先月、教職員を対象に開催されたFD研修会でのこと。
質疑応答の際、講師の方が「紋切り型のパターンにはまった硬直的な対応に陥ってしまうこと」ぐらいの意味で、「パターナリズム」と表現されました。その瞬間、会場の空気がピシッと凍った気がしたのはぼくだけではなかったはずです。
「パターナリズム」(paternalism)とは、権力を持つ強い立場の者が、相手の意志とは無関係に「きみのためだから」と恩着せがましくおせっかいをやいたり、行動に干渉したりすることをいいます。社会学では「家父長制」と訳しますが、「温情主義」「父権主義」などの訳も一般に用いられます。
語源はラテン語で「父」を意味する pater です。ちなみに「母」は mater で、「妊産婦の」という形容詞マタニティ(maternity)の語源でもあります。女性の「育児休暇」を maternity leave といいますね。一方、マタニティの対義語はパタニティ(paternity)です。男性が取得する「育児休暇」はpaternity leave。
ともかく、「パターナリズム」は「パターン」(pattern)とは何の関係もありません。
ただねぇ、FD(この場合は「授業内容や方法の改善」の意味)っていうのは、いわれてみればパターナリズムなんですよね。
「学生のためになるから」という理由で、出席を管理し、課題を増やしたりする。「試験のためになるから」と効率的な学習方法を押し付けたりする。「就職のためになるから」という理由で、生活態度を改善するよう介入したりする。そして、「学生の主体性を育てる」という究極の形容矛盾も生まれてくる。
そういう時代だとはいえ、なんともサビシイかぎりです。

コメントする