一般に、受験への対応技術は高校や予備校で学びますね。膨大な試験問題を解いていくうちに自然と身につくものもあれば、ある程度体系だてたスキルを教師が教えてくれることもあるでしょう。
では、大学での定期試験への対応技術は、どうやって学ぶのか。ぼくが学生のころにどうだったかを例としてお話しましょう。
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たいていの大学では、年度初めにクラス委員を選びますよね。ぼくが出た大学では、その他にも、生協委員、コンパ・レクリエーション委員、そして試験対策委員(通称「シケ対」)といった役職がありました。最後に挙げたシケ対とは、「試験対策プリント」(通称「対プリ」)を作成する委員です。
シケ対は、代表的な授業について、丁寧にノートをとる担当者をそれぞれ数名指示します。そして試験前になると、担当者からノートを提出してもらい、さらに先輩たちから過去の試験問題を提供してもらい、模範解答などを記載した対プリを作成します。そして、クラス全員からコピー代を徴収し、対プリを配布します。試験の成績は対プリのできにかかっていますので、学生たちは自分のクラスの対プリだけでなく、他のクラスの分までかき集めます。そして複数の対プリを総合して、試験勉強をするわけです。
こういう一連のやり方は、真面目な学習を妨げるということで不快に思われる先生もいるだろうとは思います。事実、担当者がしっかりしてそうな授業には、ぼくは出席していなかった。
しかし、よく考えてみると、これってかなり理想的なピアレビュー&ピアサポートになっているのですね。
(1)ノート・テイキングの技術が向上する
対プリには、通常、(a)出題の傾向と対策、(b)授業のノート、(c)過去問の模範解答、の3点が記載されます。つまり、誰かが書いたノートがそのままコピーされ、クラスの中だけでなく、学校中に広まってしまうわけです。
これによって、2つの教育効果が発生します。
第一に、他の人たちがとった複数のノートを閲覧することにより、より効率のよいノート・テイキングの方法を学ぶことができるということ。
第二に、担当に当たった科目では、自分のノートが学校中に広まってしまうわけですから、恥をかきたくなければ、必死になってノートを整理しようと試みることになります。よくまとまっているノートは全学的に賞賛され、出来の悪いノートは全学的に罵倒されます。
(2)要点整理の訓練になる
対プリは必ずしもシケ対が作成するわけではありません。それぞれの科目について、シケ対から指示を受けた学生(多くの場合はノートの担当者)が作成します。その際、対プリに全授業内容を記載するわけにはいきませんので、ポイントをかいつまんで紹介しなければなりません。
したがって、少なくとも自分の担当科目については、授業の全体像を把握し、しかも、その要点を整理することになります。これは、要点整理のたいへんな訓練になります。
(3)自信形成につながる
入学したばかりの学生にとっては、多かれ少なかれ、大学での試験に不安があるものです。その点、対プリがあれば、その不安を大幅に軽減することができます。
それだけでなく、自分の担当科目については、同程度の学力水準にある学生たちにわかりやすく授業内容を紹介することになりますので、「教える」という作業を通してより授業内容への理解が進みます。
そして、立派な対プリを作成できたときには、大学での学習に対して、大きな自信を持つようになります。
(4)社会人基礎力の訓練になる
対プリを作成するためには、ただノートを上手にとるだけではいけません。ツテをたどって過去の試験問題を入手したり、(自分が模範解答を作れない場合は)誰かに模範解答を書いてもらう必要があります。つまり、単独ですべてを遂行できる能力がある場合は別ですが、基本的に、幅広くいろいろな人の助けを借りなければならないわけです。
そのため、対プリの作成にあたって、理解力、論理的思考力、表現力が問われることはもちろん、調査分析力、他人と共同して問題解決にあたることができるコラボレーション力まで発揮しなければなりません。いわゆる社会人基礎力を鍛えるための絶好の材料となります。
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という感じで、試験対策の共同作業を通じて、ぼくは、大学での定期試験への対応技術を習得したわけです。
うちの大学でも、この制度のいいところは応用できたらいいのですが。

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