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▼米津 篤八さん:
>ソ連の参戦は、英・米の要請に基づくものであり、
別記事にも書きましたが、ポツダム会談中から英米はソ連参戦をもはや歓迎
していなかったと思います。
>中国や朝鮮の人民も望んでいたものであって、
蒋介石政権も正式な参戦要請は出してませんが…。
その後のソ連軍による満州および北朝鮮での略奪行為を考えると安易に
「人民が望んだ」という表現は使わない方がよいと思いますけど。
>もう一度カイロ宣言、ポツダム宣言を読み返してください。
読み返すも何も、カイロ宣言はもちろんポツダム宣言にも、ソ連は参加してない
のですから (ポツダム宣言も米英中の三カ国名義で行なわれている)、その記述に
サハリンが含まれていると解釈するのは、当時の日本政府には想定外でしょうし、
現在においても苦しい見解だと思います。
ポツダム宣言発表時にソ連の参加が公表されていれば別でしょうが。
>さらにいえば、ポツダム宣言は日本軍の「無条件降伏」を定めているのですから、
>たとえそこが「固有本土」であっても、宣言を受諾した時点で、軍の組織的抵抗
>はもはや許されないわけです。
前回も書きましたが、日本が受託を公表した時点で、ソ連軍にも停戦義務があるのです。
米津さんは米ソの占領政策の主導権争いから、ソ連が停戦交渉せずに攻勢を続けたと解釈
されてるようですが、それでソ連の行動が正当化できるわけでも、アメリカに責任転嫁
できるわけでもないでしょう。
>そうですか? 加藤さんも認めるように、確かにソ連は「戦力不足なまま」
>「無謀な作戦」を強行したのですが、それは「武力制圧」という目的と矛盾
>するのではないですか。
独裁者スターリンが無茶な作戦を強行させるのは珍しいことではありませんし、関東軍の
脆さから日本軍は弱い、と過小評価した可能性が高いと思います。
余談ですが、当初ソ連は必要な戦力整備の必要上から開戦を 8/22 以降に予定していた
くらいですから、関東軍の弱さは嬉しい誤算だったことでしょう。
>そのトルーマンの「一般命令第一号」案には「ソ連軍に対して日本軍が降伏すべき
>地域」のリストからクリル諸島が抜け落ちていました。そのことがスターリンの
>怒りをよび、それが千島への「無謀な作戦」と北海道北部占領の提案につながった
>のです。
米ソの作戦行動範囲は、ポツダム会談で合意済みだったのですから、スターリンが怒る
筋合いのものではありませんが… 怒った、というのは米津さんの想像ですか ?
>アメリカがソ連の千島領有を約束どおり保障していれば、ソ連は「不十分な戦力で
>無理矢理千島列島を武力制圧」する必要もなかったし、北海道占領を提案する必要
>もなかったのでは?
>ソ連から見れば、そのようにアメリカからコケにされている時点で、
トルーマンはスターリンに即日回答して、千島列島のソ連による占領を認めてますよ。
アメリカの命令書はポツダム会談の合意に基づく内容ですし、ソ連の「新たな要請」にも
即日回答しているのですから、コケにするどころか、十分誠意ある態度だと思います。
何をもって米津さんは「ソ連はコケにされた」と判断されているのでしょう ?
>マッカーサーの停戦命令におめおめと
>従えるか、という感じでしょうね。
全く理由になって無いと思いますが…。不当な行為であったことは認めるのですか ?
>つまり、アメリカは日本を早期に降伏させて米軍の犠牲を減らすためにソ連の参戦
>を要請した。そのエサとして千島をソ連に与えることを約束した。しかし原爆を
>開発して強気になったアメリカは、戦後の世界秩序での優位を狙ってソ連との協調
>姿勢を転換させ、当初の約束を反故にしようとした。
さして異論はありませんが、これだとソ連の参戦は、千島・樺太に対する領土的野心に
基づくことになりますし、ソ連の対日参戦は英米からの要請を受けた「国際協力」という
米津さんの主張は成り立たなくなると思いますけど… いいんですか ?
>それがソ連の不信感を生み出し、無謀な軍事行動に走らせ、死ななくてもいい人
>たちが死んだ、ということです。
ヨーロッパ戦線においてアメリカの支援が無ければ、ソ連はナチスに負けていたかも
しれないのですから、状況の推移により、以前の合意が多少崩れても文句言える立場では
ないと思いますけど。
アメリカにしてみれば、ソ連には「恩を仇で返された」としか言えない状況でしょう。
米津さんは、ソ連の方が「正しい」と判断されているのですか ?
>アメリカの沖縄統治はカイロでもヤルタでもポツダムでも話題に出ず、サ条約で
>いきなり持ち出されたものです。
米津さんのポツダム宣言の解釈なら、沖縄は「面積からいって「諸小島」には到底あたりません。」
と主張出来ると思いますが。
また上記した通り、私はカイロ・ポツダム宣言に樺太・千島放棄は明記されていない、
と解釈しているので、サ条約で「いきなり持ち出された」のは両方同じだと思います。
>条約上の差も明らかです。ましてや「割譲」など定めていません。
段階を踏めば譲渡も可能でしょう。ハワイの様に信託統治領から併合された例もある
のですから。そして、それに対して条約上、日本政府は何の異義もできないはずです。
>アメリカは沖縄統治になんら正当性が見出せなかったがゆえに、
アメリカと勝手に決めた千島占領の正統性は認めて、沖縄統治に正統性がないと
いうのは、どーいう理屈なんですか ? 米津さんの「正統性の根拠」とは何に由来
するものなのでしょうか。
>日本の侵略の直接の被害者であった朝鮮と中国が当事者になっていない点など。
これは両国が内戦状態で正統政府が定まってなかったので仕方ないでしょう。
>ただ、日本があの時点で千島を放棄し、それと引き替えに「独立」と「平和」を手に入れた
>という歴史的事実は認めなくてはならない、と言っているのです。
調印に当たっては、吉田首相が千島列島の領有権の推移および北方領土が日本
固有の領土であると演説してますから、将来の見直しを期待していたとは言えると
思います。結局は、アメリカが沖縄を返還してくれたような誠意を、ロシアに期待
するのは無理、ということなのですかね ?
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