1997/06/04 衆議院外務委員会
記事番号:1923 (19100年05月17日 19時30分13秒)
投稿者:dai (属性:??)
メールアドレス:123dadada@geocities.com
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この記事は[拉致問題 日本政府の見解とは?]へのコメントです。
内容
140回-衆-外務委員会-18号 1997/06/04
平成九年六月四日(水曜日)
午後一時十一分開議
○逢沢委員長 これより会議を開きます。
国際情勢に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。
○安倍(晋)委員 私は、ただいま大変大きな問題となっております日本人に
対する北朝鮮の拉致疑惑について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
先般、十六日の当委員会において質問をさせていただきました件から、最初
にお話を伺いたいと思うわけであります。
一九七八年に、日本で起こっていると同様の事件がレバノンであったわけで
ございまして、五人説、四人説それぞれあるわけでございますが、数名のレバ
ノン人が一九七八年に拉致されたわけであります。そのうち二名がベオグラード
において独力で脱出をしてクウェート大使館に逃げ込んで、その後レバノンに帰
ってきたわけであります。そして、その後レバノンのブストロ外務大臣が駐レバ
ノン北朝鮮貿易代表部代表を呼び出して交渉した結果、残りの人たちも帰ってき
たという事件であります。このことにつきましては、地元のオリエント紙あるい
はアイケ紙において、それぞれ一九七八年の十月三十日付で報道をされているわ
けであります。
この件は、我が国がこれから拉致をされている人たちを取り戻す上においてい
い教訓になるのではないかということで、外務省に知っている限りの情報を開示
していただくように御質問をしたわけでございますが、十六日当時はまだ外務省
にはその情報が入っていなかったということでございます。現在のところ、どれ
くらいの情報を得ているかどうかについて、まずお伺いしたいと思います。
○加藤(良)政府委員 委員御指摘の件につきまして、先般来、我が方からレバ
ノン政府に対して照会をいたしておりました。しかし、内戦とか庁舎の移転とい
うことが重なりまして、当時の資料の多くが既に失われており、文書を通じて当
時の事実関係を確認することはできないというのが先方の回答であったわけでご
ざいます。
そういう中で、私たちの方から、既に退任している者を含む当時のレバノン政
府関係者にさらに照会いたしましたところ、事実関係等が必ずしも十分明らかで
ないところもございますけれども、レバノン人の女性の誘拐疑惑に関してレバノ
ン政府が北朝鮮の通商代表部に当時抗議を行いまして、北朝鮮側はこれに対する
直接の回答をしなかったということがございましたけれども、その後これらの女
性が、委員御指摘のような経過をたどって最終的にレバノンに帰国したというこ
とであった模様でございます。
そういうことでございまして、いかなる経過が具体的にあったかというのは判
然としないのでございますけれども、当時レバノンと北朝鮮の国交樹立の話が動
いていて、一九八一年にその国交は樹立されるわけでございます。そして、一九
七九年当時、レバノンは北朝鮮との国交がなかったわけでありますけれども、北
朝鮮とは党の関係などを通じて相当良好な関係にあったということがもしかした
らその背景にあるのかもしれないということが、そのレバノン側の関係者から指
摘されております。
○安倍(晋)委員 そういう意味では大分いろいろな情報をとっていただいたわ
けでございますが、このことは本当に参考になっていくのではないか、私はこの
ように期待しておりますので、今後とも調査をしていただきますように、よろし
くお願いしたいと思います。
国会におきましても、拉致疑惑に関する日本人及び日本人の家族に対する支援
をする議員連盟が発足いたしまして、大変な数の議員に参加をしていただきまし
た。残念ながら、まだまだ自民党、新進党以外の皆さんには、余りたくさんの皆
さんには参加をしていただいていないわけでございますが、こうした議連が今後
果たしていく役割は大変大きなものがあると思いますし、北朝鮮に対して大きな
プレッシャーにもなる、こういうふうに思っております。北朝鮮に早く人道的な
支援をしようという心優しい人たちが余り参加をしていただいていないという皮
肉な現状にあるわけでございますが、今後とも議連を通じて私も頑張っていきた
い、このように思っておる次第でございます。
続きまして、警察庁に質問をいたしたいと思うわけでありますが、先般十六日
も質問をいたしました辛光洙事件であります。
この辛光洙事件というのは、日本人の原敕晁さんに北朝鮮の、これはかなり大
物スパイと言われておりますが、辛光洙が入れかわって、この原敕晁さんを拉致
