ニューヨーク・タイムズ


記事番号:5408 (1998年12月24日 23時58分19秒)
投稿者:李在一 (属性:在日朝鮮人)
 メールアドレス:fwii2087@mb.infoweb.or.jp

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この記事は[WFP、世界食糧計画特別報告書3]へのコメントです。
この記事には[OCHA、国連機関の援助活動1 (李在一)]というコメントが投稿されています。

内容

李在一です。
在日MLからの転載です。

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10日付けのニューヨーク・タイムズ紙の関連報道の全文訳です。

朝日新聞はじめ、日本のマスコミでのこの問題にたいする無視の姿勢は、今や
”確信犯”的ですらありますね。今回の「テポドン騒動」以来の日本のマスコミ
の報道姿勢により、いかに日本のマスコミ人には真の人道主義というものが理解
できてないか、私にはよくわかったような気がします。

(原文はここ↓)
http://www.nytimes.com/library/world/asia/121098nkorea-food.html
写真付き。ただし、ニューヨーク・タイムズ・ホームページは簡単な登録が必要。

−−−−−−−−−−ここから−−−−−−−−−−

ニューヨーク・タイムズ
1998年12月10日
In North Korean Hunger, Legacy Is Stunted Children
北朝鮮の飢饉で、遺産は発育不全の子どもたち

エリザベス・ローゼンサル(北京発)


5年以上のきびしい食糧不足とほぼ全面的な公衆衛生制度の崩壊により、北朝鮮
ではひどい栄養失調が広がり、おそらく子どもたちの世代全体が、身体的にも精
神的にも害されてしまっていると、国際援助団体による新しい調査結果はみてい
る。

この調査は、北朝鮮での最初の科学的な栄養調査であり、それは、この1年のあ
いだにきわめて孤立した秘密主義のこの国の住民との接触を深めてきた国際援助
団体の活動家たちによる不安にさせるような数々の報告を確証するものだ。

いろいろな調査結果のうちでも、世界食糧計画、ユニセフ、欧州連合の研究者ら
は、長期の食糧不足のゆえに、7歳以下の子どもたちの、なんと62パーセントが
発育不全におちいっていることを見出した。

彼らは次のように言っている。過去3年間における莫大な国際的食糧援助にもか
かわらず、きびしい栄養失調はなお、よちよち歩きの子どもたちに蔓延している。
知能発達の決定的な段階で、この世代の身体的、知的な能力は正常に発達せず、
また、けっして取り戻せないだろう、と。

他方、赤十字のような団体の国際医療活動家たちは、いかに食糧不足の影響が公
衆衛生サービスの崩壊でいっそう悪化させられているかということを報告しはじ
めた。塩素のような必須の合成物がないため、基本的な水の浄化システムさえ無
効になっており、赤十字の活動家によると、非常に多くの人々が、どんな小さな
食物でも十分には吸収できないようなひどい下痢症状におかれていると言う。

最近になって、ますます明らかに、そして悲しくなるような、北朝鮮の2300万の
人々の飢えた生活の状況が焦点になってきた。というのも、同国政府がゆっくり
と、しばしば、しぶしぶと、国際援助団体にある程度の立ち入りを認め、それが
外国の援助機関による最近の公式の調査研究やより非公式の調査や観察につなが
ったからだ。災害の規模についての過去の評価は、中国に逃げ込んだごく少数の
北朝鮮人へのインタヴューにもとづいたものだったので不備があるとみなされて
いた。

そして、北朝鮮の現地での研究者や活動家たちは、難民によるもっとぞっとする
ような報告に描かれたような、カニバリズムや道端で死んでいる飢えた子どもた
ちといった証拠は目撃していないものの、彼らが見出したものは多くの面で同様
に不安にさせるものだった。すなわち、十年近くにわたる慢性的な飢えののち衰
弱している人々。寒さと腹部の流感でたちまち致命的になってしまうほど栄養失
調で弱っている人々。取り返しがつかないほどに失われてしまった、ある世代の
将来。

