大学SNSは機能しているのか

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 いまどきSNSを知らない人なんて多くはないだろうとは思うのですが、念のためにWikipediaから引用しておきましょう。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(英語: Social Network Service, SNS)は、(中略)人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型の会員制のサービスと定義される。あるいはそういったサービスを提供するWebサイトも含まれる。

ソーシャル・ネットワーキング・サービスの主目的は、人と人とのコミュニケーションにある。友人・知人間のコミュニケーションを促進する手段や場、あるいは趣味や嗜好、居住地域、出身校、「友人の友人」といった自身と直接関係のない他人との繋がりを通じて新たな人間関係を構築する場を提供している。人の繋がりを重視して「既存の参加者からの招待がないと参加できない」というシステムになっているサービスが多いが、最近では誰でも自由に登録できるサービスも増えている。

代表的なソーシャル・ネットワーキング・サービスとして日本最大の会員数を持つmixi、世界最大の会員数を持つMySpaceがある。

また、2004年頃より大手企業各社でも社内でのコミュニケーションの活性化や内定者囲い込み、SOX法対策等にも使われはじめており、有名な事例としてはジョンソン・エンド・ジョンソン、NTT東日本の社内活用や、総務省の省内活用があげられる[1]。社内SNSには情報の地域間格差を解消するために導入している企業も多い。

 企業だけでなく、2005年ごろから大学でもSNSを導入する試みが増えています。教育GP学生支援GPなどの競争的補助金の申請にも、SNSがらみのものが毎年かならず出てきます。

 でも、大学でのSNSというのは、はたしてどの程度成功しているものなのでしょうか。上手に学生の相互作用を引き出したり、共同学習環境の構築に成功している事例もあるでしょう。でも、きっとゴーストタウン化しているところも少なくないのではないかと思うのです。

 というのも、この種の電子的コミュニティというのは、ただ容れ物を作るだけではダメなのですね。コミュニティとして成立させるための初期条件がいくつかあり、さらにそれを育てていくために工夫がいろいろと必要です。

 初期条件とは、(1)参加者がオンラインでのコミュニケーションのリテラシーを持っていること、(2)参加者が当該の電子的コミュニティによって何らかの利益を得られると実感していること、(3)参加者が当該の電子的コミュニティに帰属意識を持っていること、(4)参加者が当該の電子的コミュニティを盛り上げていこうというノルムやモラールを持っていること、(5)以上すべてを兼ね備えたリーダー的な参加者が存在すること、です。どれか一つが欠けてもうまくいきません。だいたい、SNSを導入する理由は3〜5を育成するためなのでしょうが、すでに3〜5が成立していなければSNSは機能しないのです。

 しかも、これらは一般論にすぎません。大学でのSNSともなれば、教育目的を兼ねますので匿名性なんてありません。しかも、教員も参加しています。となると、どうしたってプライベートな情報を自己開示するような使い方は制限されてしまいます。誰がそんなところで、例えば恋の悩みなんか書こうと思うものか。つまり、大学SNSの場合、自己開示しあうことによるコミュニケーションツールという利点が、出発点から大きく阻害されているわけです。

 とすると、大学SNSを成功させるためには、一般的な電子的コミュニティの成立条件に加えて(あるいはそれとは別に)、コミュニケーションを活性化させる何らかの装置を用意しなければならないはずです。

 その意味で、既存の大学SNSの中で個人的に面白いと思ったのは、唯一、佛教大学の「縁(えにし)コミュニティ」ですね。これは、学生支援GPの事例集を読むかぎり、単なる電子的コミュニティではありません。むしろ、その実態は「ラーニング・コミュニティ」に近い。「ラーニング・コミュニティ」内のコミュニケーションをサポートするためのツールとして、SNSが用いられている。

 「ラーニング・コミュニティ」というのは、アメリカ合衆国で発達した教育技法のひとつで、個々の科目を関連付けたコア・カリキュラムと自宅学習を連結することにより、人為的に構築された共同学習環境を指します。

 事例集から「縁(えにし)コミュニティ」について少しだけ引用すると;

1回生対象のミッションプログラムでは、コミュニティ単位で受講し、佛教大学生としての自覚、主体的な学びの自覚、社会の一員としての自覚を促すとともに、大学生活をより豊かに、より安心して過ごすための指針やノウハウを与える内容となっている。この1回生対象のミッションプログラムは、教員・職員・上級生もコミュニティの一員として参加し、その三者が一体となってグループワーク等を活性化する。
 そう、この考え方が、「ラーニング・コミュニティ」の基本です。まぁ、事例集は「作文」ですので、どこまで実態を反映したものなのかは分かりませんが、少なくとも、たいへん上手にデザインされた教育モデルの中にSNSが組み入れられていることは分かります。大学SNSの上手な使い方のモデルといえるでしょう。

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このページは、mskimが2008年4月21日 10:07に書いたブログ記事です。

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