日本に関心を持つ人にとっては、日本の外から日本を見たとき、いい面もわるい面もそれぞれ目に付くものです。しかし、ぼくの場合、ことジャーナリズムについていえば、不愉快になるほど"わるい面"ばかりが目に付いて仕方ありません。
必ずしも他国のジャーナリズムが平均的に優秀というわけでもないのですが、日本の大手報道各社についてはジャーナリズムを名乗る資格があるのか疑わしくなることもしばしば。
至近ではこのニュース。「日本の超党派国会議員有志や言論人グループなどが14日付の米紙ワシントン・ポストに、慰安婦らが日本軍によって強制的に慰安婦にされたことを示す歴史文書は存在しないなどとする全面広告を出した」(15日の時事ドットコム:当初の配信記事の半分くらいに縮小してます)というもの。→広告の現物(広告主の一人、西村幸祐氏のブログより)
どの新聞社もこの「事件」のニュースバリューを測ることができず、配信を垂れ流しするだけにとどまりました。19日現在になっても、続報はありません。しかし、今このタイミングで、よりによってワシントンポスト紙に、日本を代表する立場にあると解釈されてしまう人々の名前入りで、こんな広告を出せば、外交関係に非常に重大な影響が生じることは誰の目にも明らかです。その重大性が、新聞各社にはわからないらしい。いや、わからないはずがない。わかっていて、書かないのでしょう。そこが腹立たしい。
この広告のせいで、4月末に安部首相が訪米したときとは、米議会内の空気が完全に変わってしまいました。なにせ、副大統領が半公式にこの広告に激怒を表明している状態です。
せっかく様子見の流れだった日本軍慰安婦問題の糾弾決議案は下院に上程され、可決されるでしょう。そして、北朝鮮をめぐる多国間協議で、これまで以上に拉致問題は置き去りにされることになる(拉致加害を否定しようとする国が、拉致被害を訴えても説得力に欠けます)。さらに、大統領選の流れによっては、対日重視政策が後退し、中国重視へと大きく舵を切ることもありえます。
新大統領が就任する2009年、日本の外交環境が厳しさを増す中で、「あの広告が直接の転換点だった」と振りかえっているかもしれません。それまで、日本の「ジャーナリズム」は何もせずにただ黙っていることでしょう。
ちなみに、賛同人の一人、島田洋一氏のブログによると、「話題になったこと自体......大いに効果があった」というスタンス。90年代半ば以降の日本で達成した政治的ムーブメントを今度はアメリカでということなんでしょうが、この世間しらずぶりをどう表現したらいいものやら。

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