子どもの栄養調査
記事番号:5680 (1999年02月09日 11時34分10秒)
投稿者:李在一 (属性:在日朝鮮人)
メールアドレス:fwii2087@mb.infoweb.or.jp
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内容
李在一です。
在日MLからの転載です。
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昨年末に公表された、国連機関などによる北朝鮮の子どもの栄養調査報告書の全
文訳です。(と言っても、付録はありません。)
(原文はここ↓)
http://wwwnotes.reliefweb.int/files/rwdomino.nsf/480fa8736b88bbc3c12564f6004c8ad5/d7f4853e335ecbff852566e90073e8b6?OpenDocument
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Nutrition Survey of The Democratic People's Republic of Korea
Report by the EU, UNICEF and WFP of a study undertaken in collaboration
with the Government to DPRK
November 1998
朝鮮民主主義人民共和国に関する栄養調査
朝鮮民主主義人民共和国政府と共同して行なわれた欧州連合、ユニセフ、世界
食糧計画による調査の報告
1998年11月
目次
序
調査方法
母集団の検討
サンプリングの計画
データの収集
データの加工と分析
主な調査結果
付録
1.抽出された洞または里と郡
2.朝鮮民主主義人民共和国の郡別地図
3.調査マニュアル
4.質問事項
5.調査員名簿
序
この栄養調査は、朝鮮民主主義人民共和国における乳幼児の現在の栄養状態の評
価を、政府と国際的支援者に提示することを目的としたものである。その評価は、
政府と支援者によって遂行される一連のプログラムの複合的な効果を将来に査定
する際の参考として役立つようにと意図された。
この栄養調査の特定の目的は、生後6ヵ月から7歳までの子どもたちを代表する
サンプルの栄養状態を評価することだった。
調査方法
母集団の検討
朝鮮民主主義人民共和国は9つの道と3つの主要な直轄市からなっている。これ
ら地域には212の郡がある。郡はより小さな行政区からなる。それらは里(農
村部)または、洞(都市部)である。同国の総人口は2200万人以上である。
朝鮮民主主義人民共和国中央統計局は、人口センサスと同国のそれぞれの郡の人
口数に関する情報を準備することに責任を持つ機関である。この機関からの情報
が、サンプル選定のための計画段階で利用された。
サンプリングの対象領域から、今のところ国際的支援要員の立ち入りが認められ
ていないか、または、調査以前に立ち入りが保障されていなかった82の郡は除
かれた。かくして、サンプルの選定は、立ち入りが保障されていた130の郡を
もとに行なわれ、それらは、同国の人口の71パーセントを、そして、道別にみ
て22パーセントから91パーセントまでの幅はあるものの、すべての郡の61
パーセントを代表している。
サンプルの計画
必要とされるサンプル数は、以下のような基本的仮定を前提とするさまざまな指
標の下で見積られた。すなわち、一世帯当たり人数=4.5、それに、5歳以下の
人口割合=11パーセント、実験計画効果=2対10(design effect = 2 to 10
[多段抽出を行なった場合の偏りの指標と思われる−訳者])。5パーセント点
の標準誤差が用いられ、そして、栄養失調の罹患率は、真の値でありうるものに
対する概算として見積られた。そこで、サンプル数3600世帯がこの調査のために
引き出されるということに意見の一致が見られた。
里および洞レベルの集団を確定するには多段抽出法が用いられた。最初の段階で、
人口数に対する確率比例抽出(PPS)により30郡が選ばれた。次に、選定された
これらどの郡からも、やはり確率比例抽出により4つの里ないし洞が選ばれた。
その際、どの里も約1000世帯からなり、どの洞も約1500世帯であるという情報に
基づいて抽出作業を行なった。
第3段階では、120の選ばれた里ないし洞のどこからも30世帯ずつ選ばれた。
里ないし洞レベルでのこの選定は、データ収集に先立って系統抽出法で行なわれ
た。付録1にこの調査に含まれた道、郡、それに集団の一覧を掲載した。それら
は地域順に掲載されている。つまり東海岸(咸鏡北道、咸鏡南道、江原道)、西
海岸(平安北道、平安南道、ナムポ市、黄海北道、黄海南道)、それに中部地区
(両江道、慈江道、ピョンヤン市、ケソン市)である。付録2には、朝鮮民主主
義人民共和国の郡別地図を掲載した。
世帯の選択は里長・洞長事務所で行なわれたが、そこで調査チームはすべての世