「今やとうとう私たちは動かぬ証拠を得た。事態は非常に重大だ」と、調査に参
加した国連世界食糧計画のアジア地域局長のジュディス・チェン=ホプキンスは
語る。「私にとって、これはスローモーションの飢饉です。人々は何年も闘って
きて、そしておそらく多くの者が脱落する。しかし、全体像を評価するのは非常
にむずかしい。」

この危機についての現在までのもっともしっかりしたデータを提供しているもの
だが、それは、外国人科学者らを中心とする調査チームがこの秋、3週間にわた
って、北朝鮮のあちこちに分散し、最初の無作為サンプリング栄養調査をおこな
い、1800人の子どもたちを調べたことだ。彼らは、7歳以下の子どもたちの62パー
セントが成長が妨げられ、長期の栄養失調の兆候があることを見出した。1歳か
ら2歳の子どもたちの30パーセントが軽度から重度の栄養失調の状態にある。こ
のため、精神的、身体的な発達がそこなわれているという可能性が高い。なぜな
ら、神経系はきわめて重要なこの最初の1年に劇的に発達するからである。

研究者らは、利用可能な科学的データによれば、10年前には北朝鮮で栄養失調は
まれだった、と言う。

「たとえ事態が好転したとしても、この国が、私たちが見た状況からまったく回
復するほどには好転しそうにない」と、国連世界食糧計画のプログラム上級顧問
のジュディット・カトーナ=アプトゥは語る。「人々は背が低くて、そうではな
い場合(普通の場合)ほど発達しないし、精神的能力の面でいくぶん制約される
だろう。」

そのうえ、今年、赤十字の代表が840ヶ所の水道がある病院と診療所で水道水をテ
ストしたところ、どの水道も人間が飲むのに不適切だったことがわかったと、北
朝鮮への国際赤十字・赤新月社連盟調査団の団長だったステン・スウェドゥラン
ドは語る。

 100万人以上と見積られる早死に

「しかしもちろん、彼らはそれを飲んでいる。他に選べないから」と、彼は最近
の北京訪問時に語った。「食糧不足によって引き起こされた問題と、まったくひ
どい状態にある保健部門の問題とのあいだに非常に密接な関係がある。」栄養失
調状態にある7歳以下の子どもたちのほとんど全員がまた下痢症状をかかえてい
ると、彼は述べた。

飢餓に関係した死亡の問題を調査できた援助団体はない。また、北朝鮮人はそれ
に関した数字を発表していない。だが、たいていの専門家らは、おそらく100万人
以上が、ことによると300万人もの人々が食糧不足が始まって以来、早死にしたと
いう見方で意見が一致している。しかし、公衆衛生の専門家によると、いずれに
せよ死亡者の数を勘定するのはむずかしいかもしれない。なぜなら、たいていの
死亡者はおそらく急激な飢餓からではなく、何年かの飢えのために免疫力が弱ま
ることからであり、その結果、普通の風邪でもごく簡単に致死的な肺炎になって
しまうし、また通常の伝染性の下痢患いが致命的になるからだ。

さらに、多少不安にさせる手がかりがある。つまり、昨年、世界食糧計画と他の
団体が、政府によって選ばれた4000人の子どもたちについてのある限定的な調査
を行なった。そしてその時、10パーセントの子どもたちは親のどちらかが亡くな
っていたことが判明したのである。

この秋の独立した栄養調査では、北朝鮮の九つの道のうち八つへ18組の専門家チー
ムが派遣され、1800人の農村と都市の7歳以下の子どもたちを検査した。

62パーセントの子どもたちが発育不全だということにくわえて、調査チームは、
調査時に、子どもたちの約16パーセントが深刻な栄養失調状態にあり、十分な食
糧をまったく与えられていない兆候である身長に比べて過少体重の状態にあるこ
とを見出した。

 国全体で十分な食糧を与えられていない様子

そうした数値は東アジアのどの国よりも高く、栄養失調という点で北朝鮮を世界
のワースト10の国に入れる。その16パーセントという数字は、インドとバングラ
デシュの数字ほど悪いわけではなく、これらの両国は18パーセントで世界最悪だ。
けれども、北朝鮮の数字はいくつかの点で問題を少なく表現していると、専門家
らは言う。インドとバングラデシュでは、きびしい貧困地域と相対的に豊かな地
域とが交互に立地している。他方、北朝鮮では国全体がある程度、食糧不足なの
である。