して、原敕晁さんに成りかわって辛光洙が入ってきて、原敕晁さんの名前でパス
ポートあるいは免許証も取得をして、そして韓国に再入国をしていろいろな活動
をしていた中で逮捕をされたということであります。
裁判記録からもいろいろなことがはっきりしてきているわけでございますが、
我が国国内の北朝鮮系の商工団体の会長、理事長が実際にこの原敕晁さんを拉致
する謀議に明らかにかかわっていたということも裁判記録ではっきりいたしてい
るわけでございまして、その二人とも特定することができます。一人は、原敕晁
さんが勤めていた中華料理店のオーナーであり店長であります。この人がその商
工団体の理事長だったわけでありますが、彼が、自分のところにいいのがいるか
らこれを拉致してしまおうということで謀議した結果、原敕晁さんはある日忽然
と姿を消すわけであります。そして、この成りかわった辛光洙がスパイとして活
動したということであります。
皮肉なことに、この辛光洙につきましては、一九八九年七月十四日に、盧泰愚
大統領に対して、在日韓国人政治犯の釈放に関する要望というのを出したのです
ね。これは、衆参超党派の百三十数名の議員の皆さんが、この二十九人の政治犯
を釈放してくれ、この人たちは無罪だと言って、土井たか子さん、菅直人さんを
初め多数の議員の皆さんが釈放要求したわけでありますが、なぜかこの二十九人
の政治犯の中にこの辛光洙が入っていたのですね。
この辛光洙というのは、まさに原敕晁さんに成りかわって、我が国としては許
すことのできないスパイですね、その人を釈放しようということを何と我が国の
国会議員がやっていたので、私は大変驚いてしまったわけであります。
この辛光洙は今刑務所で服役中であります。この辛光洙については、十六日の
当委員会でも私が質問したように、パスポートあるいは免許証、これを公文書偽
造している、我が国の国内の法律にも違反をしているわけでありますから、当然
これは警察もこの辛光洙を韓国政府とかけ合って調べるべきである、私はこうい
うふうに思うわけでございますが、警察庁の御見解を承りたいと思います。
○内田説明員 委員御指摘の辛光洙事件でございますけれども、この辛光洙事件
も含めまして、一連の北朝鮮による拉致の疑いのある事件につきましては、今後
とも、韓国当局との情報交換を含めまして、関係機関と連携をしつつ、所要の捜
査を継続してまいる所存であります。よろしくお願いします。
○安倍(晋)委員 これはまさに国家による犯罪なのですね。国家による犯罪で
すから、これを解決していくためには、やはり国家が強い意思を持って相対して
いかなければ、決してこれを解決することはできない、このように思うわけであ
ります。まさにその入れかわってしまったスパイが捕まっていて、その人に対し
てまだ尋問を行っていないとすれば、怠慢のそしりを受けてもしようがないので
はないか、私はこういうふうに思っております。
そして、しかも調書の中で謀議に加わった人たちがのうのうとしているわけで
あります。それで本当に我が国の治安が守られているかどうかというのは、これ
は本当に耳を疑わざるを得ないようなことが公然と起こっているわけでございま
す。
その点について外務大臣にお伺いをしたいと思うわけでございますが、この調
書をとるべく韓国政府にぜひとも交渉をしていただきたいと私は思うわけでござ
います。外務省としての御見解をお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 我が国の法に違反した行為が行われた場合には、当然のことと
して、捜査当局中心に政府としてもきちんと対応しなくてはいかぬ話だと思いま
す。ましてや、我が国の国民の安全にかかわる問題であるならば、外務省も含め
まして、政府としても当然大きな関心を持っているところでございますので、い
ずれにいたしましても、関係省庁ともよく相談をしながら適切に対応してまいり
たいと思います。
○安倍(晋)委員 では、もう一度警察にお伺いします。この辛光洙を尋問する
のですか、しないのですか。答えてください。
○内田説明員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、辛光洙事件を含めまし
て一連の北朝鮮拉致の疑いのある事件につきましては、韓国当局との情報交換を
含めて、関係機関と連携をしつつ、所要の捜査を実施してまいる所存でございま
す。
なお、個別の事件の捜査の個別具体的な内容につきましては、捜査上の秘密の
保持というような観点から、答弁を差し控えさせていただきます。
○安倍(晋)委員 当然、その秘密の保持というのも必要なのでしょうけれども、
我々としては、疑いとしては、本当にやっているのかどうかという疑いを持たざ
るを得ないのですね。今まで何回かの拉致議連において関係省庁の皆さんにお集
まりをいただきまして質問をさせていただいたのですが、そういう疑問も本当に
わいてくるような答弁ばかりであったわけでございます。
