WFP、世界食糧計画特別報告書3
記事番号:5407 (1998年12月24日 23時51分44秒)
投稿者:李在一 (属性:在日朝鮮人)
メールアドレス:fwii2087@mb.infoweb.or.jp
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内容
李在一です。
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4.1998−99農業年度における食糧の供給と需要の分析
4.1.1998−99農業年度における食糧供給状況
朝鮮民主主義人民共和国がその住民に適切な食糧供給を確保する能力は、次のよ
うな2つの重要な要因によって制約されつづけている。すなわち、(i) 食糧を国
内で生産するための農業投入物の不足、そして、(ii)商業ベースでの輸入をつう
じて国内食糧生産量をおぎなうための経済力の低下である。ゆえに、同国の食糧
安全保障 food securityは、一般的な経済的実績と国内食糧生産を増加させる努
力とに決定的に依存している。
過去3年(1995−97年)のあいだの自然災害は、食糧安全保障にいっそう
の打撃をあたえ、同国での食糧供給の困難の深刻さを浮き立たせた。実際、過去
3年にわたる大規模な国際食糧援助は、住民の大きな部分、特に危険にさらされ
やすい子どもたちや、妊婦と授乳期の女性や、病人などの人々にとっての食糧不
足からの深刻な結果を緩和する助けとなった。しかしながら、大規模な食糧援助
による介入は、それほど長い期間、持続されそうにないことが強調されなければ
ならない。それゆえ、もう当然、農業部門の生産能力をフルに発揮させうるよう
農業部門の復興に努力と資源が向けられてよい時期なのである。
生産量の予測と広範な調査、それに農村および都市での多くの家庭での聞き取り
にもとづいて、調査団は、1998−99年(11月から10月)についての食
糧供給の見通しが厳しいものであることを確認した。調査団は、人々が、トラッ
クがないため、背中に稲の束を背負って脱穀場へ運んでいるのを観察した。調査
団が訪れた多くの場所で、田畑に置かれた収穫作物の束のまわりで小学生たちが
穀粒を拾い集めているのが見られた。そうした措置は、同国での食糧事情にまつ
わる問題を少しでも緩和するためにとられている。1997年10月および
1998年6月のFAO・WFP合同調査団は、1998−99年にも朝鮮民主
主義人民共和国では大規模な食糧不足が予測され、必要最低限の食糧を満たすた
めに相当の国際的食糧援助が求められるだろうと注意を喚起した。1998−
99穀物取引き年(11月から10月)における穀物不足は、目下、 134万
9000トンと見積られる。
4.2.1998−99農業年度における穀物の供給・需要バランス
表5に示された1998−99年の穀物の供給と需要の対照表を導くうえで、以
下の仮定と媒介変数が用いられた。
1998−99年半ばの人口は2350万人と見積られる。これは、1997年
11月のFAO・WFP合同調査団報告書における1998年半ばの推計人口
2320万人に1.013パーセントの増加率を適用したものである。
(朝鮮民主主義人民共和国の人口については、いろいろな出典によるさまざ
まな推計値がある。国連開発計画の1998年版人間開発報告書によれば、
1999年半ばの人口数は2310万人と算定される。朝鮮民主主義人民共
和国人口局による1993年住民センサス・データの分析は、1999年半
ばには2290万人という数字を提示し、また、エコノミック・インテリジェ
ント・ユニットは、1997年半ばに2430万人という人口数を提示する。
この基準では、1999年半ばの人口は少なくとも2490万人となろう。
総人口の規模というこの問題は、関連するあらゆる事柄を考慮しながら、あ
らゆる関係者によって解決されることが大切である。それまでは、この報告
書では、穏当な見積もりとして、1999年半ばに2350万人という数字
を用いた。)
●年間1人当たり100kgの米と67kgのトウモロコシの消費必要量が用い
られる。これは、1人当たり1日に約1600キロカロリー、つまり1日