「戦争で荒廃した国々でさえ、飢餓というのはより局地的だ」と、カトーナ=ア
プトゥ博士は語る。「このように悪影響を及ぼされた例は、他の国については考
えにくい。」

調査結果は、とくに誇張のないものだ。なぜなら、研究者たちは7歳以下の子ど
もたちだけを調べたからだ。この年齢層は、ほとんどすべてが海外から送られた
食糧を受取っている。3年間の食糧贈与ののち、同国にいる多くの外国人援助活
動家は託児所や幼稚園にいる子どもたちが元気になっているように見えるのに気
づいた。しかし、その子たちの年上の兄弟姉妹たちは弱っているのにも気づいた。
それゆえ1ヶ月前、世界食糧計画は7歳から12歳までの年齢の子どもたちのため
に、高栄養分含有ビスケットを小学校に供給しはじめた。

「私たちは、多くの人々が悪くなっており、年寄りたちはまさにだんだん弱って
いる見過ごされた年齢層だと信ずる理由がある」と、スウェドゥランド氏は語る。

現在、100人以上の西洋人が首都のピョンヤンにおり、多くの者がそこでは長期の
飢餓についてすぐ分かると述べる。「もしピョンヤンの通りを歩いて、誰か子ど
もに歳が幾つか尋ねたら、まず3歳は見間違うでしょう」と、スウェドゥランド
氏は言う。「その子が7歳だとすると、でも3歳か4歳にしか見えません。」

バングラデシュとスーダンで働いたことのある栄養学専門家のカトーナ=アプトゥ
博士は、昨年、彼女がはじめて北朝鮮のある幼稚園を訪ねたとき、ショックだっ
たと語る。

「明らかにひどい栄養失調の2人の子が机に座っていた。その子たちは非常にや
せていて、きれぎれの髪をしている」と彼女は語る。「そして、その子たちはた
だそこに座って、勉強している。それが当たり前のこととみなされる! その子
たちは学校にいる。そして、その子たちは実際には入院させられ、栄養上のリハ
ビリをしてやるべきなのに。もしあなたが難民キャンプでその子たちを見たら、
あなたはすぐにでも干渉するよう勧めるでしょう。」

しかし、ひどく枯渇した公衆衛生と医療の制度のため、そうした選択肢はないと、
彼女や他の者は語る。多くの朝鮮人の医師は、どのように栄養失調を診断し、扱
うべきか知らない。つまり、この十年以前、それを見た者はほとんどいない。そ
して、いずれにせよ、病院には食糧や適切な栄養補充物がない。スウェドゥラン
ド氏は、ほとんどの病院には医薬品がなく、壊れた窓を修理するガラスもないし、
1994年以来、石炭を受取ってないので「外より中のほうが寒い」と語る。

 下水設備はほとんどない。病院でさえ

病院でさえ、下水設備や水道浄化設備は実質的に存在しない。なぜなら、この国
には水を浄化するための塩素が欠乏し、水流ポンプを作動させる燃料がないから
だ、と彼は述べる。来年、赤十字はこれらの問題に対処しはじめ、入院患者の食
糧に350万ドル、水処理に100万ドルを出費するだろうと、彼は語る。

他の選択肢がほとんどないため、非常に多くの北朝鮮人は「代替食品」を食べる
のに頼っている。それは硬いケーキや麺類であり、大豆やサツマイモのような栄
養植物と、トウモロコシの茎や麦わらのような消化しにくい詰め物とを混ぜて作
られる。

「これは現在、食糧摂取量の40パーセントを構成している」とスウェドゥランド
氏は言う。「それは正規の食糧品の一部になりつつある。」北朝鮮の医師らが多
くの人々がこのいくぶん消化しにくい物を食べたのち腹痛をおこすと述べている、
と彼は語るが、「もしすごく空腹だったら、それでも腹は満たすよ」と付け加え
た。

