アラスカには、ある種の人々を強く惹きつける磁場のようなものがあります。
フェアバンクスの日本人はアラスカ大学関係者、旅行業関係者、その他、という3つのグループに分けられるのですが、その多くの方がこの磁場に引き寄せられるようにアラスカに定着しています。
"その磁場の正体をきれいに言語化できたらこの調査は終了"
と思って現地でインタビューを重ねましたが、ハッキリする前に残念ながら時間切れとなりました。中途半端なまま結果を刊行するか、再調査するか、迷っているうちに時間ばかりがすぎてしまいました。6月までに決着をつける予定です。
さて、磁場の正体を明らかにするために、磁界の中心にあるのは何だろうかと考えてきたのですが、人によってその答えが違うのですね。
当初は、トラッパー(罠猟師)やハンターなど、完全なブッシュ生活をしている人々が磁界の中心に近い存在だろうと思っていたのですが、これはカヌーや山歩きなどアウトドアライフに強い関心を持つ一部の人にとってのイメージにすぎませんでした。
北の大自然(とともに生きる生活)はもちろん磁界の構成要素のひとつです。調査の語り手の言葉を借りるなら「北への憧れ」ですね。
しかし、インタビューの全体像からいえば、それよりもむしろ、アラスカのどこか「のんびりした時間の流れ」や、アメリカ本土以上に個々人のライフスタイルを尊重する「こだわらないところ」を強調する語り手が多かったように思います。
ぼくの専門のひとつであるナショナリズム研究の一環として、"人口の流出入の激しいアラスカでは、きっと民族問題も少ないにちがいない"、そう思ってはじめた調査ですが、むしろあまりにも民族間のトラブルが少なすぎて、調査の手がかりにすらならなかった印象があります。
ここでは、先住民(いわゆるエスキモーやインディアン)以外はみんなよそ者なのですね。WASPだからといってこの地域の主流の地位を占めているわけではありません。先住民以外は、みんなただの「個人」なのです。
アラスカは、そんな個々人をまるごと受け入れる大きさを持った土地です。そして、人々が厳しい自然と対峙するために、人種、民族、宗教の違いにこだわらず、困ったときには力をあわせて生きていく土地です。
そうそう、「アラスカの人が好き」という語り手もいました。安易に人に頼らず、文字通り自分の手で問題を解決していく不羈の精神を持つ人々。そんなアラスカ人が好きだというわけです。
こうしたさまざまな理由があって、ある種の人々にはアラスカがオーロラのように魅力的にみえるのでしょう。

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