後ろに座る学生 #2

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 教室で後ろに座ろうとするのはどういう学生なのか、7日のエントリーにも書きましたが、その続編です。

 前回は社会学の理論的な考え方を紹介しましたが、社会心理学分野では、学生の座席選択行動についての実証的な研究がたくさんあります。

 「Millard & Stimpson(1980)は、座席選択行動が...教室における興味や関心に反映され、前方に着席する学生のほうがその授業に対する好みや関心が高く、参加意識や学習動機も優れていることを明らかにしている。この他、教室の前方に座る学生ほど授業に対する注意力に優れ(Schwebel & Cherlin 1972)、よい成績をとることを重要と考え、他者から知的かつ独創的と見られたいという思いが強い(Walberg 1969)、など...」(川西 2006:211)
 同僚の先生の論文からの引用です。この論文の面白いところは、いくつかの授業の分類ごとに座席位置やパーソナリティの関連を調べてあるのですね。ちょっとオキテやぶりですが、5%水準で有意な相関係数だけ引用してみたのが下の表です。相関係数がプラスだと「より後ろに座る傾向がある」という意味。

  条件なし好きな
先生
嫌いな
先生
おもしろい
授業
おもしろく
ない授業
必修の
授業
選択の
授業
アパシー未来不安定.339 .219.232.194.255.347
抑うつ.282 .221  .200.264
自信欠乏      .231
帰属感大学関与感  -.308-.193-.261-.318-.294
大学一体感    -.196  
学習意欲学習意欲低下.373.278.247.276.299.285.347
授業意欲低下.246 .193 .197.194 

 ゼロ次の相関係数ですので解釈は難しいのですが、以下のことは指摘してもよさそうです。

  • 授業のタイプによって座席選択行動にかなりの違いがあるということ
  • 「嫌いな先生」「おもしろくない授業」「選択の授業」といったインセンティブの低い授業で、座席選択行動はパーソナリティや学習意欲の影響をより強く受けると思われること
  • 逆に、「好きな先生」「おもしろい授業」といった内発的な動機付けがはっきりした授業では、座席選択行動はパーソナリティや学習意欲の影響を受けにくいこと
  • 「アパシー」(無力感)の強い学生、「帰属感」の弱い学生、「学習意欲」の低い学生は、総じて後ろのほうに座りたがる傾向があること
  • 学習意欲の低下が総じて着座位置にもっとも強い影響を与えていること
 産能大の調査では、後ろに座る学生ほど厳しい授業評価をする傾向があったとのことですが、学習意欲の低い学生が多いわけですから、当たり前といえば当たり前ですね。

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このページは、mskimが2007年5月11日 12:12に書いたブログ記事です。

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