2130キロカロリーの必要カロリーの75パーセントをあたえるものである。
●1999年の種子の必要量は、稲のヘクタール当たり125kg(つまり、米
換算でヘクタール当たり87.5kg)とトウモロコシのヘクタール当たり
45kgを適用して見積られる。したがって、稲の種子の必要量は72500トン
(米換算で50750トン)であり、トウモロコシの種子の必要量は28305トンである。
●過去においては、収穫後の損失率は12パーセントとされていた。しかし、輸
送手段がないため収穫後、通常より長い期間、田畑や道端に稲が放置され、ま
た、しばしばそれらが人間によって背負って運ばれることを仮定すれば、損失
は疑いなく12パーセントより大きいだろう。また、トウモロコシの場合も、
収穫後の扱いの困難や他の機械の不足ゆえに損失は同様に大きいだろう。収穫
後の損失は、生産量の15パーセントと仮定した。
●家畜数は、近年、著しく減少している。調査団は、家畜数は今やほとんど底を
ついていそうであり、家畜の種類の構成は若干変化するものの、前年に比べて
1998−99年にその数は大きく変化しそうにないと見ている。飼料に用い
られる穀物は、昨年の見積もり30万トンと変わらないままだろうと仮定され
る。
●訪問した精米所では、稲から米への転化率は70パーセントと報告されたが、
精米機は摩滅とメンテナンスの欠如ゆえに非常に非効率であり、その結果、精
米は粗悪でヌカが混ざったままである。それゆえ、稲を米に変える精米率は
65パーセント(以前のFAO・WFP調査団が採用した率)が仮定される。
正確な回収率に到達するにはさらに調査が必要とされる。
●食糧輸入のための外貨の制約とより少なくなっているバーター貿易を仮定すれ
ば、1998−99年における商業ベースでの輸入は30万トンと予想される
表5:朝鮮民主主義人民共和国:1998−99年(11月から10月)の穀物対照表(1000トン)
[入手可能総量 3 481]
生産量 3 481
備蓄利用 0
[総必要量 4 835]
食糧目的 3 925
飼料目的 300
他の使用目的、
種子および収穫後損失 610
[輸入必要量 1 354]
商業ベース輸入 300
不足輸入必要量(1) 1 054
(1)約36万トンはすでに保証され、搬送中であり、69万4000トンが不足分
として残されている。
表5に提示された対照表は、朝鮮民主主義人民共和国が1998−99穀物取引
き年(11月から10月)に135万4000トンを輸入する必要があることを
示しており、そのうち同国が商業ベースで達成しうる輸入はわずか30万トン程
である。かくして、住民の必要最低限の消費を満たすために、105万4000
トンの穀物食糧援助が求められるだろう。この量にたいして、これまで保証が確
認され、搬送中の穀物は36万トンにのぼっているが、69万4000トンが不
足分として残されている。
1998年10月に終わった1997−98穀物取引き年には、国内の穀物供給、
それに、食糧援助を含む穀物輸入を考慮に入れ(商業ベースの輸入、バーター貿
易それに食糧援助の受取りを含め、1997−98年(11月から10月)の穀
物輸入は140万トンと見積られる。)、さらに、そこから種子や飼料、また損
失や他の用途分の穀物を差し引くと、穀物の1人当たり入手可能量は年間、約
148kg、1日当たり406gであった。この穀物の量は、1日、1人当たり
おおよそ1400キロカロリー(あるいは、先に見積った1日、1人当たり
1600キロカロリーの87パーセント)をあたえた。
平均の1人当たり入手可能量というのは、食糧不足になって以降、食糧の入手が
もはや以前ほど公平ではないという事実を覆い隠す。調査団は、協同農場が、生
産量の水準にもとづいて、農民たちに1人当たり異なった量を分配するというこ
とを知った。そのうえ、公共配給制度による供給は、最初、ものすごく減少し、
その後たいていの地域で数ヶ月間ストップしたことを仮定すれば、都市住民が直
面した食糧供給の制約は、農村住民よりずっと深刻だった。農村住民は、10月
に主な穀物の収穫が完了したのちすぐに年間供給量のすべてを受取るからである。
さらに、中国に隣接している地域では、通常、同国の他の地域以上に、越境取引
