞っていたものを、正楽に取り入れたものらしい。(つまり法楽から正楽に取り入れられたという事かな?)
曲調は...部の変わる所でリズムの変わる変調曲で、タンソの高音とコムンゴの低音が響き合う(朝鮮の琴は低音志向だそう)いい曲だったのですが、すみません、正直に言うと見てからだいぶ経ってレポートしてるのでほとんど忘れてます。
どうせ音聞けないんだからいいでしょ...なんて開き直ってますが。

コムンゴの弦の接続部アップです。
わかるでしょうか? 弦が固定されているのでなく、紐で止められているのです。
つまり、弦を張るだけでなく緩める事も出来るので、上だけでなく下の音階へのポルタメントもかけられるという珍しい楽器です。
他にも、かまぼこ状のフレットがついているという特徴があります。
コムンゴの弦は13弦で、カヤグムが12弦で女性が主に弾くのとは対照的に、男性が主に礼楽の精神修養のために弾くものであるそうです。

今回使われた楽器、勢揃いです。

最後の曲目、テグムとチャンゴの散調です。
散調は独奏と違い「俗楽」に属するので、感情表現露にテグムがビブラート、ポルタメントを効かせまくります。
4部構成の曲で東洋的な「序破急」の構成を持っており、後の方のテンポのいい部分では、「セタリョン」や「コッタリョン」に似た曲調もありました。

演奏終わって、花束贈呈です。堪能できました、ありがとう!!

映画

●映画は土日は夜9時まで上映されていて、夕方に他のイベントがかなり終わってからでも2つとも見られるといううれしい配慮。京都まで帰るというのに最後まで見てしまいました。
例年どおり韓国、共和国から1作づつ、韓国からは「将軍の息子」。これ、確か「西便制」と同じ監督(林権澤)なんだよね。
共和国からは「大同江のほとりで」。1時間づつくらいの2部作に分かれている作品です。

●「将軍の息子:名監督 林権澤(イム・グォンテク)にはめずらしいヤクザ・アクション作品。植民統治下の韓国、その中で唯一の韓国人街=鐘路地区のドンとして闘う金斗漢。パート3まで制作されている人気シリーズの第1作。」
これはおもしろい!韓国ソウルの街中で、日本人ヤクザと韓国人ヤクザがシマを争って闘い合うアクション映画なんだけど、喧嘩シーンが超カッコイイ!
何というか…すっごくリアルな感じがするんですわ。
香港のカンフー映画って、動きが早すぎて攻防が出来過ぎてて、何か全くリアルさがないんだけど、こっちは本当に相手の隙を伺うといった感じの描写で、かっこいいのです。
もちろん、「グレイシー柔術」見てるわけじゃないんだから本当の素手格闘とは似ても似つかんのだろうけど、何となく「リアル」という感じを与えるよううまく見せている。
映画の背景なんかもおもしろくて、「植民統治下の韓国」って、今1つどんな世界だったか想像しにくく、苛酷というけどみんな飢えていたりしたんだろうか、でも日常生活を営んでいた人もいるのだろうし、どんな世界だったんだろうという疑問を常日頃抱いていたし、それをいう以前に日本国内だって戦時中はどんな暮らしだったのか、都市の機能(繁華街だの)は完全麻痺して都市住人の生活は完全に破壊されていたのだろうかだの、疑問は多かったんだけど、その辺の疑問をまとめて葬り去ってくれた作品でした。
その意味で、知的好奇心も満足できた作品です。

●「大同江のほとりで:2組の恋----大同江(テドンガン)に浮かぶ遊覧船の顧問船長と幼稚園の園長、水上スキー選手として名を馳せる娘としゅんせつ船の青年船長---を、平壌市民の家族生活や統一通りの建設を背景に描いた人情喜劇。」
家族コメディーなんだけど...最初のうちは共和国へのやっぱり少しはある偏見のために、また前編は事あるごとに「国家を称える歌」みたいなのが多かった事もその偏見に輪をかけて、ちょっと頬を引きつらせながら「さっぶ〜〜〜」とか思いつつ見ていたのですが、後編になると事件と事件が複雑に絡み合って、「あそこの伏線が生きてくるか」みたいな感じで意外な展開にすっげえ笑わせてもらいました。
登場人物はなんか後ろ暗いところがない、それが逆に薄ら寒い(小林よしのり的に言えば「純粋まっすぐ君」か?)人達だったが、しかしあの笑える話のセンスはよかったし、はっきり言って「笑える」話を作れる人間はどこか根性のいがんでいる奴だから、こんな話の作れる奴も共和国にはいるのだなと、少しホッとしました。
まあ、国の体制だのとは関係なく人は「生きて」いるのだから、当たり前っちゃあ当たり前なんだけど...。


最終更新: