サン・ディエゴのホステルにて。相手は博士号を取ったばかりの33歳女性。ワシントンDC在住。
| 「明日はどこに行くの?」 | |
| 「はっきりとは決めてないけど明日はI-8でツーソンまで行くかなぁ。で、南部を回ってフロリダまで行ってからニューヨークに戻るよ。」 | |
| 「え、バイクでデザートを通るの? 昼に? あついわよ。気をつけてね」 | |
| 「うん、あついらしいね」(どうもこれがのん気に聞こえたらしい) | |
| 「出発する前に誰かにデザートを通るって伝えてからにしたほうがいいわ。ちゃんと生存が確認できるように。ここのフロントに伝えてから出なさいな」 | |
| 「ははは、ありがとう。」 | |
| 「笑いごとじゃないのよ。あそこはね、メキシコからの密入国者が毎年何人も猛暑で行き倒れて死んでしまうところなのよ。比喩じゃなくて本当に、車のボンネットで卵焼きができるくらい熱いの。あたしが行ったときも、たった10分エンジントラブルで停まっただけで本当に死ぬかと思った。遭難した!って大騒ぎだったんだから。それにね...」(以下10分ほどおどされる) | |
| 「んー、でも、それを自分で経験したくて旅をしているんだよね」 | |
| 「わかったわ。(真顔で)グッドラック!」 | |
| 「(オイオイやめてくれよ...) ^_^;」 |
実際にどうだったかというと、いや、本当にあつかった。暑いというより熱かった。
この日、気温は摂氏45度くらいまであがったようですが、ハイウェイのうえは当然さらに気温が高くなります。直射日光にさらされたものは触れないほど熱く、バイクも革手袋なしでは触れません。
熱中症予防にハイドリングシステムで水分補給していたのですが、ホースの中のドリンクが飲み頃のホットコーヒーぐらいの温度にあたたまっていたぐらいです。
休憩所で難を逃れようとしても、コンクリートが日なたと地続きなので日陰ですら床がカンカンに熱いのです。自動販売機はすべて故障中。ぜんぜん休憩になりません。
しかたなく走り始めると、熱せられた地面とカンカンに熱くなったバイクのエンジンから、まるでストーブの熱風みたいにとがった空気が吹き上げてきます。しかも、ただ走っているだけなのに、タイヤから焦げ臭い匂いが漂ってくるし。
Tシャツでバイクに乗っている人を見て、10分ほど夏用のメッシュジャケットに替えてみましたが、けっきょく暑いのに加えて熱くなっただけでした。気温が体温より高ければメッシュジャケットにはまったく意味がありませんね。もちろん3シーズンジャケットでも暑いのですが、熱風を防げるうえ、高速で走っていると汗が気化するときに少し涼しくなったりします。
それにしても、あのTシャツ野郎はすばらしい馬鹿ですね。結構好きです。真似しようとは思わないけど。
昨日も書きましたが、多くの場合、desertは水域がないだけであって、べつに砂ばかりっていうわけじゃないですから、「沙漠」と訳してもらいたいところです。アラスカでもツンドラが枯れて沙漠化している地域があるようですが、ようするに草が生えずに荒地になっているということですね。「砂漠化」では印象がかなり違います。
とはいっても、北米にも砂だらけのところはあります。規模が小さいですから「砂丘」dune扱いですけど。写真はカリフォルニア州の南東端にある砂丘で、北米ではめずらしいためか横に休憩所が設置されていました。
アリゾナの沙漠の写真はありません。そんな余裕ありませんでした。
そういうわけで、アメリカ最南部のコミュニティをまわってみたいというもくろみは、一日で挫折しました。ぼくはまだ耐えられたんですが、バイクがかわいそうで。だから進路を北に変えて、ルート66沿いに進んむことにしたわけです。
参考)アリゾナはグランドキャニオンとサボテンで有名な州で、北米でもっとも自然美の豊かな地域のひとつです。文字通り死ぬほどあつい夏の州南部はオススメしませんが、グランドキャニオンに近いフラッグスタッフFlagstaffという町のホステルには日本からも何人か旅行客が来ていました。ルート66を町おこしにしている、かわいらしい町ですよ。


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