きからの恩恵を享受している。というのも、特に輸送上の困難ゆえに、越境取引
きの収益が住民の残余の部分に組織的に流されているようではないからである。
地理的な実態に応じて、他の食糧品目(たとえば、魚や森の産物)の入手状況も
また地域ごとに異なっている。また、個人市場(農民市場)や他の販路へのアク
セスも、まったく個人個人の境遇いかんである。その結果、一定の地域内や、一
定の住民集団のあいだでの食糧不足ゆえの危険性は、1人当たりの平均入手可能
量で表わされるよりももっと著しいものであろう。しかし、食糧消費におけるそ
うした違いの程度は判明しない。この点は、適切な、全国的な標本調査や観察を
つうじてのみ確証されうる。
4.3.食糧の入手と対処の仕組み
朝鮮民主主義人民共和国では、基本食糧は協同農場をつうじてか、食糧管理部が
運営する公共配給制度をつうじて住民に配分される。1995年以来、食糧援助
が重要な食糧供給源になってくるとともに、目標が絞られた施設(託児所、幼稚
園、病院)が焦点になった。これら施設への公共配給制度による配達供給は、施
設の受益者の消費のためなのである。また、1995年以来、同国で経験された
深刻な食糧不足を前提すれば、国家レベルで、地域レベルで、また一般世帯のレ
ベルで、さまざまなかたちの対処の仕組みが採用されてきた。
4.3.1.食糧配給制度
協同農場の農民とその扶養家族は、10月の主要な収穫が終わったあと、それぞ
れの協同農場から一括して自分たちの穀物割り当て量を受取る。農民たち自身に
たいしてやその扶養家族にたいして割り当てられる量はさまざまであり、また扶
養家族の中でも、年齢に応じて異なる。1995年以前、構成員当たりの平均穀
物割り当ては年間260kgであった。これは現在もなお標準量ではあるが、
1995年以来、平均割り当て量は不定で、ずっと少ない。政府(食糧管理部)
は、毎年生産量を基に割り当て量を決定する。それは、最低基準である。たとえ
ば、1997−98年には、1人当たり平均量は135kgに定められた。しか
し、調査団は、幾つかの協同農場の農民が1人当たり平均150kgから180
kgのあいだで受取ったことを知った。1998−99年の1人当たりの標準量
は、調査団が訪問した時点ではまだ政府によって決定されていなかった。しかし、
その量は昨年の量とそれほど変わらないだろうということは示唆された。協同農
場農民はまた、種子と家畜のための規定された量の穀物を保持するのを許されて
いる。農民たちは家族用の小土地区画でジャガイモや野菜などを栽培して、入手
できる食糧を補っている。そうした小土地区画は、農村地域ではおのおの95平
米、都市地域(それが利用できるところ)では30平米である。農民たちに分配
し、種子用、家畜用を保持したのち、協同農場のもつすべての余剰分は規定され
た価格で現金と引き換えに国家に販売される。この現金は、協同農場の農業経営
の過程で行われたさまざまな職務で獲得された作業得点にもとづいて農民たちの
あいだで分配される。
協同農場農民とその扶養家族以外のすべての一般の住民(それはたとえば、公務
員、工業労働者、専門職の人々)は公共配給制度によって供給される。その制度
をつうじて、人々は穀物(米、トウモロコシ、小麦粉、大麦、豆類)を住民の異
なったカテゴリー(子ども、大人、高齢者のような)ごとに決められている割り
当て量を、うんと補助された安い価格を支払って受取る。(たとえば、米とトウ
モロコシは公共配給制度をつうじて、それぞれキログラム当たり8チョンと6チ
ョンという非常に補助された値段で売られる。それらの値段は公式の農場渡し価
格の10パーセントに等しい。公共配給制度の下で、12ある道、指定市のそれ
ぞれに食糧管理局がある。同国の211の郡、地区には食糧管理課と貯蔵所があ
る。貯蔵所は郡の公共配給制度センターへの食糧供給の第一の出所である。郡レ
ベルの貯蔵所はまた、とくに託児所、幼稚園、病院のような施設へ割り当てられ
た食料品の配給経路でもある。公共配給制度センターは、協同農場農民以外の一
般大衆へのあらゆる穀物食料の配給のための小売部である。センターはまた、何
らかの施設をつうじては提供され得ないような食糧援助の受益者(たとえば、妊