帯についての完全で最新の名簿を利用できた。各々の集団(里ないし洞)から
30世帯を選ぶには系統抽出法が用いられた。政府の求めにより、フィールドワー
ク開始の前日に選ばれた世帯リストのコピーが里長、洞長に渡された。それによ
り、該当する家族は訪問予定を知らされ、ゆえに再訪問はほとんど必要なかった。
目標集団、つまり生後6ヵ月から84ヵ月の子どもたちがそこで調査される選ば
れた世帯へ、里ないし洞の職員が調査チームを案内した。
データの収集
フィールドワークは14チームによって行なわれた。各々のチームは、1名の国
際的要員と4名の国内要員からなり、後者は保健関係職員2名、通訳1名、それ
に運転手1名だった。どのチームも2名の調整者[まとめ役]を決め、1名は政
府から、別の1名は調査における国際的協力機関、つまり欧州連合、ユニセフ、
世界食糧計画(WFP)のいずれかを代表する者だった。調査対象の各郡は3つのグルー
プに分類され、その各々に別の国際的協力機関が調整に当たるよう割り当てられ
た。欧州連合は3チームに要員を出し、ユニセフは8チームに、WFPは3チームに
要員を出した。合意された調査実施要領が準備されたのち、フィールドワークは
1998年9月23日に始まり、同年10月16日に終了した。付録5に、フィールドチー
ムのメンバーおよび国際的調整者と専門アドバイザーの氏名を掲載する。
次いで、どのチームの調整者も子どもたちの年齢、性別、身長、体重を記録し、
浮腫[むくみ]の兆候を観察した。
体重と身長は、世界保健機構 (WHO)によって推奨される標準的な方法を用いて計
測された。体重測定にはユニセフの電気秤(アメリカ、セカ社製)が使用され、
また、身長測定にはショア小児・児童用身長計測器(メリーランド、ショア社製)
が用いられた。
フィールドチームのメンバーは、国際的要員であれ国内要員であれ全員、集中的
な訓練を受けた。これは、ピョンヤンの児童栄養研究所で行なわれた。この訓練
は、サンプリング方法、人体測定学的計測、および浮腫の鑑定を含むものだった。
フィールドチームの国際的要員は、本調査開始2日前の9月21日にユニセフ事務
所で特別の訓練講習(強化訓練)を受けた。それは、調査方法の知識をより確実
にすることを目的とした。里ないし洞レベルで行なわれるサンプリング方法の徹
底的な再吟味がなされ、現場での身長・体重測定の正確さを確保するために実習
が行なわれた。この講習のためにボランティアの子どもらが利用された。国際的
な監督要員はみな共通に、特にどの質問事項も完全、正確、判読可能に書き込ま
れるよう点検することでデータ収集の高い水準を維持するように教育された。さ
らに、現場訪問のたびに器材の正確さを点検するよう強調された。
訓練を容易にし現場でのデータ収集を確かなものにするのに役立つよう、幾つか
の文書が朝鮮語と英語の両方でそれぞれのチームに配布された。これら文書には、
はかりの使用法、栄養状態測定手続きの概要、フィールドマニュアル、それにチー
ムリーダーの責任内容が含まれた。フィールドマニュアルは付録3に掲載した。
データの加工と分析
すべて英文による調査用紙の生のデータは、調査に関わった各国際的協力機関に
よって指名された者らによってまとめられた。データ書き込みファイルは、
EPI-INFO(バージョン6)を用いて作られた。次に、3つの機関によって入力さ
れたあらゆるデータが完全なデータファイルになるよう1つにまとめられた。転
記ミスを減らすために別々に二重のデータ記入作業がユニセフ事務所で行なわれ
た。データ記入に従事する作業者は全員、ユニセフの顧問らによって訓練された。
彼らはまた、データ編集過程、データ記入プログラム、そしてファイルの操作法
について手ほどきを受けた。分析のための誤りのないデータを作り出すために一
貫した点検と編集が行なわれた。
体重、身長に関する生のデータは、国家保健統計局によって練られてきた成長参
照グラフに基づいて、EpiInfo EPINUTを用いて、指標化された。この手順は、WHO
によって推奨されているものである。年齢、性別、体重、身長に関する情報は、
さまざまな人体測定学的指標、つまり年齢別身長、年齢別体重、身長別体重とい
った指標の数値を算出するのに用いられた。これらの指標は、WHOが推奨するよう
に、国際的な成長参照値に比例させて、Zスコア[標準化得点:平均値より標準偏
差いくつ分だけ離れているか−訳者]で表わされた。
分析においては、人体測定学的に低位の水準を分類するために、WHO、CDC[アメ
リカ疾病抑制予防センター]、その他の諸機関が推奨する基準点が用いられた。
その人体測定学的指標が、Zスコアでマイナス2以下となる子どもたちが、軽度ま
たは重度の栄養失調と見なされた。
データの予備的な分析は、EPI INFOと社会科学統計パッケージ(SPSS)を用いて、
ユニセフ事務所で行なわれた。ひきつづき、第2ラウンドの分析が調査に協力し
た3つの国際的協力機関の代表らによる共同作業で行なわれた。サンプルの計画
