先月末に、タミフル調査の寄付金が話題になりました。これは厚生労働省にいろいろと問題が大きいですね。
研究班の06年度調査は、(...中略...)インフルエンザ患者約1万人を対象に、年齢幅を0〜18歳まで広げ、異常言動とタミフル服用との前後関係などを確認する。(...中略...)しかし、厚労省から支給される研究費が400万円しかないため、(...中略...)製薬企業からの寄付で補うことなどを確認した。(...中略...)中外製薬が寄付した6000万円のうち、627万円を研究班の資金に流用。調査票の印刷・発送経費の不足分に充てた。(毎日新聞より)第一に、1万人の調査をやろうというのに400万円でやれるわけがない。この時点ですでに企画立案能力に問題がある。
調査の内容や手法にもよりますが、ボクらが学術的な調査を企画する場合、1サンプルあたり2万円の予算を確保するところからスタートします。1万人どころか、千人の調査でも2千万円の予算規模です。
サンプル数1万なら、調査の内容や手法を調整して思いっきり節約しても、最低限の必要経費だけで1千万円を下回ることはありえません。それを、400万円とは!
第二に、製薬会社との癒着ぶりがひどすぎる。
400万円で調査をやれるはずがないことは、説明すれば子どもでも分かる話です。上で「企画立案能力に問題がある」と書きましたが、厚労省の担当者に分からなかったはずがない。
経緯は今のところ不透明ですが、もともと、製薬会社からの寄付金を流用することが織り込み済みだったのではないかと思われます。
薬の副作用の調査に、もともと製薬会社からの寄付金を使うつもりだったとしたら、常識はずれもいいところ。分析者がどれだけまじめにやっても、結果がゆがんでいるのではないかとの疑いをどうしても呼んでしまう。
医療も医療行政も、高度な「専門化支配」のために外部からの監視の目が行き届かない。本質的に薬害などが発生しやすい環境にあります。だからこそ、意識的にコンプライアンスを高める制度的な工夫が必要なはずなのに、そのような問題意識は一切なかったようです。
第三に、研究者に手を汚させようという姿勢がいやらしい。
報道によると、研究班が自前で寄付金から予算を確保できるよう奔走したらしい。つまり、厚労省は、問題のある資金流用について、自分の手を汚さず研究者たちを誘導したということでしょう。
第四に、研究者に罪をかぶせて切り捨てる姿勢が汚い
研究者には同業者や外部から監視を受ける仕組みがありますので、スポンサーにある程度配慮した記述にすることはあっても、データを捏造したり、ウソをついたりすることはできません。それは、研究者生命を確実に危険にさらすことになるハイリスクな行為であり、はした金でやれることではありません。
今回メンバーからはずされた研究者たちは、私服を肥やして分析結果を捻じ曲げるような人物であったようには思われません。そもそも、寄付金の受け入れについても、きちんと手続きを整えた上で、本当に必要な経費を流用しているわけですから、それも問題だとはいえない。むしろ、乏しい予算をやりくりして、懸命に結果を出そうと努力したようにしか見えない。
それを、マスコミからヒステリックな糾弾を受けたら、あたかも研究者側に問題があったかのごとくただメンバーからはずすというのは、当の研究者にとってはあまりにも不名誉なこと。いったい、誰が名誉を回復するというのでしょうか。
第五に、意図していなかったように装う姿勢が汚い。
会見した厚労省医薬食品局の中澤一隆総務課長は「(中外製薬の寄付を流用した点について)問題があり、対応が十分でなかった。(流用を結果的に黙認したことは)十分な認識が足りなかった」と謝罪した。(同上)「バレたときに非難される」という認識が足りなかったということであって、「中立的で正確な調査を実現するために問題がある」という認識が足りなかったわけではないのでしょう。

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