婦や授乳期の女性、それに労働維持的食糧 food-for-workの受益者)に穀物を配
分するのにも利用される。各々の公共配給制度センターは1500から3000
世帯の範囲におよぶ住民を擁した特定の地理的区域をカバーしている。食糧援助
として輸入される物品のためには、積み荷が到着する以前に、政府と援助側との
あいだで詳細な割り当て計画について同意される。
1997−98穀物取引き年度に穀物入手量が急速に減少したので、公共配給制
度センターへの割り当て量は、月日がたつにつれて激減した。政府による情報に
よれば、1997年11月と12月のあいだは1人当たり供給量は1日につき
400gだった。しかし、1998年1月にはそれが1日につき300gに、2
月は200gに、3月は100gに減らされ、そして3月半ばから8月まではま
ったく配給されなかった。
表6と図3は、1997年11月1日から1998年10月31日までの期間の
あいだの各道と各市による公共配給制度への政府の穀物配分を月ごとに示したも
のである。他に取りうる食糧供給源がないのだから、調査団は、たとえ減らされ
た水準でではあれ、ピョンヤンや他の主要都市へは住民の最低限の必要を満たす
ためにおそらく食糧の配給が行われたものと信ずる。
表6:公共配給制度センターをつうじる一般配給のための月別の政府による穀物割り当て量(トン)
97年/11月 97/12 98年/1 98/2 98/3 98/4から98/8 98/9 98/10
ピョンヤン 27750 27750 20800 13800 2700 0 10415 10415
平安南道 15000 15000 11200 7500 1500 0 5650 5650
平安北道 10150 10150 7600 5100 1000 0 2550 2550
慈江道 9350 9350 7000 4600 900 0 2350 2350
黄海南道 10300 10300 7700 5100 1000 0 3860 3860
黄海北道 9150 9150 5500 3700 700 0 2400 2400
江原道 5650 5650 4200 2800 500 0 1450 1450
咸鏡南道 13600 13600 10200 6800 1300 0 2720 2720
咸鏡北道 13100 13100 10000 6700 1300 0 2620 2620
両江道 5250 5250 3900 2600 500 0 1050 1050
ケーソン 2050 2050 1500 1000 200 0 459 459
ナムポ 4550 4550 3400 2300 400 0 1150 1150
総 計 125900 125900 93000 62000 12000 0 36674 36674
出所:朝鮮民主主義人民共和国食糧管理部
〈図3〉
4.3.2.栄養状態
1998年9月から10月にかけて、政府は、WFP、ユニセフ、それに欧州連
合欧州委員会ホスト機関(EU・ECHO)にたいして、6ヶ月児から7才児ま
での子どもの栄養状態を測定するための栄養調査を遂行するのを認め、便宜をは
かった。同国の211の郡のうち130について調査を行なうための完全に自由
な立ち入りを認めた。これら130郡からのサンプルは3つの段階で無作為に選
ばれた。第1の段階は130郡から30郡の短いリストを作成することに関係し
ている。第2の段階は各々の郡から4つの里ないし洞(より小さい行政単位)を
選定することに関係している。第3段階では、選ばれたそれぞれの里ないし洞か
ら30世帯が選び取られた。最初の2つの段階は、住民数の規模に比例するよう
に取り扱った統計専門家によって行われた。つまり、130の郡のどの世帯もこ
の調査で選ばれる等しいチャンスがあった。最後の段階はデータ集計の前日の夜
にデータ収集者自身によって行われた。彼らは世帯名簿を利用し、科学的方法を
用いて、つまり、無作為の数とそれに世帯数にもとづく間隔で、30世帯を選ん
だ。選ばれた世帯の世帯主がそのことを知らされ、翌日に行われる調査に家族の
者が全員居合わせるように求められた。翌日、調査チームが選ばれた世帯の7歳
以下の子ども全部の体重と身長を測定した。この調査は、6ヶ月から84ヶ月ま