ですから、きょうは厳しく質問をさせていただいているわけでございます。ぜ
ひとも、そこにもうスパイが捕まっているわけですから、しかもこの人は原敕晁
さんに入れかわってしまったわけですね。原敕晁さんはいまだに行方不明なので
す。ですから、その重要な、容疑者というよりも、これはもう刑が確定している
人ですね、確定しているわけですよ、韓国において。ですから、その人に尋問を
しないというのは、もう全く捜査当局がやる気がないということ以外にはないと
私は思うわけでありますから、これはぜひともやっていただきたい。政府が強い
意思を持って韓国側と交渉して、この辛光洙に対する尋問を行っていただきたい
と強く要求をいたしたい、このように思う次第であります。
続いて、やはり警察庁にお伺いをしたいわけでございますが、昭和五十八年に、
有本恵子さんとIさん、Mさん、この方たちは親族の方たちの希望で名前を公表
しておられませんから名前を申し上げませんが、有本恵子さんとIさん、Mさん
がヨーロッパで拉致をされたということが言われております。三人とも手紙等で
生存は確認をしているわけでございますが、この人たちを拉致するに際して、よ
ど号犯人の妻たちがこれを手引きをした、こういう情報があるわけでございます。
そのことについて、警察庁、これを把握しているかどうか、お伺いしたいと思い
ます。
○内田説明員 今委員御指摘のような事実関係について報道がなされていること
については承知いたしております。
○安倍(晋)委員 それは報道をしていることはだれだって知っているのですよ。
だから、そんなことは警察庁に聞かなくたってわかっていますから、警察庁がそ
れを把握しているのかどうかをまず答えてください。答えられないのか、知らな
いのか。
○内田説明員 恐縮でございます。
個別具体的な捜査の内容については、答弁を差し控えさせていただきたいと思
います。
○安倍(晋)委員 わかりました。これはこれ以上聞いてもしようがないよう
ですから、この件についてはここでやめます。
続きまして、寺越武志さんのケースなのですが、この寺越武志さんは、当時の
報道によれば、寺越武志さんを初め三人の方が漁の最中に海難事故によって行方
不明になった。そして、北朝鮮で生存しているのが後々わかったわけでございま
す。しかし実態は、何かを目撃したがために体当たりに遭って拉致をされたとい
うことが大体裏づけをされつつあるわけであります。
残念ながら、この三人のうち武志さんしか今生存しておられないわけでござい
ますが、武志さんのお母様と私は会いました。そのときに、このお母さんは、
何回か北朝鮮に行って武志さんと面会をしておられます。
このことについて拉致と決めるかどうかというのは、これは寺越さんを何とか取
り返すということにおいては、むしろ明確にさせない方がいいのかもしれません
が、私がお母さんから聞いた話では、何回か送金をしてくれと言われたので送金
をしたという話であります。しかし、送金したお金は、お母さんの話でも、残念
ながら恐らく本人が自分のものとはできなかったということでございますが、こ
の送金を必ず足利銀行にしてくれという指定をされるということだったのですね。
そういうような形で、このケースだけではないわけでございますが、一般的に、
朝銀大阪信組の問題もそうだったのですが、いろいろなお金が足利銀行を経由し
て北朝鮮に行っている、こう言われているわけでございます。
きょうは国金局にも来ていただいていると思うのですが、果たして年間どれぐ
らい北朝鮮に日本からお金が送られているかどうか、実態を把握しているかどう
かということについて御質問いたしたいと思います。
〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
○長尾説明員 お答え申し上げます。
私どもの持っています現行の外為法上でございますが、平常時におきまして、
北朝鮮に限りませんで、海外の特定国との間の資金の流れを把握するということ
につきましては、一つには、その特定の国との間の取引にかかわる許可とか、あ
るいは事前届け出ということを介して行う方法が考えられるわけでございます。
ただ、この方法につきましては、一つは親族送金は既に許可不要になっており
ます。それからもう一つ、寄附、贈与といったものも一千万円相当額までは許可
不要ということになっておること等から、これにより送金実態を把握するという
ことはちょっと期待できないという仕組みになっております。
それからまた、私ども、外為法上、国際収支統計を作成するという観点から報
告書をいろいろ徴収しているわけでございますけれども、これにつきましても、
その報告の性格上、対象を五百万円相当額を超えるものということにしておると
ころでございます。
したがいまして、今私どもの立場では、御指摘の北朝鮮を含めまして各国への
送金を日常的に把握するということは行っていないということでございます。御
理解賜りたいと思います。
