今週末が採点表の締め切り。採点しています。煙が出るほど採点しています。
もっと採点しやすい問題にしておけばよかったといつも後悔するのですが、そういう出題形式はどうしても自分に許せなくて、結局、採点には毎度毎度、膨大な時間がかかります。
それでも出来がいい科目は気分よく採点できるのですが、マジメな学生でさえ期待水準に達していないとき、ふがいなさに深ーく落ち込んだりします。しかもそれが比較的簡単な問題だったら、なおさら。
前にも書きましたが、そんなときはやっぱりこの曲(クリックで視聴)。Peter Gabriel & Kate Bush "Don't Give Up"です。もう条件反射のように聞きたくなる。
不朽の名アルバム『So』に収録された曲ですが、学生たちはもう知らないだろうなぁ。歌詞のさわりだけ、ちょっと紹介しましょうかね。訳はテキトーです。
| 《男声:Peter Gabriel》 | |
| In this proud land we grew up strong We were wanted all along I was taught to fight, taught to win I never thought I could fail | この誇り高い国で オレたちは強く育った ずっと必要にされてきた 闘えと教えられ、勝てと教えられ 負けるなんて考えたこともなかった |
No fight left or so it seems I am a man whose dreams have all deserted I've changed my face, I've changed my name But no-one wants you when you lose | 闘うものなんて何も残ってない 残ってるような気がしない オレはすべての夢を捨ててしまった人間さ 顔を変え 名前を変えた でも負けたときは誰からも必要にされやしない |
《女声:Kate Bush》 | |
| Don't give up 'cos you have friends Don't give up You're not beaten yet Don't give up I know you can make it good | あきらめないで だってあなたには友達がいるじゃない あきらめないで まだ打ちのめされてはいないわ あきらめないで あなたならできるってわたしにはわかってるから |
こんな感じで、マッチョに育った男性が主人公です。それが自尊心self-esteemに傷を負い、男らしさに不安を抱え込みmasculinity anxiety、二重の挫折感にさいなまれる苦悩をピーター・ガブリエルが歌うわけです。そして、「天使の声」ケイト・ブッシュが慰める。そういう掛け合いが延々と続きます。
面白いのは、ケイト・ブッシュの歌詞ですね。これでもか、これでもかと"Don't give up"を繰り返します。こんなに苦悩している人間を相手に、「がんばれ」「あきらめるな」はないだろうと思うのですが、それがまったく焦らせるような響きを持たない。"Don't give up"といわれるたびに、いやされていくのです。
ウツを相手に「がんばれ」と励ますのはタブーだとよくいわれますが、言葉そのものはたぶん問題じゃないんでしょう。ケイト・ブッシュは、"Don't give up"一言で終わったりせず丁寧に言葉を重ねます。そして、ただ自力で立ち直れ、克服しろと突き放したりせず、「わたしが信じている」「居場所があるじゃない」「一人じゃないのよ」と寄り添う存在を示します。
そういう前提で「がんばって」といわれるのは、これほどに慰められるものなのかと感心させられる。そんな曲です。

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