での1573名の子どもを含めたが、これは、この年齢層の子どもたちの栄養状
態にかんする最初の科学的な、基準データをもたらすはずである。
4.3.3.対処の仕組み
食糧供給の著しい困難のため、さまざまなレベル、つまり国家政府、地方行政
(道、郡)、協同農場、一般世帯で食糧不足に対処する仕組みが追求された。政
府は商業的に(バーター貿易を含めて)、また食糧援助をつうじて、できるだけ
多くの食糧を輸入しようと努力しつづけた。さらに、政府は野菜の葉や海草など
から作られた代用食品をより多く用いるよう奨励しつづけた。また、農業生産を
増大させるための投入物の確保状況を改善するための重要な諸施策もとられたし、
穀物飼料の必要な家畜の飼育を抑制し、人間の消費量を少しでも増やす措置もと
られた。道や郡の行政は、食糧供給の困難を扱うためにできるだけ多くの地方資
源を開発する諸措置をとっている。しかしながら、人々の不安定な食糧入手状況
に対処するうえで、大いに革新的で、弾力的だと判明したのは、各世帯ごとの努
力だった。人々が対処するため努力しつづけたさまざまな方法には以下のような
事柄が含まれる。つまり、家族用小土地区画でのジャガイモや野菜などの密植栽
培、ウサギや豚やヤギや鶏のような家畜の飼育(この活動は穀物不足ゆえにかな
り減ったが)、農民市場での購入と交換、可能なところでは漁業、野生の森林食
物の採集(特に山間地域)、代用食品の利用、海外の親類からの送金をとってお
くこと、以前の配給品からできるかぎり少しづつ節約してとっておくことである。
4.4.1998−99農業年度における食糧援助
4.4.1.目標を絞った食糧援助
目標を絞った食糧援助が過去4年間にわたって供給され、政府と人々による対処
のためのさまざまな方法は同国での広範な飢餓を防ぐために重要な役割をはたし
た。調査団は、今や救済援助は、この国の農業部門が住民のためにより多くの食
糧を生産できるよう、それを蘇生させる復興努力と結びつけられるべき段階に来
たと信ずる。過去数年にわたる援助側と政府とのあいだの相互関係は、国際社会
の側での朝鮮民主主義人民共和国の敏感さについて、また、朝鮮民主主義人民共
和国政府の側での贈与側にとっての最少限の立ち入り要求や透明性、それに、与
えられている援助にかんする説明責任について、より良い理解を生み出すのに役
立った。このことは、食糧援助事業を遂行し、管理する環境を改善した。
目標を絞った救済的食糧援助を考慮するに際して、調査団は住民のうち食糧不足
時により危険にさらされやすい幾つかの区分を見定めた。これら区分のうちのあ
るものは諸施設をつうじて支援されうるが、他方、他のものへの支援は公共配給
制度をつうじてのみ供給される。諸施設をつうじて援助されうる住民のカテゴリー
は、託児所、幼稚園、小学校、中等学校、それに孤児院の子どもたち、病院の患
者、そして施設にいる身体障害者を含めて考えた。調査団はまた、教師や医師を
含むこれら施設の職員へ食糧援助を拡張することの望ましさを吟味した。検討対
象とされ、また公共配給制度をつうじてのみ支援されうる住民グループには、妊
娠中と授乳期の女性、それに年寄りの人々である。目標を絞った食糧援助の復興
促進的な構成要素のために、調査団は、農業部門の再建を支えるための労働維持
的食糧food-for-work の供給活動の範囲を検討した。この点で、調査団は、農業
復興と環境保護(AREP)イニシャティヴを支持するために開始されている農
業部門調査から恩恵を受けているし、労働維持的食糧供給活動での協力を探求す
るためのFAOとIFADの訪問調査団と論議を行なったし、また、政府部局、
道、郡レベルの役人から農業復興を支えるための労働維持的食糧供給活動に着手
する政府の計画にかんして意見を聞いた。
上で述べた目標グループへの食糧援助を考慮する際に、調査団は、朝鮮民主主義
人民共和国で得られた経験にもとづく以下の諸要因の比較考量のうえで調査団の
勧告を基礎付けた。
●援助側がモニタリングのために完全に立ち入ることができそうな郡の最大数は、
全211郡のうち171郡ほどであると思われる。つまり、もしこの仮定が変
化するなら、食糧援助の水準は調整される必要があろう。
●食糧不足時に他の人々よりもより危険な状態におかれそうな住民グループは、