○安倍(晋)委員 日本にとって安全保障上も、かつて核疑惑もあったわけであ
りますから、ある意味では極めて脅威になっているわけでありますし、また、拉
致疑惑等々の問題もあります。また、日本人妻千八百名の問題もあります。また、
最近は麻薬の問題もありました。
しかしながら、大蔵省は日本と北朝鮮とのお金の行き来については――もう一
度お伺いします。あるかないかだけでお答えをいただきたいと思うわけでござい
ますが、全く把握できていないということですね。
○長尾説明員 そのとおりでございます。
○安倍(晋)委員 ということは、極めてテロ国家と言ってもいいと私は思うの
ですが、北朝鮮に対して我が国からどれぐらいお金が行っているかということを
大蔵省は全く把握ができていないということが明確になったわけでございます。
しかしながら、実は銀行が極めて限られているわけでありまして、信組、朝銀
の信組の場合は外国に送金することができないわけでありますから、ほとんど足
利銀行が一手にやっていると言っても過言ではないと私は思うわけでございます。
銀行に対する監督権をこれから行使をしていただいて、ぜひとも、どれくらいの
金が行っているかということは把握をしていく必要が当然あるのではないか、私
はこういうふうに思う次第でございます。今、北朝鮮の状況がどんな状況にある
のかというのは、これはもう世界じゅうの人がみんな心配している状況にあるわ
けでありますから、そこはぜひとも大蔵省も真剣に考えていただきたい、こうい
うふうに思う次第でございます。
もう時間がだんだんなくなってきたわけでございますが、このように北朝鮮と
の関係においては極めて多岐にわたっているわけでございます。
拉致疑惑一つとってしても、外務省だけでは情報収集が不十分であると私は思
います。先般、拉致議連で関係各省庁の皆さんからお話を伺ったところ、省庁間
でのみんなが集まって、一堂に会しての情報交換というのは今までやったことが
なかったということでございますから、今後こうした問題に対処していく。
少なくとも、警察が認めているだけでも、七件十人が拉致をされた疑いが極め
て濃いということになっているのですね。先ほど私がお話をいたしました有本恵
子さんとか寺越さんのケースは、この十人の中に入っていません。入っていない
のですね。にもかかわらず、私が今言った人数だけで六人もいるわけですから。
この十人の中に入っていないのですね。
ですから、まず間違いないだろうという中でも十六人、恐らく三十人近い人た
ちが拉致をされている中にあって、しっかりとした対策本部なり対策室なりを外
務省の中に設けて、情報交換を行いながら、この人たちをどうすれば取り返すこ
とができるかというのを協議する対策本部を設けるべきではないかと私は思うわ
けでございますが、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 これまでも警察庁初め関係のあるところとは、随時協議はして
きたところでございますけれども、委員御指摘のように、それが恒常的なものあ
るいは定期的なものになっているわけではございません。事は国民の安全にかか
わる問題でございますから、それをどういうふうに解決していくか、いろいろな
手法を使い、またいろいろな配慮もしながら進めていかなくてはいけないと思い
ます。
徹底的にそれを追及していくという手法のみをとるのがいいのか、場合によっ
ては、表現が適切かどうかわかりませんが、硬軟いろいろな手法をないまぜて、
要は国民の安全を確保するという目的を達する上から、いろいろなことを考えな
がらでございますが、いずれにしてもそういったことを進めていく上において、
関係する省庁間の情報の交換なり連絡というものは密にしなくてはいけないとい
うのは御指摘のとおりだと思いますので、そういった関係省庁間の協議をより緊
密化し、きちんと進めていくように、早急にそういったことを相談し、実施して
まいりたいと思います。
○安倍(晋)委員 この問題につきましては、日本人の人権、もちろん生命財産
がかかっている問題でございます。また外交問題としても大きな問題であると思
いますから、私は、この外務委員会において集中審議をぜひともやっていただき
たいと御要望申し上げる次第でございます。
もう時間が参りましたが、最後に外務大臣に。先般、橋本総理が、日本の韓国
人記者との懇談の中で、もし韓国から要請があれば米の援助も考えていいという
お話がございました。
この横田めぐみさんの拉致が報道されるようになってから、横田めぐみさんの
問題を含めた拉致疑惑あるいは日本人妻そして麻薬の密輸入の問題、この三つの
問題が解決をされなければ難しいという政府としての態度をとってきたわけでご
ざいますが、これに重大な変更があったのかどうか。
最後にこれについてお伺いをさせていただきまして、私の質問を終わりたいと
思います。
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