北朝鮮での栄養調査に関して


記事番号:5694 (1999年02月10日 11時22分29秒)
投稿者:李在一 (属性:在日朝鮮人)
 メールアドレス:fwii2087@mb.infoweb.or.jp

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この記事は[子どもの栄養調査]へのコメントです。

内容

李在一です。
在日MLからの転載です。

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北朝鮮での栄養調査にかんして最近あるミニコミ誌に投稿した文章をこちらにも
投稿します。

文中のニューヨークタイムズの関係記事の訳文は、当MLにも昨年、アップしま
したが、次のURLにもあります。

http://www.han.org/hanboard3/msg/5408.html

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(改題とコメント)
「人道援助の継続こそ平和への道筋〜ニューヨーク・タイムズの記事によせて」
                               

 北朝鮮の食糧難問題は、洪水や干ばつなどの自然災害が原因だと報じられてき
た。けれども、これまで十分にデータが公表されてこなかった北朝鮮農業の実情
が海外の研究者らによって多少とも明らかにされてくるにつれ、食糧難の急激な
悪化を引き起こしたのは自然災害だったとしても、北朝鮮農業の疲弊は、ソ連崩
壊により必要な物資や燃料などが十分調達できなくなったため、という北朝鮮経
済の全般的な不調に根本原因があることがだんだん判明したきた。

 こうした北朝鮮農業の直面する問題に対して、世界食糧計画や国連開発計画な
どの国連専門機関は、国際的な人道援助の取りまとめ役として北朝鮮の食糧難を
克服させる当面の食糧援助と共に、北朝鮮農業の復興への支援も世界各国に呼び
かけるようになった。

 とはいえ、1996年以来の国連機関を中心とした北朝鮮への人道援助が、はたし
てどれだけ効果をもたらしてきたのか、実はつい最近まで、それほど明確ではな
かった。援助は役に立っているのか、援助食糧が必要な人々にきちんと届いてい
るのかといったさまざまな疑問や懸念が取り沙汰されてもきた。

 そうこうするうちに、日本では、昨年8月に北朝鮮が「テポドン」を発射して
以来、政界やマスコミなどにおける安保談義の横行もあってか、国際社会からの
食糧援助を北朝鮮の党幹部や軍部らが横取りしているといった憶測がことさら強
調されるようになってしまった。

 しかし、こうした見方は十分な根拠に裏づけられたものではない。北朝鮮の飢
饉についての外国人駐在者らによるさまざまな見聞が二、三年前からぽつぽつも
れ聞こえるようにはなっていた。だが、全体的な実態は依然としてよくわからな
かった。国際的に有名なNGOである「国境なき医師団」が昨年9月に表明した
北朝鮮政府非難も、一部の越境難民からの聞き取りのみにもとづいたものだ。

 そうした中で、昨年9月から10月にかけて国連機関などが合同して、ようやく
北朝鮮政府の認可を得て、子どもたちを対象としたはじめての全国的で客観的な
実態調査を行なった。そして、11月に入ってその調査結果が公表され、まもなく
欧米諸国を中心に世界中でその内容がマスコミの話題にのぼったのである。この
一文を寄せたニューヨーク・タイムズの記事も、そうした報道のうちの最も詳細
なものの一つだった。

 こうして今や、北朝鮮の食糧難の実態がかなり明らかになってきた。それは、
食糧難問題が浮上してからはじめてのことなのである。

 ところが日本では、「テポドン騒動」の陰で、このはじめての科学的な実態調
査についてほとんどのマスコミ機関が詳しい報道をしていない。マスコミの関心
はもっぱら北朝鮮のミサイルの脅威を煽るものばかりだったと言えよう。すぐ隣
国で、近代の世界史上まれにみる特異な飢饉が進行していたという事実が明るみ
に出されたのに、である。さらにそればかりではなく、昨年12月25日付けの日本
経済新聞は、情報源を明らかにしない曖昧な記事で、北朝鮮の軍部などが食糧援
助を横取りしていると国際赤十字連盟が判断し、食糧援助の中止を決定したとい
う、事実ではない虚偽の記事すら流したのである。国際赤十字連盟は日本経済新
聞社に抗議したが、同新聞はこれまで訂正記事などをいっさい載せていない。

 世論の一部に北朝鮮に対してもっとも厳しい見方が存在するアメリカにおいて
さえ、ニューヨーク・タイムズのこの記事のように、北朝鮮の飢饉と人道援助を
テーマとする詳細な報道がなされてきたのと比べて、日本の状況はまったく異常
だとは言えないだろうか。


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