託児所、幼稚園、小学校、それに(孤児や捨て子のための)子どもセンターの
幼い子どもたち、妊娠中および授乳期の女性、それに病院の入院患者である。
●障害のある人々の施設のようなある種の施設は、必要を確認したり、規則的な
モニタリングのために立ち入るのが容易でない。これら施設は、立ち入り不可
能ゆえ、対象からはずされた。
●調査団は、小学校や中等学校の子どもたちがビスケットが入手できないため軽
食を受取れないことに気づいた。その代わりとして、これら子どもたちの家族
にたいして穀物配給が支給された。このことは、子どもたちに直接目標を絞っ
た援助の当初目的を挫折させた。混合食品、ビスケットの地方での製造能力増
大とともに、これら子どもたちに直接目標を絞った新しい別の食品が必要とさ
れる。
●調査団は、中等学校では、6年制カリキュラムの最初の2年の生徒たちだけに援
助が向けられたことに気づいた。小学校の場合と同様、該当する子どもたちへ
という計画された直接目標は、軽食の入手不能のため可能ではなく、配給食糧
が子どもたちの家族に配分された。けれども、たとえビスケットが入手できて
も、そうした計画を遂行するのはむずかしいだろうというのが、プロジェクト
担当役人や教師や生徒たちの意見である。なぜなら、そうした計画は、学校の
子どもたちのごく一部だけに制限されることにより、差別的と理解されうるか
らである。ケースバイケースで見て、継続的な食糧援助が明らかに正当と評価
されるような場合をのぞき、中等学校の生徒は公共配給制度をつうじて適切に
供給されるというのが、調査団の見解である。それゆえ、調査団は、中等学校
の子どもたちへの目標設定食糧援助は段階的に廃止されうると勧告する。
●調査団は、目標とされた諸施設の多くの職員や年寄りたちは、既存の食糧配給
制度をつうじて適切に供給されている一方、明らかにそこの職員も食糧援助を
必要とする施設が存在したり、家族によって適切に養われていない年寄りもい
ることを知った。しかしながら、食糧援助が必要なこれらの人々の数を示すの
は不可能であり、この点は、ケースバイケースによって援助側により決定され
なければならないだろう。
●調査団はまた、農業部門を復興させ、それによって、より多くの国内食糧生産
に寄与することをねらった労働維持的食糧の供給活動をつうじての目標を定め
た復興援助と、目標を定めた救済援助とを結び付ける必要を考慮した。この点
で、決定的な要因は、労働維持的食糧の吸収能力であり、そして、こうした供
給活動に関与する政府や地方行政の事業遂行とその管理の能力であることを考
慮した。
●うえに言及した諸要因にもとづいて、調査団は、国際的、二国間、そしてNG
Oの援助者による1998年11月1日から1999年10月31日までの1
年の以下のような目標を絞った食糧援助を勧告する。
●託児所の6ヶ月から4歳までの147万人の子どもたちと、幼稚園の5歳、
6歳の66万5000人。これらの子どもたちは、贈与された物品で用意され
る調理食を受取る。このグループのために必要とされる穀物と穀物生産物の量
は18万トンと見積られる。
●7歳から10歳までの年齢の小学校の136万2000人の子どもたちは、学
校で軽食を受取る。このグループの穀物と穀物生産物は4万3000トンと見
積られる。
●寄宿施設(子どもセンター)にいる2万1500人の孤児と捨て子は3500
トンと見積られる贈与穀物で用意される調理食を受取る。
●171の郡に約32万台の病院ベッドがある。これらのうち、約3分の1は里
の病院にあり、患者のための基本食糧が利用できる。経験によれば、残りの病
院ベッドの平均占有率は60パーセントほどである。これにもとづいて、調査
団は、年間をつうじて、入院患者による12万8000のベッド占有を基準に
食糧援助を勧告する。これら患者は、贈与された食糧品で作られる調理食を受
取る。必要穀物総量は2万1000トンである。
●次に危険にさらされやすい住民のカテゴリーは、妊娠中と授乳期の女性を含ん
でいる。供給されるべき妊娠中と授乳期の女性の見積もり数は、年間をつうじ
て32万人である。これらの女性は公共配給制度をつうじて家庭配給を受取る。