に起因する調整がなされたこの分析のためには、統計解析システム(SAS)が用い
られた。サンプルの抽出は、里ないし洞における世帯数についての仮定に基づい
て行なわれたので、里ないし洞で確かめられた実際の世帯数と調和するように調
整されたのである。また、Zスコアがマイナス6以下の数値となるあらゆるケース
は、年齢別身長の計算結果から除かれた。これらのケースは、年齢記録に際して
錯誤があったものと見なされた。
主な調査結果
表1は、調査された子どもたちの年齢別、性別の分布を示している。女の子と男
の子がほぼ等しくそれらサンプルで代表されている。
全体的な栄養失調罹患率は、算出された3つの指標それぞれで表2に示されてい
る。むくみを伴った約3パーセントを含む、およそ16パーセントが、軽度およ
び重度の衰弱、言い換えれば、急性の栄養失調に冒されている。調査されたあら
ゆる子どもたちの約62パーセントは、軽度および重度の発育不全、言い換えれ
ば、慢性的な栄養失調に冒されている。一方、およそ61パーセントは、軽度お
よび重度の体重不足の罹患、言い換えれば、年齢のわりに過少体重であった。
栄養失調罹患率の年齢別、性別の分布が表3に示されているが、そこから、12
ヵ月から35ヵ月の年齢範囲で衰弱の罹患率が最多となっており、その前後はよ
り少ないことが見てとれる。他方、発育不全と過少体重は4歳までずっと増え続
け、それ以後の年齢も低減しない傾向にある。データはまた、3つの指標すべて
で判断された栄養失調の罹患率は、女の子よりも男の子の間でのほうがより大き
いという傾向があることを示している。年齢別体重と年齢別身長の分布は標準的
なパターンを示しているとはいえ、それらのZスコアの平均値はきわめて悲観的な
ものであり、子どもたちの人口全体が危機にさらされているらしいということを
告発している。
表1:サンプルの年齢および性別の構成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
年齢層 男子 構成比(%) 女子 構成比(%) 総計 構成比(%)
6ヵ月〜12ヵ月未満 61 6.9 83 9.5 144 8.2
12ヵ月〜24ヵ月未満 146 16.5 151 17.3 297 16.9
24ヵ月〜36ヵ月未満 159 17.9 133 15.2 292 16.5
36ヵ月〜48ヵ月未満 139 15.7 125 14.3 264 15.0
48ヵ月〜60ヵ月未満 141 15.9 125 14.3 266 15.1
60ヵ月〜84ヵ月 241 27.2 258 29.5 499 28.3
総 計 887 100 875 100 1762 100
表2:全体的な栄養失調罹患率
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
栄養失調の割合(%) Zスコア
マイナス2Z以下 平均値 95%信頼区間
衰 弱(体重/身長) 15.6 -0.95 -1.03 〜 -0.87
発育不全(身長/年齢) 62.3 -2.57 -2.73 〜 -2.45
過少体重(体重/年齢) 60.6 -2.29 -2.44 〜 -2.20
表3:年齢別、性別の軽度および重度の栄養失調罹患率
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
男子(%) 女子(%) 総計(%)
衰弱(体重/身長がマイナス2Z以下)
年齢層
6ヵ月〜12ヵ月未満 19.1 16.5 17.6
12ヵ月〜24ヵ月未満 36.5 25.8 30.9
24ヵ月〜36ヵ月未満 25.3 14.2 20.5
36ヵ月〜48ヵ月未満 16.3 9.2 13.4
48ヵ月〜60ヵ月未満 14.6 3.0 8.9
60ヵ月〜84ヵ月 11.7 4.2 7.8
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
発育不全(身長/年齢がマイナス2Z以下)
年齢層
6ヵ月〜12ヵ月未満 23.0 8.2 14.5
12ヵ月〜24ヵ月未満 45.6 51.1 48.5
24ヵ月〜36ヵ月未満 63.7 60.2 62.2
36ヵ月〜48ヵ月未満 74.6 75.6 75.1
48ヵ月〜60ヵ月未満 80.0 75.0 77.5
60ヵ月〜84ヵ月 76.4 73.4 74.8
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
過少体重(体重/年齢がマイナス2Z以下)
年齢層
6ヵ月〜12ヵ月未満 46.7 21.6 32.2
12ヵ月〜24ヵ月未満 63.1 49.4 56.1
24ヵ月〜36ヵ月未満 72.1 61.5 67.3
36ヵ月〜48ヵ月未満 69.1 70.3 69.7
48ヵ月〜60ヵ月未満 66.6 56.6 61.9
60ヵ月〜84ヵ月 70.1 59.7 64.7
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