今日はひさしぶりにオートバイの話です。
先日、ふと気になって、オートバイの車種ごとに乗車姿勢がどのように違うかを解説したウェブサイトがどれくらいあるのか、少しだけ調べてみました。2時間ほど探して、ごく簡単な記述があるページを2つほど見つけることはできましたが、詳しく解説してあるページは一つもありませんでした。
まぁ、バイクの乗り方なんて、読んだだけでは分かりませんからね。実際にまたがって、運転してみて、その合理性を納得できないかぎり、「こうやって乗るものだ」といわれたところで、実践してみようという気にはならないでしょう。
とはいえ、自転車については、ロードバイクとオフロードバイクの乗車姿勢や乗り方の違いを丁寧に解説したウェブページが多数あります。他のスポーツだって、入門者向けにその種の情報を提供するサイトは少なくありません。それに対して、オートバイははるかにユーザーが多いにもかかわらず、なぜもっとも基本的な乗車姿勢についての解説ページがないのか、ちょっと興味深いところです。
ともかく、乗車姿勢からいえば、オートバイは3つのカテゴリーに大別することができます。(1)オンロードバイク、(2)オフロードバイク、(3)クルーザー(アメリカン)やスクーター。教習所では教えてくれませんが、この3者はバイクの性質が大きく異なりますので、乗車姿勢や乗り方にもいろいろと違いがあります。
たとえば、オンロードバイクとオフロードバイクの乗車姿勢を比較すると、だいたい下の表のようになるでしょうか。個々人の好みによるところも大きいので、これが唯一の正解ということではなく、基本姿勢の平均的な状態を描写したものだとお考えください。
| 相違点 | 解説 | ||
| オン | オフ | ||
| グリップ | 手首はまっすぐにし、軽く卵を握るようにグリップをつかむ | 手首はまっすぐにし、薬指と小指はしっかり握る。薬指と小指はレバーを操作するときもグリップから離さない | オフでは激しく車体が揺られるし、積極的にハンドルをつかって操作することが多いので、しっかりハンドルを握る。ただしすべての指に力を入れると腕まで動きが硬くなってしまうので、薬指と小指だけでぎゅっと握るようにする。 |
| 上体 | 自然な姿勢のまま、上体だけ前傾する | びしっと背筋を伸ばして垂直に上体を立てる | 運転中に上体を柔軟に動かしてバランスを取ることは共通しているが、オフでは前後左右上下に車体が振られるので、オンよりも上体の自由度を高めておく必要がある。 |
| 腕 | 上腕以外は力を抜いて45度くらいワキを開く | 地面と水平になるくらいワキを90度開く | どちらもワキはしめずヒジは外を向けるが、オフでは激しく左右にハンドルが振られたときヒジが体にぶつからないように、あらかじめ高く上げておく。 |
| 尻 | 一度ステップに立ってから自然とシートに腰を下ろす | タンクに股間がつきそうなくらい前乗りする | 前後左右に柔軟に腰を動かしてバランスを取ることは共通しているが、オフでは前輪の加重不足が挙動を不安定にする場面が多いので、できるだけ前加重にする。後加重にするとき体を大きく動かせるメリットもある。 |
| ヒザ | 腿全体でタンクを軽くホールド(ニーグリップ) | ヒザで自由にバランスを取れるようにタンクからは離しておく | オフでは激しく車体が揺られるので、ニーグリップしていると体まで一緒に揺れてしまう。車体を股下で遊ばせることで激しい挙動を吸収する。オンでもハイサイドのときは同じ。 |
| かかと | ステップから少し後ろに引いて車体をホールド | ステップから少し後ろに引いて車体をがっちりホールド | ロール方向の動きを制御するために、かかとでしっかり車体をホールドすることは共通している。ただし、ニーグリップしない分、オフのほうがよりしっかりとホールドする必要がある。 |
| つま先 | 外に開かずまっすぐ前を向けてペダルの上に置く | 角度は外に開いてもいいけど、ペダルの下に置く | オンでヒザとつま先が外に開くスタイルは「族乗り」と呼ばれて蔑まれる。というより上手に曲がれない。また、ペダルの下につま先を置いていると、バンク角が大きくなったとき地面に挟まれて怪我をする。 オフでは、ブーツを履いていると足首が曲がらないので、つま先をペダルの上には置けない。ブレーキやシフトチェンジは、脚全体を動かして操作する。 |
上の表は、オンロードバイクでオンロード(舗装道路)を走行するときと、オフロードバイクでオフロード(非舗装道路)を走行するときの乗車姿勢の違いを比較したものです。他にも、乗車姿勢だけでなく操縦方法にもいろいろな違いがありますので、機会があればまた後日書いてみたいと思います。
上の表について面白いのは、オフロードバイクでオンロードを走行するときにはどうなるのか?ということです。答えは、多くのオフローダーはオンロードでも上記の姿勢で走っているのですね。
確かに、オフロードバイクは、ハンドルの幅が広いし、ハンドルの位置も高めです。車体の重量バランスからいっても、前乗りすると操縦しやすい作りになっています。だから、オンロードでオフと同じ姿勢をとっても不思議ではありません。
とはいえ、上記の姿勢はかならずしも"楽"なものではないのです。なにせ、両足のペダル操作は、足首だけではなく脚全体を上下しなければなりませんし、両ヒジを高く上げておくのも疲れます。しかも、(タイヤのグリップさえ信頼できるのであれば)やはりオンロードはオンロードに向いた走り方というものがあるわけでして、オフの姿勢のままというのは必ずしも合理的とはいえません。
にもかかわらず、オンロードでもオフロードと同じ姿勢で走行するのは、これはもう「スタイル」としかいいようがありません。あるいは「文化」ですね。
走行時の衣服も、ただ舗装道路を走るだけなのに、オフロード用のヘルメットにゴーグル、モトクロス用のジャージ、オフロード用のブーツという装備でガチガチに決めている人もめずらしくありません。特に、オフ用のブーツなんて、重いし蒸れるし歩きにくいし、日常使いではいいところないんですけどね。(小柄な女性が履いていると、なぜかちょっと萌えたりしますが、それはそれとして)
クルーザー乗りがヘルズ・エンジェルズ由来の"ちょいワル"スタイルを消費するように、オフローダーは非舗装路に分け入っていく"アウトドア"スタイルを消費しているということでしょうか。
オートバイは、単なる移動手段ではなく、文化を伝えるメディアでもあるのですね。
子どもたちはドライブ好きなので問題ないのですが、猫はそうも行きません。








