彼女らのために必要とされる穀物量は5万2500トンと見積られる。
1998−99年における、勧告された目標設定の救済的食糧援助の総量は、
30万トンである。
目標を設定した食糧援助計画の復興促進的な構成部分は、AREPの範囲内の植
林、段段畑造成、苗床手入れの作業、FAOおよびIFADが行なうプロジェク
ト、そして、政府による農業開発イニシャティヴを支援するための労働維持的食
糧供給をカバーする。18万トンの穀物が、労働維持的食糧の供給活動に着手す
るために準備されることが勧告される。この量は、6ヶ月のあいだ、平均約50
万人の人々を働かせるだろう。
表7:朝鮮民主主義人民共和国:目標を定められた受益者のための食糧援助の必要、1998‐99年
援助のタイプ 穀物(1000トン) 受益者数(1000人)
託児所および幼稚園(6歳以下) 180 2135
小学校(7歳から10歳) 43 1362
子どもセンター(孤児、捨て子) 3.5 21
病院 21 28
妊娠中と授乳期の女性 52.5 320
労働維持的食糧 180 500
総 計 480 4466
4.4.2.計画的食糧援助
外国からの援助によってカバーされるべき1998−99年の総不足は、105
万4000トンの穀物になる。この総量のうち、48万トンの穀物は、事業的食
糧援助project food aidとして勧告される。調査団は、残りの57万4000ト
ンは、計画的食糧援助programme food aidとして準備され、住民の最低限の栄養
要求を満たすのを助けるよう一般的な分配のための公共配給制度をつうじて供給
することを勧告する。
4.4.3.食糧援助のモニタリング
1995年に朝鮮民主主義人民共和国政府は、食糧援助を含むあらゆる外国から
の支援を調整するために外務部の下に水害復興委員会を設立した。この水害復興
委員会は、目標を定められた諸施設や公共配給制度センターをつうじて供給され
る食糧援助を調整する道レベルと郡レベルの事務所を設置した。
朝鮮民主主義人民共和国に到着した目標設定食糧援助の大部分は、世界食糧計画
によって調整され、管理される。食糧援助の配分を定期的に、また頻繁にモニター
(監視)するために詳細なシステムが確立された。プロセスは、あらゆる積み荷
が到着する前に、水害復興委員会の中央事務所と共同して、あちこちの郡での受
益者の必要を確認し、物品割り当て計画を用意することから始まる。水害復興委
員会は、食糧管理部と一致した配分計画を共有し、道当局や郡当局にたいして到
着予定の積み荷からのそれらへの割り当てを通知する。各郡の公共配給センター
貯蔵所は、到着港からそれらに割り当てられた物品を集荷するために兵站学的な
手はずを整える。
船舶が朝鮮民主主義人民共和国の港に到着したとき、WFPの物品の荷下ろしは、
WFP港湾責任者によって厳重に監視される。荷下ろしされた物品は、割り当て
計画に従って、公共配給制度の郡職員に譲渡され、求めに応じて諸施設や公共配
給制度センターへ輸送される。国内輸送体制は、政府と相談して作り上げた送り
荷証明書システムをつうじて管理される。
ピョンヤンとウォンサン、フンナム、チョンジン、シンイジュにある他の4つの
地域事務所に常駐しているWFP職員は、定期的で頻繁なモニタリング視察を行
なう。モニタリング・ネットワークを拡張するため、今では、ヒエサンに新しい
5番目の事務所が設置された。モニタリング視察は、港湾と送り荷証明書の処理
の監督、水害復興委員会郡事務所、郡貯蔵所、公共配給制度センター、託児所、
幼稚園、病院、労働維持的食糧の対象現場への視察、それに受益者世帯への訪問
による受益者接触モニタリングを含んでいる。モニタリング視察は、食糧品が計
画どおりに流れているか、意図された受益者や改善が求められる当の場所に届い
ているかを確かめることをねらいとされている。こうしたモニタリング視察のた
びごとに、視察のために特別に作られたチェックリストが仕上げられる。チェッ
クリストは、役人や受益者とのあいだで行なわれたインタヴュー、視察した施設
の記録から得られた情報、それに視察者による観察にもとづいて仕上げられる。
これらチェックリストから得られた情報は分析され、また、そうしたモニター業