北朝鮮人は食糧問題を1990年代半ばの一連の洪水や干ばつに始まるとするが、北
朝鮮で活動する外国人研究者らは、医療記録や幼年期の成長パターンは飢餓がそ
れ以前の数年前から始まっていることを示していると言う。そして、そのことは、
長く北朝鮮への食糧、燃料、肥料の主要な供給者であったソ連の崩壊と結びつい
ているとも言う。

北朝鮮は山地の多い国で、耕地は20パーセント以下である。何十年のあいだ、同
国は主に旧ソ連から、それに中国からの食糧輸入国だった。

「この国は、これは構造的な問題の一部であり、もはやただ天候のせいにはでき
ないという事実に真剣に取り組まなければならない」と、チェン・ホプキンス氏
は語る。

それでも、彼女や他の者らは、普段は硬直的で秘密主義の政府が、そのやり方を
ゆっくりと緩和していることを賞賛した。スウェドゥランド氏が言うには、同国
でのこの3年で、北朝鮮赤十字と協力しつつ活動している国際赤十字は、官僚ら
が次第にいい反応をするようになり、また医師らはすすんで医療記録を提示し、
問題を持ち出すようになったのを認めている。

旅行はなお制限されている。人口の30パーセントの居住地域にあたる70以上の地
方行政区に援助団体は立ち入りできず、それゆえ、援助団体はそうした地区への
食糧や医療の供給を拒否している。それでも、活動家たちに開放される地区の数
は着実に増えており、あちこち動き回る自由についても改善されつつある。

チェン・ホプキンス氏は、現在、事後点検の視察のおよそ半分は事前予告なしに
行われていると語り、また、彼女は、栄養調査での研究者らは無作為に訪問する
村を選定し、家々に入るのが許されたことに特に言及した。

難民からの聞き取りにもとづく報告はカニバリズムや道端に死んでいる人々とい
った扇情的な話で満ちていたが、赤十字や世界食糧計画の活動家たちは、そのよ
うな場面は見たことがなく、もしそうしたことが頻繁に起こっているなら目撃し
たに違いないと信じている。

「私はバングラデシュで見たような激しい飢餓を見ていない」とカトーナ=アプ
トゥ博士は語る。「だが、見てないことは存在しえないことを意味しない。私た
ちは、実際まだ、見ることができるものを制限されている。」

 食糧の軍事的横領という非難を無視して

スウェドゥランド氏は、外国人になお閉ざされている地区は開放されている地区
と著しく違っているとは思えないと語る。そして、閉鎖地区は死人と惨状の地域
を隠すためかもしれないと推測する者たちも中にはいるが、彼は、それらは国家
安全保障上の理由から除かれたという北朝鮮側の説明を受け入れると語る。

「私が学んだことは、北朝鮮人にとって国家安全保障の問題がいかに重要かとい
うことだ」と、スウェーデン海軍の退役大将でもあるスウェドゥランド氏は述べ
る。「そして、私は本当にこれら地域はそうした見地から重要なのだと思う」と、
閉鎖地域の地図を調べ、そこに軍事施設として広く知られたものを説明しながら、
彼は言い足した。

彼はまた、北朝鮮の軍部が贈与された食糧を盗んでいるという考え方を拒否した。
それは国境なき医師団が北朝鮮での同団体の活動にたいする多くの制約に抗議す
るため、この夏、怒りながら同国から引き上げたときに浴びせた非難だ。

今では北朝鮮人から多少良好な協力を得はじめていると援助団体は述べており、
彼らは6ヶ月から12ヶ月ごとに栄養調査を繰り返したいと考えている。そして、
彼らはなお、いくぶんじれったい調査結果の分析を続けている。つまり、男の子
は女の子より倍も発育不全になっているらしいということ、それと、母親が死ん
だどの子どもも栄養失調であること、である。

「北朝鮮の子どもたちの世代はすでに一生の傷を負っている」と、国際赤十字連
盟総裁のアストリッド・ハイベルグは北朝鮮訪問後の北京での記者会見で語った。
「私たちはさらに深刻な大惨事になるのを防ぐために資源を動員しつづけなけれ
ばならない。」

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