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在日コリアンの日本国籍取得を躊躇させる理由をいくつか考えてみました。
1.故郷とのつながりが切れる不安
これはほとんど1世の人々に限られる。
2.仲間意識を共有できなくなる不安
これは民団や総連などの民族団体に所属してる場合や、民族学校を出た場合に起こ
り得る不安だ。
3.本国とのつながりが切れる不安
これは頻繁に韓国・北朝鮮を訪れている人や、本国と連携して仕事をしている人、
統一祖国に夢を描いている人々が抱える不安だろう。主に民団・総連の職員や非専
任活動家、本国と取引のある企業家、民族学校の学生・卒業生らが含まれるだろう。
4.「帰化」手続きの複雑さ、煩雑さ
5.情念の反発
「チョッパリ」を散々けなしていた人ほど、あっさりと「チョッパリ」の側には回
りにくいだろう。
また、植民地政策やその後の歴史認識、在日政策などに対する反発が大きければ、
やはり情念が「帰化」を許さないだろう。
ましてや、日本政府に「お願い」して「日本人になれるよう」に「許可を乞う」と
いう考え方は情念が許さない。
6.「敵前逃亡」、「降伏」という卑屈感
日本政府は、在日朝鮮人の存在を快く思っていなかった。さっさと本国に帰るか
同化するかどっちかを選択して欲しいと考えていた節がある。
在日コリアンを目の上のたんこぶとして扱ってきた日本政府の懐に自ら飛び込んで
いかねばならない卑屈感。
「差別があるから帰化する」というのは、「差別からの逃亡」であって、決して
差別を是正・克服したことにはならないという考えなども含まれる。
<5>の「情念の反発>と似ているがちょっと違う・・・
7.韓国・朝鮮籍でも不便がないから(国籍意識の希薄さ)
不利益が全くないとは言えないが、社会保障制度の整備(社会保険、国民保険、
年金失業手当など)、出国・再入国の簡便さ、外国人登録更新の簡素化などによっ て、「外国人」という意識自体が希薄になっている。
8.「国籍=民族」という偏見
帰化者を「民族の裏切り者」のように、「根無し草」のように揶揄する傾向がある。
あるいは、日本国籍を取得するともう朝鮮民族でなくなるという認識。
9.国籍を保持する方が便利だから
日本で生活するのに外国籍の方が便利だというのも変な話だがあり得る。
日数を気にすることなく韓国に滞在できる、韓国内でのビジネスフィールドが日本
人より広い。日本でのビジネスフィールドはほぼ日本人と同じ。日韓朝の三国を股
に掛けての活躍が可能。万一大きな失敗をしても逃げ場が二カ所ある。
大きな社会変動が起きた場合、三つの居住地を選択できる。二者の文化を共有・享
受できる。二重国籍者が感じる利益とほぼ同じような感覚だろうか。
以上思いつくままに羅列しましたが、日本国籍取得に踏み切れない理由は上記のものが
単独で作用するのではなく、極めて複合的に絡み合っていると思われます。
私自身、揺れているのですから・・・
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