務をいっそう強化するための管理上の解決において用いられる。
モニタリングの過程は、援助の実施状態を判定し、また、必要とされるところで
はタイムリーな調整活動を行なうために重要である。しかし、モニタリングに制
約がないわけではない。モニタリングの過程で2つの主要な制約に遭遇した。す
なわち、いろいろな郡への立ち入り不能あるいは一部だけの立ち入りということ
と、モニタリング視察において視察が無作為的ではないこと、である。1998
年4月に進行中の緊急活動の開始に際して、40の郡への立ち入りが拒否された。
これら立ち入り不能の地域には、食糧品の供給は計画されなかった。さらに、そ
こへの食糧援助が計画されたものの、さまざまな時期に立ち入りが不可能となっ
たもう13の郡があった。政府は、食糧品を受取っているそれらの郡へのモニタ
リングの中断は短期間であり、定期的な安全保障上の関心事から余儀なくされて
いると確言した。モニタリング視察の無作為性の欠如にかんする制約は、あらゆ
る現場視察の計画が前もって政府に承認されなければならないという事実から生
じている。過去3年のあいだに、徐々に改善がみられ、援助について無作為にモ
ニターすることの援助側の必要性にたいして、朝鮮民主主義人民共和国政府当局
による理解もいっそう深まってきた。今ではたいていの場合、視察はすぐに実施
することができる。しかしながら、多くの場合、視察が行なわれる現場(諸施設)
の選定は、なお水害復興委員会によって決められている。
同様のモニタリング体制は、朝鮮民主主義人民共和国で活動している二国間およ
びNGOの援助者によってもとられている。朝鮮民主主義人民共和国で活動して
ない種々のNGOによって供給される支援は、6つの構成グループからなる国際
NGO協議会が朝鮮民主主義人民共和国に設立した食糧援助連絡機構(FALU)に
よって管理されている。
5.短期的、中期的および長期的方策
短期、中期、そして長期の必要に対処するために、2方面の方策が唱道される。
短期的には、食糧援助が住民、特に危険にさらされやすいグループ(子どもたち、
妊娠中および授乳期の女性、それに病人)の必要最低限の消費を満たすために必
要とされる。しかし、経済全般の回復、復興、開発、とりわけ農業部門のそれら
が、この国がその潜在的能力いっぱいまで食糧を生産し、自立した経済的、社会
的発展を続行できるように緊急に取り組まれなければならない。
農業部門の復興、開発に関するかぎり、1998年5月に開かれた(そして、
1998年11月30日にフォローアップ会議が予定されている)国連開発計画
(UNDP)主導の、朝鮮民主主義人民共和国の農業復興と環境保護の計画のための
主題設定円卓会議は、将来計画へのしっかりした土台をすえるものである。主要
な目的は、 i) 2000年までに食糧穀物生産を620万トンへ回復させること、
ii) 持続可能な食糧生産のための体制を強化すること、である。この調査団は、
次のような推奨された介入策を支持する。それらは、朝鮮民主主義人民共和国の
食糧安全保障を向上させるうえで大きな潜在力を提供する。
●同国における肥料工場の復興をつうじての肥料生産の回復
●灌漑システムの復興と開発(ポンプ設備、送水管、排水路のネットワーク)
●単一栽培への偏りを減らすために作物の多様化が必要とされる。そうした多様
化は、長期的には農地の生産力を高め、いかなる年でも悪天候が原因の作物被
害にたいするリスクを減少させるだろう。
●農地の肥沃度と生産力を増進させるためのマメ科の作物を含む効果的な作物輪
作計画の調査研究
●種子の改良、そして、早稲や短期成育種、また、低化学肥料依存種の調査研究
●作物栽培と家畜飼育の統合されたシステムの調査研究と開発
復興された農業部門が朝鮮民主主義人民共和国における食糧安全保障の基本では
ありつづけるものの、経済全般のパフォーマンスが、どの程度、農業が発展させ
られ、持続可能な基盤のうえで住民の食糧安全保障が確保されうるのかについて
の重要な決定要因である。
[この報告書は、FAOとWFPの責任において公式、非公式の情報にもとづいて作成
された。(以下省略)]
(了)
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